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桃「青ってほんと可愛いよね」
ベッドの上で、彼は笑いながら俺の頬をつつく。
行為のあとにそんなことを軽々しく言うなんて、反則だ。
青「……やめろよ」
桃「なんで?せっかく褒めてんのに」
気楽な調子。
その声も、笑顔も、全部俺だけに向けられてるみたいで嬉しいのに─
同時に、心臓がズキズキ痛む。
(違う。俺だけのものじゃない、こいつは)
彼にとっては、ただのセフレ。
「都合よく抱ける相手」以上でも以下でもない。
そう頭では分かってるのに、期待してしまう。
「なぁ、俺たちってさ、」
「セフレでしょ?」
軽く笑いながら即答する彼。
まるで何でもないことみたいに。
その気さくさが逆に残酷で、俺の胸をぐちゃぐちゃにする。
「……俺は、もっと……」
「ん?何?」
何も気づいていない顔。
無邪気に笑う瞳。
どうして、こんなにも好きになってしまったんだろう。
俺だけが苦しくて、俺だけが縋って、
それでも「また来てね」って軽く呼ぶその一言に、結局抗えない。
壊れてもいい。虚しくてもいい。
それでも、俺は。
次の日。
「青ってほんと分かりやすいよね感じやすいっていうか?」
彼はベッドの上で軽く笑う。
行為のあと、煙草をくゆらせながら無邪気に俺を見ている。
「……なぁ」
「ん?」
勢いで口を開いた。
もう誤魔化せなかった。
「俺……桃が好き」
一瞬、空気が止まる。
彼は目を瞬かせ、それから吹き出すように笑った。
「あははっ、 いや、マジで?俺らセフレでしょ?」
軽い声。冗談めかした調子。
でも俺は引き下がらなかった。
「遊びじゃない俺にとっては、」
「……マジなんだ」
さっきまでの笑顔が消えて、彼が黙り込む。
その沈黙に心臓が張り裂けそうになる。
――でも、ようやく対等に向き合えた気がした。