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俺はある本丸に顕現した初期刀の山姥切国広だ。よくいる山姥切国広で対した個体差もなくひねくれている普通の山姥切国広だ。ただしその山姥切国広は少しだけ前向きであり、布は被りはしても、被らない時がよくあった。


どうして布を被らないのか?その原因は本丸にあった。

その本丸はひとつを除けばよくある普通の本丸なんだが、そのひとつの問題が大変であった。それは長谷部さえ過労で倒れてしまう程の忙しさである。

本来審神者というモノはそれほど業務に追われ倒れるほどの仕事ではない。刀剣の管理をし、政府に報告する書類と時折来る業務連絡を返すぐらいの仕事なのだが、その山姥切国広の主はかなりの面倒くさがりだった。本当に良い人で刀達を信頼し、されている良い人なのだが面倒くさがりなのだ。そして運悪くその性質が少なからず影響してしまった刀剣たち。

ただ山姥切国広はその性質を受け継いでいなかった。そして必然と自分がすることが増えて言ったのである。

審神者と刀剣のやる気が中々でず、書類が溜まり溜まる日々。そして期限があと少しで切れる書類。

初期刀の立ち位置である俺は本当に本当に忙しかった。


朝誰よりも早く起きて、スケジュールをたてる。そして審神者を起こし、書類とメールを確認し、PCと向き合う。ある程度終われば次は戦に参加し、刀剣の本来の責務を果たす。

そして戦績と刀剣達と少しだけ交じり不満、意見、怪我などの有無を確認する。そしてまた書類整理を始める。

休む暇などなかった。なんなら休んでしまったら負けと思ってしまっていた。


そしてもう一つ山姥切国広が絶対にしないといけない事があった。


それは山姥切長義にすごく関係した。俺の本科である山姥切長義。俺は本科が好きだった。過去の薄っすらと覚えている記憶が今となっても自分にとっては大切だった。

「俺の写し」そう優しく言われ、大切に頭を撫でてくれる本科。その目線は愛らしいと見て感じれた。それがずっと俺は大好きでずっと聞いておきたかった。また名を呼ばれたい、また会いたいとずっと願っていた。多分それは他の同位体でも同じだろう。


今は山姥切と俺が呼ばれているが、本来それは本科が言われるべき名だった。

だからこそ彼が顕現した時山姥切問題として発展しまっていた。審神者たちは俺らの問題を色々と介入し、ブラック本丸やらなんやらと。沢山の問題が起きてしまったのだ。

その山姥切問題を調べていたら丁度”とうらぶちゃんねる”というのを発見した。そこで見たのはやはり俺と本科は不仲であり、俺は嫌われている。という事で。もしいつか本科がここに来るなら冷たい視線で偽物くんと言われるのか?と想像してしまった。

俺はそれが耐えれなかった。なんなら想像して泣いた。偽物くんと言われるのは…納得はしないが言われるのはわかる。でもそれでも俺はその視線が嫌だった。ずっと大切に癒やしと感じていたその目線が絶対零度の視線として向けられるのだ。耐えれるか?

耐えれないよな。だからこそ俺は思ったんだ。嫌われないよう行動しなければ、と。

そう考えたら行動は早かったな。なんなら即行動した。まずは主のほうへ向かい言った。


「主、改めて言いたいことがある」

真剣にこれは大切な事だと言う。

「ん?ん、、?どうした?そんな真剣な顔して」

主は焦りながら俺に体を向けた。

まさかこの前料理にワサビを入れたのがバレたのか?とブツブツ言っている。おい待て、それはあんただったのか。あとで説教だ。でも今は言わなければならないことがある。

「主、俺の名を国広か切国と呼んでほしい。けして”山姥切”と俺に向けて言わないでほしいんだ」

「俺には本科がいる。本来山姥切というのはその本科が呼ばれないといけない。俺は写しだから山姥切と呼ばれるのは正直避けたい」


「俺は本科のことを大切に思っているから」

ふっと笑い俺と本科のことを説明する。いつか来てほしい本科、そのときは仲良くできるだろうか。きっと前のようには行かないと思うけれど、傍にいることは許してほしいとそう願うばかりだ。

「そういう理由があるなら次から違う名前でいうね。あとから皆にも伝えるよ」

そう主は言ってくれた。こういう所は主の良いところだなとつくづく思う。

そして俺は暇さえあれば本科のことを刀剣達と主に話すようになった。本科のことを知ってほしい為に、どれほど優しいのかを伝える為だけに何回も言った。

それは本科の為を想って、いつか来るであろう長義の為に。

あと単純に俺が話したくて、なんなら疲れた時ほど言うようになっていた。本科は俺の生きる意味だから。それは俺たち山姥切国広が少なからず思っている想いであった。

そしてそれを繰り返し数年。長年切国が待っていた刀が来るまであと______。





長義が顕現され最初に見たのは主の顔でもなくてかつて愛しいと過ごし、少なからず憎んでいた写しの喜ぶ泣き顔であった。


後に審神者が語るのは”いやあ、あのときの山姥切は凄かったな”と砂糖を吐くような苦い顔で語っていたそうな。

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