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#男主人公
✦ルナ✦
6,087
とりぴぃ〜
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第2話:剥き出しの引き金
拓海「バ、バズ……くん……。お金なら、この前のバイト代、全部渡したはずじゃ……」
拓海は修哉の背中に隠れ、カチカチと奥歯を鳴らしながら、今にも消え入りそうな声で命乞いをした。
その細い指先は、恐怖のあまり修哉のスウェットの裾をぎゅっと掴んだまま激しく震えている。
だが、バズはそんな拓海の怯えを楽しむように、ヘラヘラと下品な笑みを浮かべた。ダボついたダウンジャケットのポケットから手を抜くと、拓海の胸ぐらを乱暴に掴み寄せる 。
バズ「足りねえんだよ、は端金が。団地の凪くんがさぁ、今度美味いもん食いに行こうって言ってるわけ。お前、先輩の俺たちのために、もうちょっと誠意見せられるよなぁ?」
バズの隣に立つ、髪を奇抜に染めたしたっぱのガキが、下卑た笑い声を上げながら拓海のポケットを無理やり漁り始めた。バリ、と虚しい音がして、拓海が大切に使っていたマジックテープ式の小銭入れが奪い取られる。ガキは中身を確認するや否や、チッ、と舌打ちをしてそれをアスファルトにぶちまけた。チャリン、チャリン、と虚しい金属音が薄暗い路地裏に響き渡る。
修哉は、その光景を一歩離れた場所から無言で見つめていた。
右手のポケットの中で、セブンスターのソフトパックがみちみちと音を立てて潰れていく。
喧嘩は、しない。
お袋と、絶対にしないと約束した。
ここで手を上げたら、またお袋を泣かせる。工場もクビになって、せっかく社長が用意してくれた行く場所がなくなる──。
バズ「あ? 拓海ぃ、何だよこの小銭。俺たちを舐めてんのか?」
ドカッ!!
バズの容赦のない、強烈な膝蹴りが拓海の溝おちに深く突き刺さる。
拓海は「カハッ……!」と短い悲鳴を上げてその場に崩れ落ち、お腹を抱えてエビのように丸くなった。
バズ「あーあ、ゴミだな、お前。……ん? おい、そこに立ってる地味なツラしたお前。浅倉鉄工の新しい新人か?」
バズのトカゲのように濁った目が、じっと突っ立っている修哉を捉えた。
黒髪の短髪に、シンプルなストリート系の私服。線の細いその見た目は、バズたちの目には、ただの安全なカタギのカモにしか見えなかった。
バズ「お前も拓海のツレなら、連帯責任だよなぁ? 服は小綺麗だけどよぉ……。おい、財布出せよ。ジャンプしてみろ、音が鳴ったら一発につき一万円な」
したっぱのガキどもが、ヘラヘラと笑いながら修哉の周囲をジワジワと囲んでいく。逃げ道はない。
地面に這いつくばった拓海が、涙と鼻血で顔をぐしゃぐしゃに汚しながら、必死に声を絞り出した。
拓海「浅倉くん……ダメだ、逃げて……! こいつら、サレオスの……刃物、持ってるから……!」
バズ「あ? うるせえよゴミが」
バズは吐き捨てると、倒れている拓海の頭を、容赦なくスニーカーの底で強く踏みにじった。ぐりぐりと体重をかけられ、アスファルトに拓海の顔が押し付けられる。皮膚が擦れる嫌な音と、拓海のくぐもった悲鳴。
その瞬間。修哉の頭の中で、必死に張っていたブレーキが、限界を迎えて完全にブチ切れた。
お袋の顔が消える。 少年の壁が消える。
イライラしていた脳の熱さが一瞬でスコーンと冷え渡り、極上のアドレナリンが全身の血管を猛スピードで駆け巡る。
脳内シミュレーション──完了。
(前傾姿勢、顎が完全に無防備、所要時間──コンマ零秒)
修哉「……正当防衛だし」
バズ「あ? 何て言っ──」
バズがその言葉の真意を理解するよりも早く 。
修哉の身体は、すでに地を這うような最短距離をノーモーションで突っ込んでいた。あまりの速さに、バズの視界から修哉の姿が完全に消える。
ガッ!!!
次の瞬間、静まり返った自販機コーナーに響き渡ったのは、人間の肉体が立てていい音ではなかった。
修哉の、喧嘩のせいで不自然に変形した歪んだ右拳が、バズの顔面のド真ん中に正確に突き刺さっていた。鼻骨が粉々に砕け散り、バズの巨体が真後ろの自動販売機に激しく叩きつけられる。ガシャーン!!と自動販売機全体が激しく揺れ、夜の裏路地に凄まじい金属音が轟いた。
コメント
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**読了!** お、めっちゃ熱い展開来たな🔥 修哉のブレーキが切れる瞬間の描写、脳内シミュレーション→ノーモーションで突っ込む流れ、めちゃくちゃ解像度高くて痺れたわ。 お袋との約束と戦うことを天秤にかけてるところも、ちゃんとキャラの背景が生きてて刺さる。 「正当防衛だし」って呟いてからの一撃、最高にかっこよかった。 第2話でここまで持ってくのは正気か?続きガチで待つわ🔥