ふぅ……何や疲れたなぁ
あの後少し頭を冷やして、別々の部屋で眠ることにした。
生徒会メンバーは何故かシェアハウスに
泊まると言い出して、追い出す気力もなかった為適当に返事をした。
やっぱ布団が一番やなぁ
最近は散々追いかけて、探して色々と切羽詰まっとったし、気になることは頭の隅に追いやって一度寝て……明日になったら解決しとるやろ。
階段を上がる音が聞こえて、ふと考える。
色々とたくさんのことがあったけどそもそも、うりはどうしたかったんやろ。
そんなにその友達が大事やったんやろうか……
俺らよりも優先するべき人やったんやろうか
ギシッっとベッドが軋んで重さが加わる。
多分うりやろうなと考えるが、どうしたら良いか分からへんくて寝たふりをする。
うりはそのまま話をし始めた。
ur「男とヤった。あの日公園で出会って、逃げようとしたけど捕まって。」
泣きそうな声で、小さな声で話す。
ur「その日は怖くて過呼吸になって、そしたら……落ち着くまでダイジョブ……ダイジョブ……って言って待っていてくれた。」
深呼吸して話を進める。
ur「それでその後の日にまた公園に行った。別に会いたい訳じゃない。何でそこに行ったのか行こうとしたのか……分からない。 」
声が震えていて、今にも気絶してしまいそうなくらい息が浅くなっていた。
ur「その二週間の間……せ……しょり……をして……欲しいって言われて……よく分からなかったんだけど、捕まってしまったし、逃げ道がなかったから、そのままになって、」
急に言葉に詰まって、時間が少し経つ。
ur「……それで……その」
そして覚悟を決めたように、話し出した。
ur「その二週間挿れられたことはなかったし、ずっと解すだけだった……怖くて震えたけど痛くないし……止めてって言ったらやめてくれたから、ほっといたんだ。」
すると泣いているのか、声がくぐもる。
ur「そしたらあの日…………ぐすっ……うぇ……」
俺はガバッっと起き上がる。
するとうりはびっくりした顔をした後、自分を守るような体制をとった。
俺が何もしないことが分かると、反射的だったのか手を降ろして涙目で俯いている。
tt 「うり……」
ビクッと体を震わせて、うりはこっちに視線を向ける。
うりの頭を撫で、そのまま抱きしめた。
うりは最初は力が入っていたが、 すぐに力を抜いて俺に体を預ける。
あの日のことを思い出して、怖くて震えて……安心したくなって、無意識に彼と寝ていた部屋へ向かう。
彼は眠っているのか、ピクリともしない。
俺がベッドに上がっても動こうとしないので、寝ていると思った俺は彼にアイツのことを話し出した。
話しているうちにずっとこの重荷を背負うのが辛くて、誰かに話したかったんだなぁと考え、もっと早く気付けなかったんだろうと自分にがっかりする。
あの日の気持ち悪くて、腕の痛みとよく分からない感覚が今も少し残っている。
その事を認識した瞬間、息が苦しくなって話すのを止めた。
この事を彼が起きている時に話したら、なんて思われるだろう。
もし今起きたら殴って殺してくれるだろうか
そんなことを考えるながら、この腐った汚い体を二度と近づけないと約束するために、もう一度話し出した。
あまりにも辛くなって泣いてしまった時、急に彼がガバッと起き上がってこっちを見た。
全身に電気が走って、恐怖と不安……焦りと動揺。
たくさんの物が体中を駆け巡って、脳を支配して反射的に体を丸めて、手で頭を抱える。
次の瞬間、彼の香りが全身を包んで抱きしめられたんだと遅れて脳が認識する。
どうやら俺の脳は他より衰えているらしい。
今さら幻覚を見たってしょうがないだろと思いながら、それでもズルい俺の心は脳は安心して良いんだと認識して力を抜いてしまう。
まるで長年洗脳されてきたかのように、俺はたっつんにコントロールされているのかな?
考えることを、放棄した脳が、睡魔を呼んで、俺はそれに、逆らうことができず、一定のテンポで、背中に送られる振動と、逆らうことのできない、安心してしまう香りと、体温に包まれて、俺は瞼を閉じた。
うりはずいぶんと緊張していて、全部が爆発して疲れがやってきたんやろう。
背中を優しく、小さな赤ちゃんにするようにトントンして寝かせてやる。
うりはすぐに眠ってしまった。
心から燃えるような怒りと冷静な殺意が湧いて、拳を握りしめた。
tt「うり……よう頑張ったなぁ」
ナデナデ……ギュゥ
そいつを今すぐ仕留めてやらんとな?
無機質で静かな病室で眠っているどぬく君は、何があったか分からないけど酷い怪我をしていて、随分と体力を消耗していて精神的に弱っている様子だった……
色々と聞きたいことはあるけれど、思い出したくないことかもしれないので、とりあえずなるべく傍に居ることにした。
俺じゃ頼りないかもしれないけれど、居ないよりはマシだろう。
図書室で借りた数学の本を読んでいると、目が覚めたどぬく君が今日も来てくれたんだ、ありがとう……すごく嬉しいと儚げに微笑んだ。
聞いても良いのか分からず、ひたすら思考を巡らせていると、そっと服の端が引っ張られてそちらに目を向けた。
どぬく君は不安そうにこちらをじっと見た後、口を開いた。
そこから聞いた言葉に俺は怒りを通り越して、殺意すら湧いてきた。
怖がらせないように必死に取り繕っているが、長く持たなそうだなと冷静に考える。
あの日コンビニでばったり会い、そのまま路地裏のような所で暴力を振るわれ、その後耳を切りつけられたらしい。
どぬく君は一生懸命取り繕っているが、不安や恐怖の色が拭えていない。
mf「とりあえず、まず……生きてて良かった」
dn「……んぇ?」
mf「俺はどぬくさんみたいに優しくて影で努力してる人大好きだよ」
dn「……ふふっありがとう」
mf「でもそんな人に嫉妬して傷つけた人には天罰が当たるんだ」
dn「天罰?」
mf「きっとその人は何もかもが魅力的な人を見つけて嫉妬したんだね」
dn「……?」
mf「もう何も心配しなくて良いよ!とにかく今は体を休めて退院したら、今度ゆっくりデートでもしよ?」
dn「デートって恥ずかしいなぁ……ふふっ」
mf「だからゆっくり休もうね」
dn「……楽しみ」
mf「俺もだよ」
楽しみだなぁ……デート……恥ずかしい~
でもきっと勇気出して言ってくれたんだもん!
早く元気にならないとね!!
俺は最近可愛い高校生の男の子を見つけて、家に入れて性処理をさせることに成功した、まごうことなき変態である。
みんなだって可愛い男の子が俺を見て涙目で過呼吸を起こして、ガクガク震えながら怯えてたら手を出したくなるよね♡
挿れやすくするために解すだけの生活をしてご褒美をあげていたら、優しくされているんだと勘違いしたのかよくこっちに来るようになった。
いつも無愛想な猫が急に懐いてきたみたいで、すっごく可愛いかったなぁ♡
手を出せば嫌がるくせに、気持ち良くなっちゃって♡
本当はもっとして欲しいんだよね?
可愛い♡♡
今は夏で暑いから、わざとクーラーをつけずに汗でいっぱいになった僕の猫ちゃんを涙でぐちゃぐちゃにして、パチュパチュするの気持ち良かったなぁ♡
嫌がってるのも♡痛みに耐えて必死に反抗してるのもぜぇんぶぅ♡
……可愛いかったなぁ♡
何でこんなに過去形で遺書みたいに話しているかって?
遺書になりそうだからだよっ!!
普通にコーヒーを買おうとしていつもの公園の前のコンビニへ行ってコーヒーを飲んでたら、俺の猫ちゃんが勢い良く走って来るんだもん♡
抱きしめちゃった♡
そしたら後ろから蹴りが入って、バタンキューって訳♡
ふざけんじゃねぇよっ!!
まぁ?俺は?強いから?後ろから来ること分かってたし?
ということで、心からの遺書を読んでいます。
勿論抱きしめた感触は忘れません。
アーメン……
あの夜話した内容は朝起きるとすでに共有されていて、少し気まずい空気になりつつ学校の準備をしていると、たっつんが部屋にやってきて、今日アイツの家に凸ろうという話になった。
ur「でもたぶん家に行くより、公園で待っていた方が良いと思うんだよね……」
jp「公園?」
ur「家に行ったら逃げ出せなくなるかもしれないし、外の方が都合が良いでしょ? 」
tt「なるほどなぁ 」
ya「連絡とか取ってるん? 」
ur「……いや、でも基本的に学校がある日のちょうどの時間に出会うことが多いから」
jp「なら、今すぐ行こう!」
ya「え、生徒会長達は学校に行った方が良いんじゃない?」
jp「何で?」
ur「何でって……」
俺がたじろぐと俺達はみんなが心配なの!と顔を近づけて言われる。
ur「やめろよ……っ」
ガバッ……(引き剥がす)
tt「とりあえず財布とスマホは持っとけよ~」
『は~い』
jp「たっつんカッコいい~♡」
tt「ホンマ…キモいわこいつ~」
『あははwwww』
公園に行くとコーヒーを呑気に飲んでるアイツがいた。
見た瞬間、ドクドクと心臓が発作のように暴れ出して、目が離せなくなる。
作戦ではたっつんが後ろからぶっ倒すとか何とか言っていたけど、そんなこと考える暇もなく……俺はアイツに向かって走り出していた。
アイツと目が合う。
これは恋なんかじゃない。
運命でもない。
ただ、許せない気持ちが、汚くなった体が、気持ち悪いのに無意識に飛びついていた。
……うり!!
俺が作戦に入ろうとした瞬間、うりが全速力で走り込んできた。
血の気が引いて、動揺する。飛びつかれた瞬間の跳ねた身体におもいっきり蹴りを入れてやった。
ソイツは訳の分からないことを言っていたが、すぐに気絶してしまった。
足が痛んで歩けなかったが、そんなのはどうでも良かった。
とにかく今はうりを……!
その時生徒会長が俺を抱きしめた。
tt「何しとんねん!!今はふざけとる場合ちゃうで!」
jp「足……痛むでしょ?」
tt「っっ!んなことどうでもえぇねん!!」
jp「良くねぇよ!!」
ビクッ……
jp「背負う……乗って」
スルッ……(背負われる)
jp「一旦家戻るよ」
mf「おっけ……じゃっぴ警察きた。話しとくよ」
jp「さんきゅ」
こいつ意外と力持ちなんやな……
うりは……ヒロくんか……
何で俺はアイツの大変な時に何もできひんのや……
他の奴ならもっと上手く出来たやろうな……
tt「……ぐすっ」
jp「うぇぇ?泣いてんの!?ごめん怒鳴ったから?痛かった?」
フルフル(首をふる)
tt「俺……全然上手くいかへん……うりのこともちゃんと守らなアカンのに」
jp「……俺さ、思ってたんだけどたっつんは守る側じゃなくて守られてる方が上手くいくと思うんだよね……」
tt「何やそれ……俺のことなんか誰が守ってくれんねん……ぐすっ」
jp「俺が守るよ……絶対離さない」
tt「……アホ」
すると少し前おぶられて進んでいるうりが、すねた様に言った。
ur「たっつんさんは俺のだよ」
hr「えぇ!付き合ってるの!?」
ヒロくんがびっくりしたように言った。
ur「付き合ってない……でも……」
うりは口ごもった後、黙ってしまった。
tt「俺もうりのこと好きやで?」
ur「……ほんと?」
tt「当たり前やん!」
jp「何それ面白くなー」
no「じゃぱさん嫉妬しないでくださいよw」
hr「うりさんには俺がいるよ?」
うりは黙った後、そっとありがと、ヒロくん と言って身体の力が抜けた。
多分眠ってしまったのだろう。
ヒロくんはニヤニヤしながら、抜け駆けしちゃったと言ってスキップしそうな足取りで軽やかに歩いて行った。
ya「んぅ……」
ギュッ(服の端をもつ)
no「ゆあんくん?眠い?」
ya「おんぶ……」
きゅぅぅぅん♡(ドストライク)
no「はい!どうぞ……」
すよすよ……
no「可愛過ぎて閉じ込めたい~」
jp「心の声漏れてるよww」
あの日の後、風の噂で聞いた話だが、アイツは他の人にも似たようなことをしていて、「不同意性交罪」で捕まったらしい。
よく分からないが、暴行、脅迫に加え経済的社会的地位の利用、恐怖や驚愕させる等その他8つの行為が当てはまるらしい。
つまりは、殴ったり蹴ったりは勿論のこと、相手の同意なしで行為を持ち込んだり、自分の地位を利用して黙らせて、相手が恐怖を感じるようなことを理解してその行為をする等という、気持ち悪い行為全般のことを罪として認めるというものらしい。
とりあえず俺は、捕まって良かったという気持ちの他に俺も逃げなかったんだから同罪何じゃないかと、不安に思っていた。
それに気付いたのか、彼はお前は何も悪ないで?と俺の背中を撫でながら囁いた。
それでも納得できなくて俯いていると、もふくんがこちらをじっと見て、優しい声で言った。
mf「未成年者に手を出せば、相手が同意していても捕まるんだよ」
ur「……でも……俺は逃げなかった。」
jp「それは逃げれなかったって言うんだよ。」
tt「そうや、あっちの方が大人何やから、ダメなことも分かっとるやろうし、お前やってアイツと会わへんかったらこんなに考え込むこともなかったやろ?」
hr「つまりは全部分かってやっていたアイツが悪いんだよ。それに最初は逃げようとしてたんでしょ?」
ur「……ん」
hr「うん、ならもう良いんだよ」
ur「そっか……」
正直安心した。
アイツはすぐに忘れてしまうだろうけど、きっと俺は一生忘れられない。
そうなれば、一生こんな過去を引きずって生きる大人になってしまう。
これを利用して……あえて引きずることで、自分を守ることも出来るけど、それでも俺は自由になりたい。
アイツに囚われたくない。
だからもう……この悪夢は心の中にある大きな海に、深くて暗い海に……ゆっくりと沈めて、時間をかけて蓋をしよう。
忘れたことにして、気付かないふりをして……この打ち付ける波が自分の心の叫びとなって、訴えていても……深く……深く……眠って欲しい。
暗い海の中で……俺の記憶の中で混ざり合って溶けて、無くなったらいいな。
亡くなったらいいな。
あれから毎日、もふくんが病院に来てくれる。
すごく嬉しいし、今は1週間とちょっとだけど、もう少しで退院できるみたい。
同室の女の子がよく泣いてるのを見て、話をしてあげたり、一緒にお絵描きとか本を読んでいると不思議ともふくんがカッコよく見えて、小さな子と遊ぶのは俺も大好きだから楽しくて、よくもふくんに子供の扱いが上手いねって言われて、すごく嬉しくて。
俺は優しい人が好きだし、子供が大好きな人が俺も話しやすくて好きだから、きっと俺の好みみたいなのは、もふくんみたいな人なんだろうな。
このことをもふくんに言うと、その日は顔がよくにやけていて、きっと褒められるのが大好きなんだろうなと思った。
退院したらデート?ができるし、もちろんこの子と会えなくなるのは寂しいけど、だからこそ最近はたくさんお話して、いつかまた会えたらいいねって……笑い合って……不思議な気持ちになる。
帰りたいのに帰りたくない。
複雑だなぁ
夜みんなで集まって会議をする。
この時間はじゃっぴが発案者で、前までは基本的に昼の生徒会室で行いながら方針を決めていたけど、最近はシェアハウスのリビングで、密かに集まって報告をするのが日課のようなものになっている。
今回の会議では、真っ先に言いたいことがあり、いつもより早めに開いた。
jp「これより第102回生徒会会議を行う。」
hr「それ毎回言うの何w」
jp「えぇ~カッコいいじゃん」
mf「そんなことはどうでもよくて……」
jp「そんなことって言われたw」
『www』
no「……とりあえずまずは共有の出来事とまだ共有できてないこと、そしてこれからのことを軽くお願いします。」
静かにもふくんが挙手をした。
jp「はい、もふくん!」
mf「まず、皆に話してなかったことを話します。」
話してなかったこと……それを聞いた瞬間、皆が注目して長い沈黙が流れる。
もふくんは緊張したように顔を上げて、話し出した。
mf「どぬくさんが虐められている件についてお話します。」
寝る準備を終えて、最後になおきりさんを呼びにリビング前に着いた。
すると、昨日も行われていた会議が始まっていた。
毎日する訳じゃないらしいけど、俺らが問題を抱え過ぎているので会議を重ねているらしい。
すると、もふくんの声が聞こえてきた。
……聞いた言葉に俺は耳を疑った。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!