テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
『群青色の心中』〜貴方となら海の底まで〜
第11話 『誓いを立てさせてくれ。』
あれから半年が経ち――。私の誕生日まで
残り数日。
春の暖かい風に頬を染める。
『ボスキ、ウエディングドレス、見てくれる?』
『あぁ。』
今日は結婚式を挙げる式場の下見に来ていた。
お父様は仕事で同行せず、私とボスキ、マルメロ、ソウマだけで来ていた。
私はドレスルームから出る。
『主様、それ…。』
『気付いた?そう。ボスキの髪の色と同じ色。可愛い?』
『……。』
『想像以上だ。』
俺は顔を赤くして顔を隠す。
『ボスキ…?』
『凄く、綺麗だ。当日はそれを着るのか? 』
『クスッ。違うわ。当日は白いウエディングドレスよ。でも。真っ当に結婚式を挙げるつもりは無い。これは、ボスキと逃げる時のための正装。この美しい青色のドレスは貴方のために着るわ。』
『主様……。』
私はボスキに歩み寄る。
『必ず、幸せになりましょうね。』
『!もちろんだ、主様。』
『お嬢様……凄く綺麗です!!』
『ま、マルメロ…い、いつから見てたのよ…。』
『すみません、覗き見するつもりはなくて…。』
『全く、下世話なんですから。けれど、本当にお似合いですよ。お嬢様。』
『ふふ、2人ともありがとう。』
『……なぁ、マルメロ、ソウマ。』
『はい、どうしました?ボスキさん。』
『主様と2人きりにして貰えないか?』
『え?』
『それは構いませんが…。』
『ボスキ?』
2人は式場から出ていく。そして、ボスキはバージンロードを歩いてくる。
コツコツ……。
そして、私の前に立つ。
『…主様。』
ドキンっ!
まっすぐ私の瞳を見つめるボスキの顔に思わずときめいてしまう。
ボスキは私のヴェールをあげる。
『本当に…綺麗だな。』
『っ……。』
ボスキは私の手を取り跪く。
『ちゃんとしたプロポーズしてなかったからな。今ちゃんと誓いを立てさせてくれ。』
『…愛してる。メリア。必ず俺がメリアを守る。どんな時も。ずっと一緒だ。』
チュッと手の甲にキスをする。
『指輪をはめてやれないのが…悔しいがな。今はこれで我慢してくれ。』
ボスキは私の指にキスを落とす。
『俺と幸せになってくれるか?』
『…っ。うん…っ。もちろんよ、もう、充分幸せ…。』
私は涙を流しながら微笑んだ。
『おめでとうございます、お嬢様。』
『ソウマさん少し寂しいんじゃないですか?』
『それは貴方もでしょう?』
『それはまぁ……お嬢様のことは大好きですから。でも、お嬢様の幸せが…私たち使用人の幸せでもあります。』
『……本当に、その通りですね。マルメロ。
最後まで、お嬢様を守りますよ。』
『もちろんです。この命に替えても。お嬢様をお守りします。』
ギュッとクローバーの宝石を握り締める。
その日の夜――。
目を閉じてしまえば、明日は結婚式。
最後まで油断出来ない。演じきる。幸せになるその瞬間まで。
このまま、目を閉じなければ……時間が止まって、ずっとこのままでいられるのかな。
私は隣にいるボスキに声をかける。
『起きてる?』
『…ん、主様、寝れないのか?』
『うん…。目を閉じたら…明日になっちゃうから。』
『……。それなら俺も起きててやる。一緒にこのまま起きていれば…ずっとこのままだ。』
ボスキは私を抱き締めた。
『でも、ボスキとなら構わないわ。明日を迎えても。』
ボスキの唇にキスをする。
『っ……。余計寝れなくなっただろ。』
『ふふっ。嫌?』
『はぁ……ホント、敵わねぇな。』
『ん……っ。』
お互いの体温を分け合うように抱き合う。
声も、身体も全部貴方に捧げる。
貴方にしか触れさせない。貴方にしか聞かせない。
この甘い嬌声も。この身体も。
全部全部――貴方のもの。
次回
最終話 『群青色の心中』