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身の回りの世話
特に、何かあった訳でもない。あると言ったら直近のライブぐらいだろうか、それを経てなぜ雲雀が毎日のルーティーンのようにあの行動をとる理由がわからなかった。
因果関係は無いし、本当に身に覚えがなかったのだ。
どういうことは、雲雀自身、プライベートで何かあった事になる。
とはいえスケジュールを共有しているため、雲雀が何時にどこにいるかなどは分かるし、それこそどこの店に入ったか、等は本人から嬉々として告げられる。
彼の性格上何か気になることがあったらとことんそれを解決しようとする癖、変に面倒臭がりなところがある、だから初めは気まぐれかと思っていたが、今もう数週間は続いている。
前コラボで話した寝る前に必ずすること、にあの行動が組み込まれているような気さえする。
……つまり、本当に分からないのだ。あの男は。
何を考えているのか分からない。真剣な顔をしていても実は何も考えてなかったり、表情豊かな癖その感情は読み取りにくい節がある。
僕にはそれを測る技術はない。から、どう頑張ってもあの男に聞くこと以外に道はない。
なぜここまで本人に聞くことを躊躇っているか、それは雲雀があまりにも当然のようにこなすからだ。
さもそれが毎日していましたが?という顔(実際には分からない)をしていて、こちらばかり雲雀の行動にやきもきしているのが悔しかったから。ただそれだけだった
肝心なその行動とは
毎日毎日、僕の爪を手入れすることだ。
最近は爪だけでなく、手そのものに力を入れるようになったらしい、マッサージ、保湿等々。
そのお陰で僕の手は毎日艶々である。
僕と雲雀はつまるところ恋人同士で、やることもやっている訳で。
爪の手入れなら、そういう意味で誘われているのか?と思ったがそういう訳でもないらしい。初めてそんなことをされた時、雲雀は家には来なかったし、あの意外と恥ずかしがり屋な雲雀の事だ。恥じらいもせずそんな誘いを仕掛けるはずもなし、雲雀の目は真剣だった。
だからこそ、僕はこうして悩んでいるんだ。
心底無駄だとは思うが、雲雀の理解度チェックというこの変な意地に大義名分をかけて、僕は君に相談しているんだ
「四季凪アキラくん」
「……それ、私に相談している時点で理解度チェックという大義名分、破綻してません?」
「………だぁって本当にわかんないんだよ!!!!」
「まあ、タライは基本的に謎ですからね…」
「爪って何!?!?ねえわかる!?人の爪を手入れしようと思う精神思考!」
「ネイル、とかなら分かりますが…」
「本当に会った時、落ち着いた部屋で手を両手で揉んでどこから出したか分からないヤスリで手入れし出すの…怖くね…?」
「………もう本人に聞きなさいよ……」
「面倒くさくなってんじゃねぇよアーキーラー!」
何度考察をしようとも、”渡会雲雀なら有り得る”が全てに適応されてしまうため答えを得ることは出来ずそのまま解散という成果ゼロという結果だった。
アキラ自身の答えもあいつの考えていることが分からない、で結局落ち着いてしまった。
まあ、僕が分からなくてアキラが分かったらそれはそれで嫌だけどさ。
その後も、もんもんと考える時間も増え、雲雀は変わらず爪の手入れをしてくる。最近は僕の肌のことを心配してきて、その前に自分の肌を心配しろ、と割とズボラなところがある雲雀に注意をしておいた。顔まで手を出されると出てくる答えも出てこない。
でも逆に、雲雀は別に爪にこだわってるわけではない、ということが証明されたのではないこ?とも思いつつ、渡会雲雀なら1つの目的があっても解決できるものならやるか、という気まぐれかもしれない。全ては渡会雲雀ならするかもという答えに帰結する。
――これ、いくら考えても意味無くないか?
今更僕は気が付いた。結局そう答えが出てしまうなら何をどう捻って考察しても意味はないのではないか。だってもう雲雀だったらそうするかもが答えなんだ。意味ねぇな。
一人でそう納得し、数週間の悩みを呆気なく水の泡にされて最早怒りが湧いてくる。
アンサーでさえ用意できなかった自分を情けなく思うがそれもこれもよく分からない行動をする雲雀が悪い。
「なあ奏斗 」
「ねえ雲雀」
同時に口を開きお互いに問いかけをする。
数分黙っていた僕を気にかけたんだろう、少し眉が下がっていて可愛らしい。
「ん?何?雲雀」
「んーー、、いや、、んーーー」
「何よ」
雲雀は何かを迷うように目を泳がせている。
何かを決意したかのようにこちらに向き合い、ふぅ、と深呼吸して口を開く。
流石にそこまで気合いを入れられるとこちらも身構えてしまう。背筋を伸ばし自分も深呼吸する。
「奏斗、は嫌か?」
「へ?」
嫌、とは爪の手入れのことだろうか。
どうも主語がなく分かりにくい。
少し思案するような素振りを見せると、雲雀はふぅ、と息を吐いてこちらに手を伸ばして肩にぐりぐりと頭を擦り付けてくる。
「雲雀?どしたん」
「うーん、奏斗は、嫌?」
「嫌?とは」
「俺がこう、、近くにいるの」
「……は?」
そんなわけが無い。雲雀が嫌と言っても離すつもりがないのだ、近くにいて欲しいに決まってる。
「やっぱ、嫌か?」
「いや、嫌なわけないでしょぉ……雲雀超可愛い…」
こちらも負けじと雲雀を抱きしめてぐりぐりと頭を擦り付けてやるとくすぐったそうに喉をくつくつと鳴らしている。
「なんでそう思ったのさ 」
「え〜?やって最近何かと悩んでるしたまに俺が声掛けても気付かんし、悩みの種俺かな〜って思って」
まあ、大正解でございますが。
お門違いな勘違いの仕方している雲雀をまたいっそう強く抱き締めると苦しいのか頭をポンポンと叩いてくる。
「いやまあ、お前なんだけどさ…」
「えっ、俺なん!?」
「……はあ…………………」
「え、ええ、何すればいい?んんん話聞こか」
………………………………僕の負けか
「爪」
「つめ」
「……爪?」
雲雀はなんの事だ?とも言いたげに首を傾げている。許せねぇ。こいつ
「だぁかぁらぁ!僕の爪!なんでそんなに僕の爪を手入れすんのって!!」
「……つめの……ていれ……」
雲雀の中で僕の言葉をゆっくりと咀嚼しているのだろう。ふむふむ、と自分のペースで頷くこいつが今は凄く憎く思えてくる。
やっと理解が終わったのは今度は思いっきり笑い出す
「っあはははは!!!!奏斗そんなことで悩んでたん!?しかも何週間も!!!あはははは!!!」
「答えを聞いてんだよ!何が目的なんだよ!」
「っはは、ごめん、っ、てか爪を手入れすんのに目的も何もねぇよ」
「は? 」
「いや、奏斗の手綺麗だし、それを維持したいな〜と思って始めたんやけど、途中からお前の手の変化に楽しくなっちまって、っふは、」
「……………………………………はあ…」
予感は的中し、少々遅かったが諦めたことを賞賛した。
やっぱり分からない。この男。
全ては渡会雲雀ならやるかもしれない、で帰結するのだ。悩んだ方が馬鹿と言えるだろう。
相手に何も求めず相手が得をする行いを自分の楽しさに変換し施しを与える。雲雀の魅力ではあるが、それが変な方向へシフトされるとこうも人は悩んでしまうものなのか。
舌打ちをすれば拗ねんなよ〜と抱きしめられて雲雀の胸に押しつぶされる。
「次は、肌、やりてぇんだけど、ダメ?」
離れたかと思えば今度は甘えるように腕を首に絡めて上目遣いでそんなことを言う。
「……ダメだ」
「ええ〜かなとの肌とぅるとぅるにしてやるぞ」
「いーや、ダメだね。 」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
なんのはなし書いてるんだろう、と思いながら一応完成させました。
なにかいてるんだろう。
受けの好奇心に振り回されるだけ振り回されて空振りされる攻め可愛いな、と思い至りこんな話になりました。
色々書きたいものが溜まっているのですが、簡単そうなのから仕上げていきます。
過去作、恥ずかしくて読み直せないので、シリーズ系も止まってしまいますが、新しいの出していけたらなと思います。