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少年はルークと名乗った。
父は商人、母は専業主婦で、生後半年の妹と
四人暮らし。
決して裕福とは言えないが、『一般的な家庭』
という印象だった。
しかし、その後に続く話に私は言葉を失った
「一ヶ月くらい前から、母の様子が急に
おかしくなって、今は寝たきりなんです。」
嫌な予感が脳裏をよぎった。
医者を呼んでみたが原因が分からず、
少年は母が寝たきりになる数日前に
化け物を見たと言った。
私は確信した。
少年の母親は呪われたのだと。
私はすぐに彼の自宅を訪れた。
家に入る前から分かる、禍々しい雰囲気。
恐らく母親を呪ったのとは無関係の霊まで
その雰囲気にあてられて集まってきている。
早急に対処しなければそのうち一家全員が
悲惨な目に遭うことになる。
「何とかなりますか…?」
私の険しい顔を見て不安になったのか、
少年が恐る恐る聞いてきた。
「大丈夫、と断言はしてあげられない。
善処するが、私にもどうなるか分からない」
私の答えに少年はますます不安を浮かべる。
『大丈夫』『なんともない』
言ってあげられたらどれだけいいだろうか。
でも、そんなものは気休めでしかないことを
私は知っている。
すぐに道具の準備をして、除霊を開始した。
想定外だったのは問題なく除霊出来たこと
そして、除霊したのに呪いが解けないこと
母親の寝たきり状態は除霊しても戻らなかった
呪いをかけた者は他にいる。
そして、彼の家で起きたことを皮切りに、
次々と似たような事案が発生した。
恐らく術者は、私の住んでいる地域にはいない
私ならば簡単に跡を辿れてしまうからだ。
それを分かっていて、同時多発そして無差別の
『呪い発動』
さて、どうしたものか。
元凶が分からないと対処のしようがない。
あれから、私は仕方なくルークを弟子にした。
弟子は取りたくないし、 無差別攻撃が
ある 以上、荷を負わせたくはない。
というより、本来なら弟子をとる必要はない。
私は陰陽術で式神を操る。
助手なら手は足りていると最初に断った。
それでも母を救いたいと念を押されたので
仕方なく許可を出した。
現場を転々としているうちに、ルークは
霊感を身につけ、霊が見えるようになった。
だが未だに悪霊と守護霊の区別が付いていない
「神霊」
その土地を守り、繁盛させる善良な霊。
供え物を求める代わりに、身の安全を保証する
「妖怪」
これは物によるが、座敷わらしなどは
善良な妖怪である。
子らを守り、語り継がれ、またその次を守る。
こういった者たちは祓う方が逆に悪影響になる
実際、そういうものを見極めるのは難しい。
長くこの世界にいる私でも迷う時がある。
感覚を掴んでいる最中のルークにとって、
良いものか、悪いものかの区別など
無いに等しいだろう。
私は時に、その土地の神や妖の力を借りる。
余所者の私よりも長くいる者たちの方が
知っていることが多いからだ。
前情報は必ず入れるが、それだけでは
戦えない時もある。
ルークの戦闘参加は一切許可していない。
ただでさえ除霊自体が危険を伴うのに、
霊や怪異との戦闘となれば別次元の問題だ。
戦い方を間違えれば死ぬのは術師だけじゃない
そんな責任をルークに背負わせられない。
もし、敵が霊や怪異を超越する存在だとしたら
此度の戦は人類が生きるか死ぬかのものになる