注意書きを読んでからお進み下さい。
わんく
当作品は”nmmn”というグレーゾーンな作品です。検索避け、隠語は勿論のこと、拡散、保存等の行為は一切おやめ下さい。
ご本人様、関係者様には一切の関与はありません。
あくまでも「名前をお借りさせて頂いている」という体で作品をご観覧になってください。
公共の場での閲覧行為は禁止です。
この作品のような”nmmn”は密かに楽しむものとなっております。それをお忘れずに。
何度も言いますが、絶対に以上の事は守ってください。
守れない方は一度注意させてもらい、変わらないなら、心苦しいですが、ブロックor通報させて頂きます。
以上のことを頭の片隅に置き、忘れないようにお願いします。
あと普通に **4000文字**ですので時間がある時に読むのをおすすめします。
長くなりました。それではどうぞ。
紫 × 桃
※桃さん女々しい
※桃さん病んでる
※星の話ばっかり(秋頃)
小さな頃から星を、宇宙を知るのが好きだった。
早々と父を亡くした自分にとっての夜空は、正に父のようで、膨大で不思議な存在に興味を唆られていた。
夏も過ぎ、秋と言うには遅い気がするし、冬と言うには早い気もするこの季節。空気も澄んでおり、満天の星空を観察するには最適の季節。おとめ座流星群や、しし座流星群が見られるこの時期は、決まって俺はベランダから夜空を眺める。このアパートは割と山に近く、自然に近い場所にあった。街の街灯が星屑たちを掻き消すのでこのアパートの位置は天体観測には丁度よさすぎる場所に位置する。と言っても街灯があるのはあるし、月光も眩しいので四等星ほどの星は殆ど見えない。少々残念だが仕方がない。俺は凍える身体を無視してベランダに頬をついた。
「………きれー……」
あそこの砂時計のような形をした星座はオリオン座だろう。盾の部分は本当に目を凝らさないと見えない。
その近くにあるのがおうし座。おうし座の頭の方の星々は木星を挟んでおり、その先にある少し不格好で小さな星達が作る三角形は割と独特な見た目をしているため分かりやすい。
更に近くにはふたご座と、かに座が。ふたご座はポルックスという一等星の眩しい星と、カストルという二等星の星が並んでいるため分かりやすい。
一方かに座の方は全体的に暗く、火星が近くにある。赤く眩く輝く火星を見つけなくてはこのような街で見つけるのは難しいと思われる。
そう、有名なあのオリオン座の近くには、割と沢山の皆が知ってる黄道十二星座の星々が多く位置するのだ。
こう見てみれば面白いものだろう。他にも有名なところで行けば、カシオペア座だったり、アンドロメダ座、うお座や北斗七星をもつおおぐま座、一度は習ったシリウスが作るおおいぬ座など沢山の星が見れる。
勿論、自分の星座、おひつじ座も。然しおひつじ座はかに座同様、暗い星で形成されている。その様な淡い星だからこそ見つけるのが楽しいのであって、目立たないから不快だと思ったことは一切ない。寧ろ目立たないほうが良いまである。
どのくらい経ったのだろう。夜空を見ていれば時間が滝のように直ぐに流れ消え去る。
ぼーっと見ていれば、父の顔が。
もうはっきりとは覚えていない父の顔。曖昧に覚えているのは優しいけれど悪戯っ子のような幼い笑顔。姉や母と意見の食い違いで喧嘩して家出した時は、何時もそばに居て夜空の話をしてくれた。
『な?面白いだろう。宇宙ってのは。
あ!あと、星々にはひとつひとつ話があって、ギリシア神話を読めば分かるんだけど……』
ガチオタすぎて幼い頃は話についていけなかったなぁ。横で何言ってんだこいつとか思いながら夜空を観察してたの、懐かしい。
つぅ、と一筋の涙が零れ落ちる。あれ、なんで、なんで?こんなこと、無かったはずなのに。一度決壊した涙腺は止まるということを知らずに唯只管に涙を流す。だばだはと溢れるその涙を手ですくい上げて、意味もなくベランダの床に落とす。
「あれ、と、まんな、い…おかし、ぃ、なぁ、」
ただひとり、ベランダで大泣きする成人男性。
傍から見れば唯の変質者だ。けれども勢いは止まらずに。嗚咽を涙で流してしゃがみ込んだ。
辛かった。
父が亡くなっての葬式。母は今までに無いくらいに大きな声を上げて泣いた。姉と、自分と、父を抱え込んで。姉は葬式の日、泣きはしなかったけれど、俺は知ってる。夜中に部屋で篭ってずっと泣いてたこと。二人は父が亡くなってから数年は生気が奪われたかのような、死んだ瞳をしていた。だからこそ、自分が二人を守らなければいけない。それが、父が俺に託してくれた、最後の使命のように感じた。
高校の時にやっていたバイト。先輩は八つ当たりが酷いし、店長と付き合いが長いおじさんは俺にセクハラしてくる。客は弱い俺を見ては散々暴言を吐いて店を後にする。
学校では顔色が悪いからと気味悪がられて人は近づかなくなり、悪口を言われる。それでもヘラりとした薄っぺらい笑みを浮かべていれば、イラついた者が自分へ虐めをしてくる。周りはそれを指差して笑っていた。
大学に入らずに就職して、お金を稼ぐ。上司には高卒だし、片親とか何も出来ないでしょ。社会の厳しさを教えてあげる。と言われて散々仕事を押し付けられた。部長もまた、俺にセクハラしてくるし、女性社員からはウザがられてた。後輩からも舐められ、会社には俺の味方は誰一人といなかった。
メンバーは皆優しいが、その優しさが毒となり、自身の身体を蝕む。恋愛的に好きだと気付いてしまったいるまのことも見れば見る程心が苦しくなる。恋愛すれば楽しい、心が温まる、なんて嘘に過ぎない。
家に入れば二人の笑顔。それが逆に苦しくって、逃げるかのようにこのアパートへ引っ越してきた。
居場所は、ない。
何度も死のうか迷ったし、未遂した。でも次の日には呼吸が続いてるし、時間は止まってくれない。
それはまるで、父が二人を守る使命を果たす迄同じところに来るなと言われているような気分で、突き放されたような感覚で、気持ち悪かった。
今、星空だけが、自分の味方のように感じる。
膨大な宇宙だからこそ、こんな小さな自分の悩みなんてどうでもいい、って言われているようで。それは逆に俺にとっての励ましのように感じて。嬉しかった。
それでも、矢張り肌は寂しいもので。
誰かが抱きしめて欲しい。慰めて欲しい。
こんな俺を、どうしようもない俺を、
___大切に守って欲しい。
星に願った最後の願い。
もうそれは儚く散って、叶うことの無い夢。
俺はこんな所で心の生涯を終えるのか。
まぁ、星空に、父に見守られているのなら、悔いは無い。次瞳を開ければ、この世なんてどうでも良くなってる。諦めて、瞳を閉じる。
心が、壊れる音がした。
____否、心が壊れる音がした気がした。
「らん?!?!」
遠くから驚くような声が聞こえてきた。水の中に入っているような感覚がして、耳はあまり使い物にならない。その感覚がまた気持ち悪い。
ふっと誰かのいい香りと、ちょっぴりお酒の匂いがして、身体が温まっていく。長年張り付いていた分厚い氷が、まるで薄い硝子のようにぱりん、と簡単にヒビが入った気がする。誰だろう、こんな夜中に来ているのは。
徐々に鮮明になっていく視界で、身体全体を包む温もりを見た。
「………いる、ま?」
「つめた、……おまえ、あ、いや、」
「その、勝手に入ってきてすまん、一応連絡はしたんだけど……」
いるまが言うには、中学の同級生と一緒に飲んでから終電を逃し、近くにある俺のアパートへと泊めてもらおうと考えていたらしい。連絡は来ていたらしいが、自分は星を見ていたので気付くはずがない。
「んーん、大丈夫……ありあと、」
赤い目尻を見せないようにごしごしと目元を擦れば、いるまは手首を掴み、俺の顔をじっと見つめてきた。
「え、?な、なに?、」
近い顔に若干照れつつ、いるまから身を離すようにじり、と後退りする。いるまは逃がすまいと距離を近づけ、それと同時に顔も近づけてきた。
「………らん、お前……無理してるだろ。」
「は、」
図星を、突かれた。
言い訳など、今の覚醒しない頭では考えられないし、今のいるまに言い訳など通用しない。と思う。でもありのままを伝える勇気も無くて。きっといるまは、メンバーは何も言わずに話を聞いてくれる。辛かったねと言って寄り添ってくれる。分かってる。皆優しくて俺の事大好きだから。でも、口が強ばる。言わなきゃ行けない、言わなきゃ、言わなきゃ。
「ぁ……そ、の………」
頑張れ、言わなきゃいけないんだ。言え、口、動くんだ、、
「言いたくないならいいから、な?取り敢えず中入ろうぜ」
いるまはひとつ息を零すと、俺の背中を支えるようにして室内に入れる。暖房が入っている部屋は暖かくて、隣の温もりが安心感をくれる。
言いたくないならいい。いるまはそう言ってくれた。
大丈夫。今なら、言える気がするよ、いるま。
「いるま!、………あのね、俺、の話、聞いてくれる、?」
「!……おう!」
過去のことを、洗いざらい話した。
何をやっても居場所はなくて、何度も死にかけたこと。星に秘められた俺の思い。全部全部、話した。いるまは終始真剣に話を聞いてくれる。しどろもどろに話す俺に「しっかり話せ」と怒ることも無く、彼も眠いだろうに、目を合わせて時折頭を撫でてくる。
自然に身体の力が抜け、しょっぱい水が頬に道を作る。ぽたり、ぽたりと滴るそれをいるまは、親指で掬い、頬を撫でてくれる。いつかの父との記憶を思い出して、久しぶりの感覚に心がきゅっと締め付けられた。
「らん、話してくれてありがと、」
「ぅんん、……っ、いるま、きぃてくれて、ありがとぅ……」
没になった理由
⋯⋯桃さん女々しすぎて解釈不一致
コメント
3件
おわああああああ... とってもお洒落で好きです😭💖 会話量よりも分量が多い分、ひらんさんの文才がいつもに増して輝いてて見るの楽しいです🙂↕️🫶🏻 投稿ありがとうございます💝