テラーノベル
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うみの「やりたいことリスト」は、少しずつ埋まっていった。
海に行った。遊園地にもいった。みんなでご飯を食べて、夜遅くまで話した。
昔みたいにくだらないことで笑って、写真もたくさん撮った。
「これ、全部終わっちゃったらどうする?」
私は笑いながら聞いた。
「また新しいの作ればイイじゃん」
ジェシーが答える。
「そうそう!」
慎太郎も笑う。
「100個でも200個でも付き合うよ」
「….そっか」
私は笑った。
だけどーー
その笑顔の裏側で、私は自分の体が少しずつ変わっていることに気づいていた。
最近、少し歩いただけで疲れる。
前よりも息がしづらい。
それでも、みんなの前では何も言わなかった。
ある日の帰り。
私はみんなが車に乗り込む前に、ひとりで洗面所に向かった。
鏡に写った自分の顔を見る。
「….大丈夫」
小さく呟く。
けれど、その直後。
私は急に苦しくなった。
しばらくして、口元を抑える。
私は目を見開いた。
「…..」
もう一度、鏡を見る。
顔色が悪い。
私は何もなかったように口元を整え、深く息を吐いた。
「….まだ、大丈夫」
そして、何事もなかったようにみんなのところへ戻った。
「遅いよー!」
樹が声をかける。
「ごめんごめん」
私は笑った。
「何してたの?」
高地が聞く。
「ちょっと鏡みてた!」
「なんで?」
「今日の私、かわいいなーって」
「自分で言うなよ!」
慎太郎が笑う。みんなも笑う。私も笑う。
ーーこの時間が、ずっと続けばいいのに
私はそう思った。
その夜、みんなが帰ったあと私は一人で部屋にいた。
スマホに今日撮った写真が並んでいる。
6人と笑っている写真。
私は一枚一枚、ゆっくりと眺めた。
「…..ありがとう」
誰もいない部屋で呟く。
そして、写真を大切に保存した。
翌日。
私は6人を呼び出した。
「みんなに、言いたいことがあるの」
「改まってどうした?」
樹が聞く
私は笑う。
「今まで、ちゃんと伝えてなかったから」
「何を?」
私は6人の顔を順番にみた。
「ジェシー」
「ん?」
「いつも明るくしてくれて、ありがとう」
「….」
「大我」
「うん」
「いつも私の話をちゃんと聞いてくれて、ありがとう」
「…うみ」
「北斗」
「…..うん」
「何も言わなくても、気づいてくれてありがとう」
北斗は何も言えなかった。
「高地」
「はい」
「いつも優しくしてくれてありがとう」
「….こちらこそ」
「樹」
「ん?」
「みんなをまとめてくれてありがとう」
樹は笑おうとしていた。でも、うまく笑えていなかった。
「慎太郎」
「….うん」
「いっぱい笑わせてくれてありがとう」
慎太郎は俯いた。
「….なんだよ、急に」
「言いたかったの」
私は笑った。
「今までずっと、一緒にいてくれてありがとう:
6人は何も言わず、私を見つめていた。
私も、笑っていた。
でもーー
その笑顔はどこか寂しかった。
私はベッドに横になりながら、窓の外を見た。
「….もう少しだけ。」
小さく呟く。
「もう少しだけ、みんなと一緒にいたい」
静かな部屋に、私の声だけが響いた。
そして私は目を閉じた。
ーー残された時間は、確実に少なくなっていた。
コメント
1件
うわぁ…第8話、読んでて胸がぎゅってなったよ。うみが一人ひとりに「ありがとう」を伝えるシーン、それぞれの反応が違ってて、でもみんな何か感じ取ってる感じが切なかったな。洗面所で口元押さえるとことか、「まだ大丈夫」って言い聞かせてるとことか…読んでるこっちまで息苦しくなった。笑顔の裏に隠してるものが伝わってきて、続きが気になって仕方ない🔥
640
やかんちゃん🍟🍄🟫
679
ぴざぶどう。
56