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「僕の昔話をしようか。」
……え?
「僕ね、実は呪われてるんだぁ」
いつもどうりの笑顔でそういう。
「なん、で……」
「この妖魔、封印したの僕なんだ。」
「!?けどっ封印した研究者はもう……」
なんで?嘘嘘嘘嘘そんなはずない。お兄さんが、そんな……
「死んでると思われてるけど、実際は呪いがかかってるから人前に出られないんだ。」
おにい、さん……もう、言わないで……
「その呪いって言うのがね、死ねない代わりに人のことを好きになったら消えてしまうんだ。」
「じゃあ、なんで消えかかって……」
「それはね……」
お兄さんの口から信じられない言葉が出る
「僕が君のことを愛してしまったから。」
……え
「う、そ……」
「嘘だったらこんなこと言わないよ」
やめてよ。辛くなっちゃうじゃん……
「ほら、おいで。」
腕を広げてくれる
「っ甲斐田さん……!」
初めて呼べた、あなたの名前
「ははっ、初めて名前呼べたね」
「消えないでっ、お願いだからっ……」
無理だとわかってる。甲斐田さんはもう、消えてしまう。
「ばいばい、瑠衣ちゃん。」
そんな、笑顔でお別れの言葉言わないでよ。けど……
「っばいばい!」
精一杯の笑顔で私は言う。笑ってお別れをしたいから
「……絶対忘れないからね。甲斐田さん」
私は、青い桜の花びらを残して消えた甲斐田さんをいつまでも見つめながら誓う。もう一度あの人に出逢うと。
―神様お願い私たちをもう一度出逢わせてね―
「またこの季節が来たよ。甲斐田さん」
あなたのおかげで私は今も生きている。
「甲斐田さんがいなくなって、もう5年経ったよ。」
これからも私は、あなたを忘れられずに生きていくでしょう。
「……また来るね。」
また逢える日まで、おやすみ