彼女の過去
「大丈夫よキャラ。」
「気にするな。皆お前のことを知らないからあんなことが言えるんだ。」
「そうよ。大丈夫私達家族は貴方の味方だから。」
「安心して休んで良いからな。」
「………うん。」
私は……キャラ。
家族を除く皆からいじめられている。
理由はなんとなく分かっている。
多分だがこの目が理由だ。
生まれた時からずっとこの目。
悪魔の様な目だと言われている。
この赤くて、奇妙な珍しい色の目。
この目のせいでお父さんとお母さんも皆から嫌われてしまった。
悪魔を産んだ悪魔の親として。
だが、私はそこまで辛いとは思わなかった。
お父さんとお母さんが私を支えてくれたからだ。
とても優しく、人から好かれる様な性格の両親。
私が産まれる前は村の皆からとても信頼されていて、村のほとんどの人達に信用されていた。
だけど、私が産まれた時から両親に対する村の人達の態度が大きく変わった。
村の人達は生まれたての私の目を見て
「悪魔の目だ」
と言ったらしい。
そのことを知った時は、私が生きてる意味なんてあるのかと思うほど落ち込んだ。
私が生まれてこなければ、両親達は皆からの信頼と信用を失わなかったのではないのかと思った。
それから私は自分のことが嫌いになった。
両親のことは変わらず大好きだったが、だからこそ私が自分のことを嫌いになっていた時間は長かった。
数年前の誕生日に、赤いハートのヘアピンをお父さんとお母さんがくれた。
最初はその【赤】が私の目に見えて嫌いだった。
だけどしばらくたつとそのヘアピンは私のお気に入りになった。
せっかく二人がくれた物だということと、お母さんが、
「貴方の目はとても綺麗よ。貴方が思うよりもずっとね。私達を照らしてくれる。私達の光なんだから。」
と言ってくれたから。
それからは、いつもそのヘアピンをつけていた。
だけど周りからは、
「気色悪。」
「しかもアイツの目の色と同じだ。」
「いつあんなものを…………。」
「他の奴から奪ったんじゃか?」
「あり得そうだな。だが深くは聞かないでいようぜ。」
「そんなこと聞いて自分が被害にあったらたまったもんじゃねぇよ。」
「……………」
なんて言われる。
でもそんなこと言われても最近は気にしないようにしている。
気にしたって何も変わらないから。
それと、最近ハマっていることがある。
それは………
星を見ること。
星を見てると嫌なことがほとんどなくなっちゃう。
だから、晴れた日の夜に村から少し遠い野原に行って星を見るのが大好きになった。
ある晴れた日の夜いつものように野原に行って星を見ようとしたら、野原に寝っ転がって星を見ている誰かがいた。星を見てるその目はとても綺麗で夜空の月の光が反射して、キラキラ光っていた。
私はその人に声をかけた。
「そこで何をしてるの?」
そしたらその子は突然飛び上がってこっちを向いた。
そして少し黙ってから、その子は
「星を見てたんだ。」
と言った。
私は嬉しくなって
「君も星を見に来ていたんだね!」
と言った。
そして私はその子の隣に座って、
「ねぇ、私達友達にならない?」
と聞いた。
そう言うとその子は嬉しそうな顔をして、
「うん!」
と答えた。
私は嬉しくなった。始めての友達だから。
「やったぁ!あと、自己紹介がまだだったね。」
と言い、
「私はキャラ、好きな物はチョコレート、好きなことは星を見ることだよ!」
と続けて言った。その後に、
「僕はサンズ。好きなことはキャラちゃんと同じで星を見ることだよ。キャラちゃん、これからよろしくね!」
「うん!よろしく!あと、キャラでいいよ。キャラちゃんはちょっと恥ずかしいから。」
「分かった。よろしくね!キャラ!」
それから私とサンズは、晴れた夜の日には毎日会った。
皆からは未だに色んなことを言われるけど、サンズと会って話をすると、そんなことは星を一人で見ていた頃よりもずっとどうでもよく思えた。
それから何日、何週間、何ヵ月と月日が流れた。
これからもずっとこんな日々が続くと思っていた。いつかはこんな日常が崩れる時が来ると分かっていたはずのに。
コメント
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キャラちゃーん!!