テラーノベル
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イノセンス・グレーのつづき
omr × fjsw
フラグの回収をするだけの話
それなのにドウシテコウナッタ
果てしなく長いです
お付き合いいただける方のみどぞ
なんだかふわふわしていい匂いがする。
すんごく気持ちいいなあって思って、体が軽く揺れる感覚に意識が浮上した。
瞼が重たい…けど、起きなきゃ。と思ってなんとか瞼を開けた。
起きなきゃ。なんで起きなきゃいけないんだっけ?
そうだ、なんだか誰かに体を揺すられてる気がしたんだった。
「涼ちゃん!」
途端、ぼんやりと遠くで聞こえていたような音がはっきりと耳に入ってきて、それが僕の名前だって気づいて、はっと一気に覚醒する。
焦りや困惑の感情に包まれたのは、その声の主が誰かっていうのがはっきりわかったから。
「も、とき…?」
ものすごく体が重たくて、詰まった声で弱々しく名前を呟ける程度。
なんでこんな、僕、体動かないんだっけ…?
見慣れない天井と照明を背負って、ものすごく心配そうな表情をした元貴が僕を見下ろしている。
僕が目を覚ましたのを見て、よかった、と安堵の表情に変わった。
あれ、なんで元貴がいるの?
確か、ここ、ホテルの僕の部屋だよね?
体も瞼も重たくて、それはつまり、脳みその回転も遅くて、思考が鈍ってる。何とか現状を把握しようとして、脳みそをフル回転させた。
させようとした、ところで。
「もう、バスルームで冷たいシャワー浴びて気失ってたから、死んじゃったのかと思ったんだからね」
そう元貴のセリフが聞こえて、一気に記憶の扉が開いたみたいに情報量過多になって脳みそがぱんぱんになった。
あ、え?そういうこと?僕、あのまま寝ちゃってたの!?
微睡んでぼやっとしてたかと思えば、困惑顔になって、思い出そうと視線をあちこちに揺らした挙句、ぴたっと表情を固まらせた。
きっと、元貴の見てる前で僕は百面相してたことだろう。
思い出して。そう、そのシャワーを浴びながらナニシテタかっていうのを思い出して、その最中に思い浮かべてたひとが目の前にいて、顔が赤くなるのが分かった。
待って、僕の感情、正直すぎる。赤くなっちゃダメなんだよ。
そう思っても、これは制御できないやつ。
元貴はそんな僕の一人であわあわしてる姿を見て目を丸くして、困った表情のまま笑って息をついた。
「…良かった。どこか調子が悪いのかと思った」
と心底安心したように言って、僕の頭を撫でる。
元貴曰く。
明日のライブの打ち合わせの時間になっても僕が来ない、っていうので、マネージャーに予備のキーをもらって様子を見に来たらしい。大丈夫かな、と若井も心配そうだった、と言ってたけど、一先ず元貴だけが一人で見に来たって。
…良かった。大多数の人に、冷水シャワーに打たれてぐったりしてる姿見られなくて。
(待ってよ。全然良くないよね?)
元貴の言葉を聞き一瞬ホッとしたのも束の間、一番見られたくない人に見られたんじゃないの。いや、アレの最中ではないけど、僕裸だったし。
「ぅわあ…!」
「!え、ど、…急になに?」
全裸だったじゃん、と思って、今更だけど自分の現状を把握して、大きな声が出た。
濡れたままの髪はそのままで、ベッドに横たわる僕はバスタオルに包まれているだけだ。もちろん、服なんて着てない。
本当に今更ながら、元貴も髪が濡れていることに気付いた。
それはつまり、冷たいシャワー浴びながら意識がない僕を見て、慌てて、ベッドまで連れてきてくれたってことでしょ?
色々な感覚が戻ってきたから、なんとなくの流れが想像できる。すごく遠くの方で、忘れ去られたシャワーが出っぱなしの水音がする。シャワーを止めるのを忘れるくらい、慌てたんだ。
一緒にお風呂入ったりとか悪ノリで風呂場乱入されたりとかあったし、見られて困るものなんてないけど、何故か、裸を見られたことがすごく恥ずかしいと思ってしまった。
それは、その前のアレのせいだと思うし、今日のライブも元貴は綺麗だったーって感情を抑えてた枷を外した後だったからかもしれない。
バスタオルで包まれただけの裸の僕を、すぐ傍に座った元貴が覆いかぶさるみたいに覗き込んでる。自分の体を支えるために、僕の顔の横に元貴の手がある。
心配してのその構図なんだけど、だめでしょ。だめだよ。
なんか、特に、今の僕は、そんな至近距離で元貴を見ていられなかった。もちろん、心配してくれたのは嬉しいけど。
「ご、ごめん…」
色々、…ほんと、なんかいろいろと、ごめん。
ここで真っ赤になって顔を隠すのも、不自然だろうけど、とにかく今はこんな姿も顔も見せられない。
こんな状況なのに、化粧を落としたって、なんだって元貴はやっぱり、綺麗だな、純粋な瞳が本当に綺麗、と思ってしまって。
僕って、こんな、本気の変態だったっけ?
何も言わない元貴は、優しい笑顔を浮かべたまま、ずっと僕の髪を撫でている。
「あ、あの、先行ってて、すぐ僕も行くから」
「えー、涼ちゃん大丈夫なの?」
だって、ひとりでやらしーことしたんでしょ?ちゃんと立てる?
一瞬、時が止まったかと思った。
すごい爆弾をサラッと落とされた。
――― え、え? 今、なんて?
やらしいって?その、あの、そういうこと?ひとりで、なんて。思い当たることなんて、アレしかないんだけど。
どうして?なんで?
元貴、なんで?なんで、僕が、してたって、知ってるの?
ぎゅっと心臓が縮み上がって、息が止まるかと思った。
部屋の鍵は閉まってた。確実に。僕ひとりだった。それは絶対。
真っ最中に部屋の中に来た?いや、そうだとして曲がりなりにもちょっとお高いホテルのバスルームの壁がそう薄いとは思わない。僕、ほとんど、声も出てないし。ドアが開いた気配もなかった。
なんで、どうして、とぐるぐる考えて大混乱の僕は、多分、全身青かったり赤かったり大変だ。
全身が緊張して強張っている。元貴が触れている髪の毛先にまで伝わるんじゃないかと思うほど。
真っ赤真っ青で絶句している時点で、元貴の言葉を肯定しているようなもんだ。
「な、なん、」
「なんで知ってるの?って?」
勘かなあ、体が冷たいのに火照ってる?みたいだったし、何となく?
そんな、笑顔で言わないで。汚いことも美しいことも、厭っていうほど知ってる、僕の好きな綺麗な姿で、真っ直ぐな目で。
いたたまれなくなって、ぎゅっと目を瞑る。
暫くの沈黙の間があって、不意に僕の髪を撫でていた元貴の手が離れていく。
きし、とベッドが軋んだ音がした。
動きを感じて、瞑っていた目を薄ら開くのとほぼ同時に、元貴が僕の体を包んでたバスタオルをバサッと剝ぐ。
「っ!な、なにし、なにしてんの!?」
最後の装備みたいになってたバスタオルがとられて、僕は慌てふためいた。
元貴の目の前に、情けないくらい全身真っ赤にした体が晒されて、どうして慌てずにいられようか。
いつの間にか元貴が僕の上に覆いかぶさるようなかたちになっていて。ベッドが軋んだのはその動きのせいだったんだ、脳の隅っこで気づく。そんな襲われますよという態勢も問題なんだけど、今はそれどころじゃなくて。
だめ、と慌てて両手で体を隠したけど、はいはい。と軽くいなされて、片手を掴んで抑え込まれた。自由な左手だけで体を全部隠すのは到底不可能だ。
せめて体を捩ろうとしたけど、裸で体捩ろうとするのって、なんだかえろいんだね。と笑顔で言われたら、もう動けない。
なにこれ、詰んでない?
なんでこんなことになってるんだろう?
「離してよ、は、恥ずかしいんだ、けど…」
務めて普通を装って、そう言う。
元貴はずっとにこにこしてて、何を考えているのかが読めなくて。
何をしたいのかわからないけど、僕たち、別に、なんかそういうアレな関係でもないじゃない。なんでこんな感じになってるの?
今からまさに襲われますよ、という感じに組み敷かれて、もう羞恥と混乱で、頭がパンクしそうだった。とにかく早く解放されたい。
(僕がどうこうなっていいような、そんな簡単なひとじゃないんだよ)
自覚もってよ。
音楽にストイックで純粋で、歌ってる姿が綺麗で、そこに邪な余計な感情なんて要らない。元貴が自分から、そういう感情を持つとしても、その相手が僕であっちゃだめなんだよ。
「涼ちゃんって、そういうことと無縁そうなのにさ。何を想像してひとりでするの?」
首を少し傾げて。
僕の心の中を覗いたのかっていうくらい、的確な、されたくない質問をされた。
さいあくだ。知ってて聞いてるの?とこっちが逆に問い詰めたくなる。
純粋に、気になって聞いた質問かもしれない。
でも。
(純粋で綺麗な元貴と、変態でおかしい僕がどうにかなっちゃダメなんだってば)
(歌ってる元貴を見て、ひとりでしちゃうなんて、裏切りのようなものだ)
ずっとそう思ってきたから。この崇拝に近い感情は揺るがなくて。
だから、純粋すぎるが故の質問に、少し腹が立ってしまった。
なんでわかんないかな?
色々なものに足を取られながらも、まっすぐ純粋に音楽を見てきた元貴は、こんなとこで、僕に蹴っ躓いてる場合じゃないんだよ?
すごいひとなんだよ。僕には眩しいくらい。
なんでその自覚がないの?
なんて、理不尽すぎる、苛立ち。
反らしていた顔を元貴に向け、もう!と声を出す。思ったより荒げた声になって、自分でも驚いた。
「歌ってる元貴が綺麗だなって見てたら、興奮しちゃったの!」
だから、ひとりでしてたんだよ!これで理由分かったでしょ?気持ち悪いと思ってくれていいから、もう離して!
勢いに任せて言ってしまった。
普段からそう言葉がうまく出るほうじゃないとはいえ、言いながら(言っちゃだめだ)と思ってて、でも出た言葉は取り消しがきかない。正直、もういいや。どうにでもなれ。とどこかで思ってしまっていたのも事実。
だって、僕おかしいもん。なんて、かわいく開き直ってみたところで笑えない。
いつにない異常なことの連続で、もう混乱の極みだ。
僕は、元貴みたいに、言葉選びもうまくできない。
気持ち悪いって思われただろうな。ドン引きだと思う。バンドのメンバーが、自分を見て興奮してたって、普通に考えて異常だ。
とりあえず、言ってしまってから、明日からの音楽活動どうなるのかな?という不安だけは残った。
とりあえず、明日のライブフィナーレぐらいは、普通にさせてくれるかなあ。
真っ赤な顔で、とんでもないことを言い放った僕を見て、元貴は唖然とした顔をしている。
そりゃそうだ。
あ、逃げ出すなら今だ、と思って腕を強く動かしたけど、なんでどうして、更に力を込めてベッドに押し付けられてしまって逃げられない。
なんで、と困惑して元貴を見上げると、唖然とした顔から薄笑いみたいな表情に変わった。
意図が分からなかったけど、さぁっと血の気が引く音が聞こえた気がする。
「へぇ、そうなの?なにそれ。俺の歌ってるところ見て、あの涼ちゃんが興奮しちゃうって…」
そんなの聞いたら、俺のほうが興奮するんだけど?
待って待って待って。怖い怖い怖い。
慌てたり、焦ったり、不審な表情するとかじゃなくて、普通の会話の返しみたいに、笑顔で。
僕と同等なくらいおかしいこと言ってるよ!?
ひた、と何の前触れもなく元貴の冷たい手が、混乱の最中にいる僕の、中心に触れた。
「―――ッ!」
息を呑んだ。
心臓が、時間が、止まったかと思うほど、体がギュッと強張った。
僕の心臓は何回止まりそうになれば気が済むんだろう。
すると指が動いて、軽く撫でられただけなのに、一度吐精してるそこは想像以上に敏感に反応する。
「…っ」
息を詰めた僕を見て、元貴の笑みが深くなる。
「涼ちゃんが変態なのはじゅうぶんわかったけど…それを聞いて、興奮してる俺も相当変態じゃない?」
俺が綺麗なのは置いといて。
元貴の言葉がぐわんぐわんと頭に響く。
じっと瞳を見つめられた。
グレーなのに濁りのない瞳がわくわくしているような色を湛えていて、綺麗なのに怖い。
あぁ、この瞳。知ってる。これは、もう戻れないやつかもしれない。
元貴は、自分の音楽で周りがどう感じるかに興味がある。だから音楽にストイックで純粋なんだ。
今、僕のよくわかんない性癖的なことを聞いて、気持ち悪がるどころか、僕に興味が湧いてしまった。
僕とどうこうなっちゃだめだ。けど、僕のそういうの知った上でのことなら、だめじゃないのかな?いや、やっぱりそういうの関係なく、だめ。
元貴のそういう純粋な気持ちは音楽にだけ向いていてほしい、と僕は思う。誰か人に向けられるとしても、僕に、僕なんかに向けちゃだめ。
でも、興味が湧いたことに真っ直ぐ純粋な元貴がブレないことを、僕は知ってる。
自惚れだったらよかったけど、ずっと元貴を傍で見てきたから、よく知ってるんだ。
ねぇ。と元貴がぐっと顔を近づけてきて、キスでもされるかと思う程の距離で、低く囁く。
掴まれていた手は、いつの間にか、解放されていた。
「俺を見てるだけで興奮しちゃう涼ちゃんが、直に抱いたらどうなるか、確かめていい?」
今すぐ、知りたい。ここで。
駄目だっていう気持ちがあるのに、喉に引っ掛かって言葉が出てこない。
元貴の問いかけ。その純粋さを拒絶することができない。
そういう純粋さを持ってる元貴が綺麗だって、長い間、思ってきたから。でも、それじゃ、拒絶できなかったら、僕はこのまま、元貴とどうにかなっちゃうの?僕が一番そうなっちゃいけないと思っていたのに?
これは、正真正銘、完全に詰んでしまった。
こうなった元貴から逃れられる術を、僕は知らない。
ほんと僕は莫迦だなあ。と、全てを諦めて、目を閉じることしかできなかった。
元貴はのめり込むタイプだから、気になって興味をそそられたら真っ直ぐな姿勢で取り組むし、とことんまで突き詰める。
だから音楽に対しての純粋さは、純白じゃないのに綺麗だって、思ってた。
ずっとずっと見てきたから。
けど、そこに込められた探究心みたいなものは、僕が思ってるほど、簡単でかわいいものじゃなかった。
対象が僕になって、その真っ直ぐさがどれ程のものなのか、こんな形で知ることになるなんて。
元貴の手の上で、彼の熱意によって色も形も変化させて操られる音楽みたいに。
興味を持った僕のことを、知りたくてしょうがないと言わんばかりに弄り倒している。まんま、文字通りに。
この身をもって、厭と言うほど思い知らされた。
「あっ、っあぁ、やっ、あっ」
ゆっくりと割り開かれるみたいに元貴のそれが、僕の中に入ってくる。
初めての感覚なのに、圧迫感はあるけど痛くはなくて、僕の声だと自分で信じられないくらい聞いたことないような声が漏れた。
舌が、痺れるくらい、気持ちが良い。
「どお?涼ちゃん、」
痛くない?ねえ、気持ちいい?
熱に浮かされたみたいな声で尋ねられて、きつく目を閉じたまま、素直に頷く。
よかった、と元貴がホッと安堵したような気配があって、半ばまで進んだモノを一思いに勢いをつけて叩き込まれた。
「――っひ、ぁ…ぁあッ」
ぱんっ、と皮膚同士がぶつかった音がして。同時に、何にも触れられたことがないような内臓の奥の方の壁にゴツ、と鈍い音が聞こえたと錯覚するほど強く硬い熱をぶつけられて、声が裏返ってしまった。
涼ちゃんのイイトコロ探していい?と、それはそれは丁寧に、執拗に僕の体を細かく触れられた。開かれて、弄られて、舐められて、隅々まで。髪の毛や額から足先の指と指のあいだまで。自分でも知らない性感帯みたいなところを元貴に散々暴かれた。
初めは、やだ、くすぐったい、という余裕があった僕も、だんだんと呂律が回らなくなって、どろんどろんにさせられて、少し触れられるだけでも過敏に反応するくらいに。
なにこれ、しらない。
自分の体が自分のものじゃなくなっていくような、作り替えられていくような錯覚。元貴の研究材料になったみたいな、そんな。
やめて、と何度も訴えてみたけれどやめられることも、手加減もしてもらえなくて、それどころか、涼ちゃんは他の男とえっちしたことあるの?とか、綺麗な俺にこんなにどろどろにされちゃってどんな気分?とか、耳を塞ぎたくなるようなことばかり尋ねられた。
今日ばかりは思う。元貴の純粋さが末恐ろしい。
「奥まで届いてる?奥って気持ちいいの?」
ねえ、元貴の純粋さって、半分わざとだよね?お願いだからわざとだって言ってほしい。
こんなナチュラルに卑猥な言葉で攻められるなんて、僕の人生でこんな瞬間がやってくるなんて、想像もしていなかった。
ただただ、純粋な元貴を、綺麗だなーって見てるだけでよかったのに。
答えに詰まっていると、何度も促すように奥を強く突かれる。
「や、ぁっあっ!だめ、やめ、てっ、ぉ、奥ッ…あたっ、て、るっ」
ちゃんと届いてるから、もうやめて。と。
逃げられないように腰を押さえつけられて、突かれるたびに、びくん、と体が跳ねる。
元貴の腕に引っ掛かっているのが、僕の脚なのに、僕の意思とは関係なく揺れていて、頭がどうにかなりそうだった。
「やめるわけないでしょ?俺も気持ちいいのに」
はぁ、と熱のこもった息を吐いて元貴が笑う。ずりゅ、と内臓が溶けたかと思うような重たい水の音がして、腰を引かれた。
内蔵を掻き回した熱が先端だけを残して僕の中から抜けてしまいそうになる。
「や、だ…っ、もとき、ま、待っ…て、ぇ」
背筋が逆立つような、ぞわぞわするような嵐の前兆みたいなものを感じて、元貴の腕を掴んで首を振る。
待って、お願い、と唇が震えるほどの懇願をしたけれど、
「もっと涼ちゃんのそういう顔が見たいから。ごめんね」
あっさりばっさりと、切り捨てられ、再度、奥をゴツンと強く叩かれた。
「っあ、やぁああっ」
体がぐんっと仰け反って、はっきりとした悲鳴が迸る。
散々弄り倒されたときに、見つけたって嬉しそうに言ってた、内側のしこり。そこを擂り潰すようにして、奥の方を何度も何度も硬い熱で焼かれる。
びりびりした痺れが、強すぎる快楽になって襲い掛かってきて、未知の刺激についていけない。
「やっ!あっ!も、うっ、しんっ、じゃうっ」
ほんと、なんか色々と、死んじゃいそう。
秘かに自分で、ひとりでしてた時とは比べ物にならなくて。
あんなの、ただの、自慰を自慰だってわかってないお遊びみたいなもんだ。
「涼ちゃん、は、俺を、買い被りすぎ、だよっ」
激しく動く合間に、元貴が息を弾ませながら言う。
買い被ってなんてないし、元貴に興奮する僕をもっと知りたいとかわけわかんない感じで、こんなことになってしまってるけど、それでも、元貴は純粋で綺麗だと思う気持ちは変わらないし、心の何処かに、未だに、元貴にこんな事させてしまって汚してしまった、みたいな懺悔に似たような気持がどこかにあって。
「ッあぅ、ぉくっ、奥、だめっ、」
なのに、元貴の手によって開かれてしまった僕は、だめじゃないだめを何度も喘いでる。
ピリッとした痛みを感じたのは腰を掴む元貴の指の力が強くなったから。
きっとそこには、数日は消えない元貴の指と爪の痕がつきそうだ。
動きが段々切迫していって、体ががたがた揺さぶられる。
気持ちがいいのに、何度も擦られて内臓が擦り切れそうで、気持ち良くて戻れなくて怖い。
「まっ、ぁん、うっ!と、まって…ッ」
「うん、奥で、いっていいよね?」
会話が成立してないよ…!と心の中でツッコミを入れたけど、現実まったく余裕はなく、元貴にされるがままいいようにされる。
「あっ、ぁッ、やっ、だめ、あぁあっ」
一層奥に強く押し込まれ、唇が戦慄く。
喉が反って、胸を突き出すみたいに体が跳ねて、背が浮いた。がり、と元貴の手に爪を立ててしまったけれど、もう遅い。
元貴も、唇を噛んで息を詰める。
この期に及んで、チカチカと明滅する視界でとらえた達する瞬間の元貴の姿はやっぱり綺麗だって思って。
硬い熱が膨張して震えるのを体の奥底の方で感じ、僕は溢れ出た熱を受け止めた。
もう、お互いの体の境界線が曖昧なくらい、ぐちゃぐちゃだ。
なんでこうなってしまったんだろう?
意味わかんない…いや、わかるけど、わかりたくない。
まだ芯が残るけれど、硬さの緩んだ熱を埋めたまま、元貴が僕に倒れ込んでくる。
当たり前のようにそれを受け入れれば、元貴に強く抱き締められたので、その背中をぎゅっと抱き返した。
「…ねえ、涼ちゃん、俺のこと好き?」
まだ弾む息で、それ今聞くこと?みたいな質問をされた。
衝撃すぎない?あれだけ熱交わしておいて、衝撃のピロートークなんだけど。
ぼやぼやになった視界で、脳が霞がかった僕は、とても正直に、わかんない。と答えた。
だってわかんないし。
ついさっきまで、崇めるレベルで見ていた相手を嫌いな筈はないけど、そういう意味で好きかと言われたら、わかんない。
すごく正直な、戸惑いもなく出た僕の言葉に、くすくすと元貴は笑う。
「俺も。涼ちゃんが、好きかわかんない。そーゆー意味でね」
と、素直に言った。
逆に、すごくホッとした。
好きじゃないんだ、純粋に、僕を抱いたらどうなるか気になっただけなんだ。やっぱり元貴は、純粋だ。やってることは全然純白じゃなくて、グレーだけど純粋。
「まだまだ、涼ちゃんのえろい顔見たいから、またしていい?」
これまたとんでもないことを、迷いもせずに言う。
だめって言われても、するけど。…が、語尾についてるのが透けて見えるから、怖い。
元貴に捕まったらもう逃げ道ないんだ。
ずっとずっと前から、知ってたこと。
こんなこと言う俺、どう?最低じゃない?純粋じゃないでしょ?
なんて、楽しそうに笑顔で言うけど、僕からの返事なんて、もう元貴にはお見通しなんでしょ?
だから
元貴が想像してる通りの言葉を、僕は返す。
もう、詰んでるから。
それしか答えは残されていない。
「いいよ」
元貴の、純粋さで、僕をすきにして。
おわれ
ものすごい強引なフラグの回収
所詮勢いでしか無かった
自分で書いて忘れてたけど、翌日のライブ大丈夫だったんですかね?(架空)
きゅうせん文字以上使ってなに見せてるんでしょうね
誰か短い文章の書き方教えて
研修資料作成中に気がそれてこっちがメインになりかけてバカかと…
コメント
4件
フラグ回収ありがとうございます🚩 いつも思いますが、心情描写が本当に丁寧て素晴らしくて感動してます✨ 💛ちゃんの焦り、戸惑い、不安、崇拝、安堵…なので短くせずこのまま書いていただけると嬉しいですが、書き手さんがたいへんてすよね…💦 個人的には純粋であるが故に純愛ではないところが刺さりました!
短い文章の書き方講座、誰か開いてくれないですかね? 私も参加したい🙄 朝から満たされました。想いあってるのにすれ違ってて、だけどだからこそ“壊れない”のがたまらなく刺さります。 仕事中の方が書けたりしますよね、私も大体仕事中に書いてます😇