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あぁぁぁ〜!?!?
「仕事、忘れてたッ!」
もぉ、ライちゃんからお願いされてたのに〜!!
息を荒げながら、自慢の足の速さで歩道を駆ける。
正直、周りの目がすごく気になったが、急いでいるので気にしなかった。
酸素不足で頭が少しぼんやりする。けど、全然マシ。
流石にクラクラしてぶっ倒れるとかは本気でヤバいからね。
1人で自問自答を繰り返しながら、急ぐ。
「…スン、これは猫ちゃん!!」
周りの匂いを嗅いで確信した。猫ちゃんが居る!
しかも多分2匹!天国かここは!!
「キョロキョロ…あれ、人見知り?」
「あはは…ま、まぁ仕方ないよねぇ…」
ここまで私を見てきた人はご察しだろう。
そう!私は大変猫好きなのです!!
猫ちゃんは脱出してから初めて知った存在!
「みゃ…」
路地裏の暗い奥から、猫の声がする。
「みにゃぁお〜」
「…フイッ」
「あ、可愛いなぁ…」
真っ白ふわふわなにゃーにゃー鳴く猫と、
真っ黒ツヤツヤで毛が短く、気難しい猫が出てきた。
外見、性格からも真反対な猫ちゃん2匹だ。
「みゃあみゃ、にゃお」
「ご、御免。私猫語分かんなくって…」
「…フン」
「ねぇ!今、笑った!?」
「…みゃ」
「いや、ぜぇったい笑ったもんね!」
「あぁもう!動画撮ればよかった!」
「…カメラ向けたら逃げるけど?」
「え?」
「…ほら、吹雪、盛夏。帰るよ」
「…他の人に迷惑かけたら駄目でしょう?」
頭が回らなかった。
いや、実際は凄く頭が回っていたけど、何故か、理解できなかった。
そのぐらい、普通はありえない光景が目の前に広がっていたんだ。
どこからか現れたかも分からない、1人の少女。
真っ白の明るいシャツに、真っ黒で上品なワンピース。
少しうねりがかかった、艶のある焦げ茶の髪。
そして、何を考えているかわからない、真っ直ぐな目。
ぱっと見はとても美人で目が離せないが、少し、怖い。
歳は、幼く見えるが、大人の様にも見える。ほんと不思議。
…私と同じぐらいの年齢なのかな?
結局は、誰なの?
「あ…、あの、どちら様…ですか?」
「…名乗るものでもありませんし、名が知れたくありません」
「色々…面倒臭いことになってしまいますので…」
「そうなんですか?何故、面倒臭いことに…?」
「言わないほうが、貴方にとって幸せ…」
「…これにて、失礼します」
「え?あ、ちょっと待ってください!」
「貴方には関係のない事。では…」
「…あ、そうそう。私の事は探さないでくださいな」
「もしかしたら、貴方にも不運がついてしまうかもなので…」
「どういうこt」
「うわぁッ!?!?」
頭が軋むように痛む。
さっきの酸素不足ではないだろう。
ギリギリ、ズキズキして立とうにも、うまく足が上がらない。
目の奥もじんじんするし、何だか手足も痺れる。
「…うぅ」
あの子のせいだ…、きっと。
私があの後あの子を追いかけようとした瞬間。
周りが真っ白になったんだ。
あの子が出した光か分かんないけど、その後すぐ、気を失った。
気がついたらここに居て、どうやって動いたか分からない。
今は何とか背の高い木にもたれかかってるけど、どうしよう。
仕事どころじゃないし、あの子が誰かも知らない。
そうやって、私はほとんど諦めていた、けど。
「…花束?」
その声で私は、天国に昇ってしまいそうになるぐらい、喜んだ。
心から信頼できる人が、ライちゃんが、目の前にいる証拠なのだから。
「ライちゃん…?」
もう、私には目を開く元気がない。
お願い…私だよ、花束だよ…気づいて。
貴女がつけてくれたあだ名…すんごい気に入ってるんだよ。
まだ、逃げてからそんなに幸せじゃないのに、死にたくない。
「…無理して、呼ばなくていい。分かってる」
「花束。どうしたの…?貴方の魔法すら知らないけど」
そうだった…ね。
会ってから半日しか経ってないのに、こんなにも優しい。貴女は。
どうして?少なくとも、私はそんなこと出来ない。
私には、分かるよ。ライちゃん。
隠そうとしても、無駄だよ。私達は似た者同士だもの。
貴女は、悲しい過去を持っている。
小さい時から、私より。
「ツバキ…僕、覚えてる?」
幼い声が聞こえる。高く、ふわふわした様な声だ。
そして、うっすら香る、向日葵の様な匂いは確実にあの子。
「うん、ウヅキくん?だっけ」
「ウヅキ!僕の名前はウヅキだよ!」
…多分、今年でやっと一歳ぐらいなんだろうね。
明るくて、無邪気で、澱みなんてない。
きっとウヅキ君は、モンスターキラーになって幸せなのかな?
「…俺もいるぞ、ツバキ」
「ツバキ姉ちゃん!どうしたの!?」
もうだいぶ体力も回復して、目も開けれる様になった時、
聞き覚えのある、2人の声がした…シオンとイラさんだ。
「…私はここで失礼するね」
体調が良くなった私に安心したのか、そうライちゃんが言う。
…悲しみと疑問がぐるぐると頭を回り続ける。
え?どうして?
やっと、貴女を見つけたばっかりなのに…。
「パチ…薄紫の髪をした人を探しに行く」
「…1番治癒能力が高いからか?」
「うん」
「分かった。あとでアランも来るらしい」
「…ツバキから色々何があったか聞いてみるよ」
「……よろしくね」
カッカッカッと走り去るライちゃんの背中を見届ける。
正直、パチさんという人とは仲良くなれるか心配だ。
だって、今まで恐ろしいほどみんなと仲良くなれてしまったから。
「…さてと、お前何があった?」
「……全部言うから、聞いててね?」
「うん、勿論だよ。ツバキ姉ちゃん」
私は、全てを話した。
あの子にあったこと、そして、近づこうとしたら光に包まれたこと。
気を失ってから、どうしてここにいるのか分からないこと…全部。
「…ふぅん…そんなことがあったのか」
「ツバキ姉ちゃん御免なさい…僕達が居なかったばっかりに」
「…幾つか分かんないことがあるが、聞きたいことがある」
「私?…どうしたの?」
「本当にお前、そいつに会ったことねぇのか?」
わぁぁ!
もう12話だよぉ〜。
嬉しい…嬉しいー!
新キャラあの子!意外と気に入ってるww
the美人に仕上げちゃったけど大丈夫か!?
ふわふわ白猫ちゃんが吹雪。
ツンツン黒猫ちゃんが盛夏。←ここ大事!
ばいばい👋
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