コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
〜ぼん目線〜
ドズル「お….とう、様……?」
ぼん「えっ、お父様って…ドズさんのお父さん…….?!」
ドズ父「あぁ、そうだ」
ドズ母「おかえりなさい、ドズル」
ドズル「なっ、なん….?」
明らかにドズさんは動揺していた。
そして、どこか怯えているかのようにも見える。
ドズル「な、なぜっ….ここ、に……?」
ドズさんは息が上手く吸えていないようだった。
だが、俺がドズさんに近づこうとすると….
ドズル「….っ!」
ぼん「…..?!」
俺の前に手を突き出し、制止してくる。
自分はものすごく焦って、怯えているのに、俺を庇ってくれる。
ドズ父「なんだ、誰かいるのか?」
ドズル「い、いえ….そういうわけ、ではっ…..」
ドズ父「….誰だ、言いなさい」
ドズル「へっ…..」
ドズ父「そこに居る者、出てきなさい。」
ぼん「ぁっ….」
どうしよう、バレた…..?!
ドズル「嫌に決まってるっ、でしょ….!」
ぼん「ちょっ….?!」
ドズさんは俺の手を取り、駆け出す。
どれくらい走っただろう。
ドズさんは、走っても走っても、止まる様子はなくて。
とっくに体力は底を尽きている様に見えるのに、俺の手を痛いほど握り、走った。
ドズさんの顔は見えない。
だけど、気のせいだろうか。
ドズさんの頬が、月明かりで照らさせた時。
水滴が流れていくのが見えた気がする。
泣いているのだろうか。
2人で闇雲に走った結果。
俺たちが出会った公園に着いた。
肩で息をし、心のどこかで懐かしさを感じつつ、呼吸を整える。
ドズさんは向こうを向いたまま、顔を見せてくれない。
ドズル「はっ、ぅっ、ひ、はっ、くっ…」
…..あれ?
ドズさんの息の上がり方が尋常じゃない。
ぼん「ドズさん?」
大丈夫?….そう聞こうと、手を伸ばした瞬間…….
ドズル「ぁっ、ひ、はぅっ、ひゅっ、かはっ…..!」
ドズさんが崩れ落ちた。
正確には座り込んだ、だが、俺からは崩れた様に見えた。
ぼん「なっ、ドズさん?!」
ドズル「ひっ、ぼ、さっ….ぁっ…..」
…これは、俺が痛いほどよく知ってる。
過呼吸だ。
俺だって、何回もなったことある。
ぼん「大丈夫だ、ドズさん。ゆっくり、ゆっくり呼吸して。」
そういい、俺はドズさんの手を握る。
ドズル「たすっ、くる、しっ…こわ、なんっ、こわっぃ…..」
ドズさんは泣いていた。
初めて見た。
けど、そんなこと気にしている場合じゃない。
ぼん「大丈夫、大丈夫だよ。」
ぼん「俺の目を見て。」
ドズル「ぼんっ、さっ….」
涙をいっぱい溜め、縋るような目が俺を見る。
….何かに目覚めた気がする。
ぼん「俺に合わせろ。….吸って〜、吐いて〜…..」
ドズル「ぼんさっ、いきっ…すって、ぅっ、のにっ、くるっ、じっ…..!」
相当パニクっているのか、こっちの指示が通らない。
….当たり前だ。
過呼吸は酸素の吸いすぎで苦しいからな。
ぼん「ドズさん、落ち着いて。」
ぼん「俺の目だけを見ろ、俺の声だけを聞け、俺の温もりだけを感じろ。」
傍から見れば、なにか勘違いされそうな言葉だ。
だけど、ドズさんを助けられるのは今、俺しか居ない。
早くしなければ、ドズさんが死んでしまう。
…..いつも感じていた。
ずっと明るく、楽しそうに、どこか子供っぽい笑顔を向けるドズさんが….
少しでも、1回でも、離れていくと…..
もう、会えないんじゃないかって。
わかってる、そんなことないって。
でも、どこか消え入りそうなその笑顔を見るのが辛くて。
笑わせようと頑張れば頑張るほど、段々と、うっすらと消えていく様なドズさんが、俺は怖かった。
だから今回、ドズさんの家に居候させてもらうことにした。
ずっと一緒にいられるから。
ドズさんが消えなくて済むから。
ぼん「ドズさん、俺に合わせろ。」
ドズさん「…..っ!」
ドズさんは俺の目を見て、コクコクと頷く。
ぼん「吸って〜…吐いて〜….」
ドズさん「はっ、はぁっ、ふ、くっ…」
ぼん「いいぞ、大丈夫。ちゃんと出来てる。 」
ドズル「はっ、ぅ…..ふぅ……」
ぼん「落ち着いたか?」
ドズル「…..うん、ありがとう。」
ぼん「あぁ、大丈夫だ。」
ぼん「…..。」
ドズル「……。」
この空気、どうしよう….。
ドズル「…..ごめんね。」
ぼん「えっ….?」
重い沈黙を、ドズさんの消え入りそうな声が溶け入ってくる。
….そういうとこだよ、消えそうって思わせるのが。
ドズル「…まさか、両親が居るなんて、思わなくて。」
まぁ、そうだよな。
ドズル「….帰るよ。」
ぼん「….はっ?!」
この状況で?!
ドズル「どっちみち帰らなきゃだし」
ドズル「ぼんさんに迷惑かけられないし 」
ドズル「….両親とも、ちゃんと向き合わなきゃ。 」
ぼん「別に、無理に向き合わなくてもいいんじゃないか?」
ドズル「….いや。」
ドズル「元々、いつかはしなきゃかなって思ってたから、全然大丈夫….。」
こころなしか、ドズさんは歯切れが悪い。
….やっぱり、怖いんだろうな。
ぼん「….わかった。」
ドズル「ありがとう。…あ、ぼんさんは帰った方が….」
ぼん「俺も行く」
ドズル「…..え?」
ぼん「俺も行く。」
ドズル「いやいや…これは僕の問題だし」
ドズル「ぼんさんを巻き込むわけには….」
ぼん「ドズさんの問題は俺たちの問題だ。」
ぼん「多分、めんも….ドズさんだって、同じことを言うんじゃないか? 」
ドズル「……。 」
図星だな
ドズル「…でも、ぼんさんに危害が出たら……」
ぼん「そんなの、いつも通りだし 」
ぼん「傷ついてでもドズさんが救われるなら、本望だよ」
ドズル「で、でもっ….!」
ぼん「怖いんでしょ」
ドズル「…..っ?!」
ちょっとばかり酷いこと言うかもだけど、許してね
ぼん「親に否定されて、拒絶されて、失望されて、非難されるのが嫌なんでしょ。」
ドズル「そ、そんな、ことっ…..!」
ぼん「家にいた時はまだ愛があるって信じてたんでしょ。」
ドズル「へっ…..」
ぼん「まだ愛されてるって。まだ頑張ればこっちを向いてくれるって。」
ぼん「抱きしめてくれるって。話を聞いてくれるって。励ましてくれるって。褒めてくれるって。寄り添ってくれるって。」
ドズル「…..。」
ドズさんはもう喋らなくなった。
ぼん「…..俺だって、思ってたよ。」
ドズル「ぁ….」
ぼん「まだいけるんじゃないかって…」
ぼん「….愛して欲しかったから。」
ぼん「他のものじゃ埋められない…親の愛が、欲しかった…..」
ドズル「……。」
ぼん「俺たち似てるんだよ」
ドズル「….迷惑、かけていいの?」
ぼん「….!」
いつも大人っぽくて、けど子供っぽいドズさんが、今だけは何故か、捨てられた子犬の様に見えた。
ぼん「これからいっぱい俺が迷惑かけるんだから、どうってことないよ。」
ドズル「….っ!」
そう、俺が優しく微笑むと、ドズさんはまたボロボロと涙を流した。
俺はドズさんの背中をさすりながらベンチに座らせ、落ち着くのを待った。
ドズル「ぅっ…ふ、もぅ…大丈夫…..」
ぼん「ん、行けますか?」
ドズル「うん….」
ドズル「けど…」
ドズル「もうちょっと…このままで居たい、かも….」
ぼん「…..!」
そう言って、ドズさんは俺の肩に頭を傾け、擦り寄った。
…..普段テストを毎回100点取ってる人とは思えないほど甘えてくる。
それほど、我慢していたということなのだろうか。
ドズル「….僕ねぇ〜」
ぼん「ん?」
ドズル「小学校の時ね〜、マラソン大会でね〜、1位取ったんだよぉ〜」
ぼん「そっか〜、すごいじゃん」
ドズル「テストもね〜、全部ね、100点だったんだよぉ〜」
ぼん「頭いいな〜、えらいじゃん」
ドズル「えへへ〜、でしょぉ〜!」
ドズさんは呂律が甘く、ふわふわと笑う。
まるで、本当の子供の様に。
まるで、親に自慢できなかったことを、俺に自慢し、自尊心を満たしているかの様に。
ドズル「あとねあとね〜?」
ドズル「たまにね〜、家政婦さんのお料理とかね〜、お洗濯とかもね〜、手伝ったりしたんだよぉ〜!」
ぼん「そうなのか〜、ドズさんはお利口さんだな〜」
ドズル「でしょぉ〜!」
ドズル「でもね〜、お父さん達はね〜、褒めてくれなかったんだぁ〜….」
ぼん「そうなんだな〜、でも、ドズさんはよく頑張ってるよ〜」
ドズル「んふふ、頭なでなでして〜!」
ぼん「はいはい、いい子いい子」
ドズル「えへへ、嬉しい〜!」
ドズル「僕ね〜ぼんさんにね、初めて頭なでなでしてもらえたんだ〜!」
ぼん「あぁ、放課後のな。」
ドズル「うん!」
ドズル「あの時ね〜、嬉しくてね!」
ドズル「心がぽかぽか〜ってなってね、泣いちゃいそうだったんだ〜!」
ぼん「泣いてくれて良かったんだぞ〜?」
ドズル「嫌!僕強いからね、泣かないんだよ!」
ぼん「あれれ〜?さっきまで泣いてたのは誰かな〜?」
ドズル「あれは泣いてないもん!」
ぼん「泣いてたよ〜、ぼんさんぼんさん〜って抱きついてきたじゃん」
ドズル「おぼえてなぁい!」
ぼん「あ!ずるいぞ!」
ドズル「へへ〜!」
ドズル「…忘れてください…….」
ぼん「無理かな〜w」
ドズル「もう…さいっあく……」
あれから約10分後。
ドズルは元に戻った。
しかも記憶が残ったまんま。
ぼん「いただきました、ドズさんの黒歴史」
ドズル「やめてくださいっ!!」
ドズルはこんなに暗くてもわかるくらい顔を真っ赤にしていた。
….今日は、いっぱいドズさんの初めてを知るな。
ドズル「ん、もう知らないもん!」
ぼん「ちょ、待ってよ!」
ぼん「ね〜ドズルくん〜w」
ドズル「だからやめてって!」
ぼん「はははっw」
ドズル「もうまじ最悪っ…..!」
ぼん「これめんに話していい?w」
ドズル「ダメに決まってるでしょ!!」
ぼん「実はドズさんに謝らなきゃいけないことがあるんだけどさ….」
ドズル「え、なに….」
ぼん「さっきのあれ、録音しちゃってるんだよねw」
ドズル「…..はっ?!」
ぼん「明日めんに聞かせとくね〜w」
ドズル「ちょ、消してくださいよ!」
ぼん「むぅりぃ〜w」
ドズル「くそっ….ほんっとうに最悪!!」
さっきまでピリピリと張り詰め、重々しく、息のしづらかった空気が、今はとても楽しく、いきいきとして、どうしてか嬉しかった……
書き始めたらアイデアがつらつらと出てくるのに書き始めるまでがなんもわかないにとです。
ありますよね、こういうこと。
なんででしょうね。
あ、おわります。