皆さんこんにちは!こうちゃです。 今回はこめーぷるになります。初めて嘔吐描写に挑戦したので色々とグダってますが暖かい目でご覧下さい…🙇🏻♀️
以下↓⚠️注意⚠️
※🇺🇸の体調不良の描写がございます。
※嘔吐描写あります。
※史実とは一切関係ございません。
※なんでも許せる方のみ進んでください。
ぽかぽかと暖かな日差しが降り注ぐ中、人々はのんびりと休日を満喫していた。僕も今日はパンケーキを焼いて、メープルシロップをたっぷりと贅沢にかける予定だったのだ。会議があるということを思い出さなければ。
「すみません!ありがとうございました」
そう言ってタクシーに大急ぎでお金を支払ってバタンと扉を閉める。
「うわぁ…もう30分も遅れちゃってるよ〜!クマ権三郎さん、急ごう!」
「ダレ?」
「カナダだよ!!」
いつものやり取りをしながらあまり早く動いてくれない足を必死に動かす。今日はG7のサミットに向けて、国の化身たちで意見を出し合う大事な会議なのだ。いくら僕の陰が薄いからといって、さすがに遅刻はまずい。
「…はぁっ…はぁ…すみません…遅れました…」
そっと静かに扉を開けて音を立てないように会議室に入る。こういう時に僕の目立たなさが役に立って助かるんだよね…なんて思ったのも束の間。普段はほとんど感じない視線をこれでもかという程浴びて、驚いて顔を上げる。
「Hey,マシュー!遅いんだぞ!30分も遅刻してるじゃないか!!さぁ、早く席に着くんだぞ!」
「あ、えと…すみません、遅れて…」
「謝罪はあとだぞ!Hurry up!!」
いつになくテンションの高いアメリカに促されてカナダのネームプレートの前に座る。高級感のある机はサークル状になっており、アメリカ、僕、フランスさん、イギリスさん、ドイツさん、イタリアさん、日本さんの順にネームプレートが置かれていた。僕が腰をかける前にアメリカが意気揚々と演説を再開する。後で皆さんに謝らなきゃなと思いながら息をつくと、フランスさんがコンコンと机をノックした。驚いてフランスさんを見ると、ちょいちょいとアメリカを指さして言った。
「あいつ、なんか今日変なんだよ」
「変…ですか…?」
「なんかやけにテンション高いっていうか…いや、テンション高いのはいつもの事なんだけど、比べ物になんないというか… 」
アメリカをちらりと見ると、確かにいつもより張り切ってるような気がする。声も大きいし。
「今日は気合いが入ってるんですかね…?」
「あ〜、えっと、そういう感じでもなくて…」
なんとか説明しようと躍起になっているフランスさんに首を傾げると、Hey!!と大きな声が会場に響いた。
「マシュー、フランス!俺のgreatなプレゼンを聞かずにおしゃべりかい!?特にマシュー!君は遅れてきたんだからしっかり聞くべきなんだぞ!」
「あ…ご、ごめん…」
「あ!それにイタリア!今はシエスタの時間じゃないんだぞ!」
「ヴェ!?あっ、ご、ごめn…」
「それじゃあこのグラフを見てくれよ!」
フランスさんのほらね!、と言いたげな目に苦笑する。なるほど、確かにおかしい。いつもならアメリカはこんな風に注意なんてしない。机に置かれていた資料を見るとその分厚さにため息をつく。これは重症みたいだ。まあある程度ガタが来たら止めてあげようかななんてぼんやり思いながらアメリカの長い演説を耳に押し込んだ。
2時間後。さすがに長いアメリカのプレゼンは終わったものの、会議場の空気は最悪だった。
「えっと…この、この表を、見ると…」
「Hey!!イタリア!そこの表の数値おかしくないかい!?」
こんな具合に、他国のプレゼンを遮って問い詰めてしまうことが続いてるからか、誰も発言したがらない。イタリアさんは泣きそうな顔をして何とかプレゼンを続ける。見かねたドイツさんや日本さんが庇ったこともあったが、何せアメリカはいつもと違って正論しか言わないからか、誰も強くは出れないみたいだった。
「あ、アメリカ!そろそろ休憩じゃないか?」
イギリスさんが嬉々として時計を指さすと、確かにもうすぐ正午だった。いつもならとっくに休憩を取っている時間だ。各国がほっと息をついたのも束の間、案の定アメリカが異議を唱える。
「でも彼がまだ話してるじゃないか!それを聞いてからでも休憩は逃げないんだぞ!さあ、早く話してくれよ!」
「ヴェ〜!?」
休憩にする気満々だったイタリアさんがガックリと項垂れる。コツコツとまた机を叩かれたので隣を見ると、フランスさんとイギリスさんが僕に期待を込めた目を向けていた。この2人はこういう時はびっくりするほど息ぴったりだ。休憩までは持つかなと思っていたけれど、各国のげっそりとした顔を見るにもう限界なのは明らかだった。僕は膝の上にいた熊二郎さんをそっと下ろして立ち上がる。
「アメリカ、休憩にしよう?」
「How come?」
「もう12時でしょう?いつもならとっくにお昼を食べている時間だよ」
「でも、まだ、途中なんだぞ!」
「お昼を食べたあとに再開すればいいじゃないか」
僕らの口論を各国がハラハラしながら見守る。アメリカを見ると、その特徴的なあほ毛がゆらゆらと左右に揺れていた。ああ、もう!本当に世話のやける兄弟だ!
「ほら、行くよ」
嫌がるように左右に首を振るアメリカを無視して腕を引く。強く引かなくてもアメリカの身体はふらりとこちらに着いてきた。
「すみません、皆さん休憩にしてください」
それだけ残して僕とアメリカは会議場を後にした。
「まったく、君は本当に世話が焼けるね!」
「……っはぁ…ましゅ…」
「結局僕がこうして回収するんだから少しくらい大人しくしててくれよ!」
「…ま、しゅ……」
「なに!?」
くいっと腕を引かれて立ち止まると、アルが真っ青な顔で片手で口を抑えていた。
「……ぅ、え…」
「ちょっ…、ちょっと我慢して!」
大急ぎで腕を引っ張って近くの男子トイレに駆け込む。バンッと個室トイレのドアを開けるとよろよろとアルが中に入って便器に突っ伏した。
「…ぅ゛えぇっ…げほっ、げぇえ゛…」
アルの背を擦りながら熊五郎さんに休憩室が空いているか見てきてと頼む。上手く吐けないのか何度も嘔吐くアルの鳩尾をグッと押してあげると、勢いよく吐瀉物が飛び出した。
「……けほっ…はぁっ…は…」
「落ち着いた?」
涙と鼻水でぐちゃぐちゃのアルにそう訪ねると大人しく頷いた。トイレの水を流した後、ガクガクと足が震えるアルを支えて水道で口をゆすがせる。
「アイテタゾ」
「ありがとう、熊太郎さん」
吐いたことで熱が上がったのか、ぐったりとしゃがみ込んでいるアルの肩をとんとんと叩く。
「アル、休憩室行こう?」
「……むり…」
「どうして?」
「せかい、が、まわってる…からっ…」
回ってるのは世界じゃなくて君なんだけどなぁ…と思いながら隣にしゃがむ。
「もう…無理するからだよ」
しばらく背中を撫でてあげると少しだけ落ち着いたのか立ち上がる素振りを見せたので支えてあげる。
「いける?」
「……ん…」
本当は抱えてあげたいところだけどさすがに無理だから、アルには肩を組むままでで我慢してもらおう。
「…っあと…もうちょっとだから…」
ぜぇはぁと辛そうな呼吸を繰り返すアルを引きずるようにして何とか休憩室にたどり着く。ソファを見た瞬間気が緩んだのか、ふっと力が抜けてしまったアルを急いで運んで寝かせることに成功した。
「…はぁっ…ひぃっ…も…アル…もうちょいっ…痩せといてよ…」
悪態をつきながらアルの顔を覗き込むと、もう本当に限界だったんだろう。半ば気絶するように目を閉じたアルは荒い呼吸を繰り返すだけだった。とりあえずメガネと革靴を外して、ネクタイを緩めてあげる。本当はジャケットも脱がせてあげたかったけどアルを持ち上げられる自信がなくて諦めた。
「…体温計…は、ある訳ないよね…」
休憩室はあくまで会議の休憩時間にコーヒーや紅茶を飲むための部屋みたいなものだ。病人に必要なアレやソレがあるはずがない。どうしたものかと考えていると、コンコンと少し控えめなノック音が聞こえてきた。
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