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・VTA時代捏造
・でびらびが付き合ってた(左右明記なし)
・暴力、監禁描写あり
・👻🔪の情緒がおかしい
・👻🔪→→→→→→→🐙🌟
・本作品は二次創作であり、ご本人様とは一切関係ありません
・本編中ライバー様のお名前は伏せません
<🐙🌟side>
ぼんやりと意識が覚醒していく。焦点の合わない目を擦って見上げた天井は見覚えのないものだった。ここはどこだと考えている間に呼び覚まされる“意識を失う前のこと”。
「っ!」
起き上がろうとしたところでようやく気付く、両手を拘束する手錠の存在。誰がやったのかは明確だった。
こういう時こそ冷静にとはよく言ったものだろう。決して焦らず、室内を観察する。俺が拘束されているベッドと中身のわからない小さな棚しか置かれていないところを見ると、普段から使われている部屋ではなさそうだ。
「…壊せますかね、これ」
とりあえず両手を動かしてみる。金属の擦れるガチャガチャという音が響いて一瞬どきりとするが、彼はまだ帰ってこなさそうだ。
触手を使ってベッドと手錠を繋ぐ鎖を引っ張ってみる。案の定壊れそうにはなかった。
壊すより抜け出す方が簡単かもしれない。まず粘液で滑りを良くして…
「何してんの?」
ドアの方から突如聞こえてきた“彼”の声に体が一切の動きを止める。彼は薄い笑みを浮かべたままベッドサイドまでやってくると、冷や汗が伝う俺の頬を優しく撫でた。
「あーあ、びしょびしょ。悪い夢でも見たか」
「っ、なんのつもりですか」
「何が?」
「とぼけないでください、これやったの貴方でしょ」
わざとらしく手錠を鳴らして訴える。しかし彼は俺の抗議を気にも留めず、ただ俺の目を見て顔から笑みを消した。
「呼び方」
「……まだそんなこと言ってるんですか」
俯いた俺がそう吐き捨てた瞬間、彼の右手が大きく振り上げられる。反射的にびくりと身を固めて目を閉じると、彼はため息をつきながら下ろした手でベッドに腰かけた。
「…まだわかんねぇよな、ごめんな」
「え、あ、いや…まだというか…」
「ぴょん」
つぶやかれた言葉を聞いて、なぜその名前がそうなったのか、と真っ先に思った。こちらに背を向けているため、彼がどんな顔をして名乗ったのかはわからない。
「俺のこと“ぴょん”って呼んでたろ」
「え、と……っ、うわ」
言葉に詰まる俺にyesを強制させるように彼がベッドに乗り上げてくる。咄嗟に逃げようとした俺の首を優しく撫で、月夜のような瞳で俺を射抜いた。
「な」
「……そ、ういえば…そう、だった……かも…です」
「だよな。あともっと砕けた態度だった」
「砕けたって、言われても…」
「そうだよな?」
俺の首にかけられた右手に力が込められる。狭くなった気道から声にならない掠れた音が漏れ出ると、彼は整った顔で僅かに微笑みながら俺を見下ろした。
「とりあえず目覚めてくれてありがとな。今後についてなんだけど、しばらくはお前も混乱してるだろうから……」
彼が何か言っている。しかし、俺の頭はどうやってここから逃げるか、逃げた後はどうするかという事しか考えていなかった。
「……てことでいいよな?」
「え?あ……」
まずい、何も聞いてなかった。しかしそれすら彼はわかっていそうだった。
もしかしてこの人は俺が話を聞いてないのをわかった上でわざと話を進めたのか?俺を都合良くここに閉じ込めておくために?
とにかく何か言わないと。そう頭ではわかっているはずなのに、この一言で俺の今後が縛られてしまうかもしれないと思うと口が動かなかった。
「……ぁ…」
「…なあ、頼むよ。頷いてくれよ。俺と、お前の幸せのために」
晶。
出会った瞬間から続いていた獲物を押さえつけるような態度から一変し、弱々しく俺の服を掴んで縋るように顔を伏せる彼に思考が止まる。気づいた時には俺はにこりと笑っていた。
「…うん、わかったよ。ぴょんったら寂しがり屋なんだから」
「!…うっせーよ」
彼の嬉しそうでどこか泣きそうでもある笑顔を見て安堵する。
もうここから逃げるには彼の言う“晶”というヒトを演じて、気を緩ませてこの部屋から出してもらうしか道がない。抗えば抗うほど、俺はきっと酷い目に遭う。
「でもしばらくはここにいろよ、お前ほったらかしにすると何やらかすかわかったもんじゃねぇから」
「でも俺、鑑定士の仕事もヒーロー活動もやらなきゃいけないのに、ずっとここにいたら何も出来ないよ」
「…?お前そんなことしてたか?卒業した後どうするか考えてない~って言ってたじゃん」
終わった、と思った。
この人の瞳に“星導ショウ”は映っていない。心の底からそう思っているように、それも至って普通の顔で言うもんだから俺は完全に怯んでしまった。
「……あ、はは……そうだった、かな…」
「さっきから変なことばっか言うな、お前。…変なのはいつもか」
「あ、ごめ……」
謝りかけた俺の腹に容赦ない拳が叩き込まれる。
「ッ”!?っは”、!ぁ”ぐ…ッ!!」
ここに来る前よりずっと強くずっと重いそれに内臓がひっくり返ったような気持ち悪さと圧迫感がつきまとう。
上手く息が出来ずうずくまる俺の肩を掴んで押し倒し、力なく横たわる触手のうち一本を踏みつけると彼は冷たい目を見開きながらずいっと詰め寄ってきた。
「違う、違う違う違う!!心の底から謝らない、常に生意気、1言えば10返す、それがお前、晶だろ!?」
「ぁ、ぅ…ごめんなさ、」
「謝るな!!そんなのお前じゃない、俺の晶を返せ!!なあ、なあ!!!」
乱暴に肩を揺さぶられる。先程殴られたのも相まってか、今にも吐いてしまいそうだった。
返せって、お前じゃないって、そんなの知らないよ。
目が覚めたら俺だったんだよ。
俺はショウなのに。
晶じゃないのに。
貴方のことなんて、知らないのに。
「…はぁ、はぁ……」
「……」
「なあ、晶…俺のこと、まだ好き?」
「……」
「晶……星導、晶…」
「……うん、好きだよ…ぴょん」
俺は今日から、恋人のフリをする。
スクロールお疲れ様でした!
まだ続きます。