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大学生kidと社会人fw
kid、fw共に職業転換してます
同棲 ✕
短いです
🌞────────────────
金曜の夜。
遅くまで残業を終えた不破が僕の家に来たのは、日付が変わる直前だった。
「はぁ……今週もしんどかった」
「おつかれさま。不破さん、また肩こってるでしょ」
僕は立ち上がって、不破さんの後ろにまわる。
スーツの上から、肩を優しく揉んだ。
「ん……っ、あー、やば……お前の手、まじで魔法」
「そんなに褒めても、おかわりできるわけじゃないよ?」
そう言うと、不破さんはふっと笑った。
──その笑顔が、どこか寂しそうで胸に引っかかる。
「ねえ、晴」
「ん?」
不破さんが、僕の手をそっと掴んだ。 そしてそのまま、自分の太ももに導いてくる。
「……今夜さ。抱いてよ」
「……えっ」
一瞬、時が止まった気がした。 不破さんの唇が、さっきよりずっと熱を帯びている。 目も、僕をまっすぐ見つめている。 冗談じゃない。本気だ。
──いつもは僕から触れて、不破さんが少しずつ甘えてきてくれる。 けど今夜は、最初から全部不破さんのほうから。
「……だめ?」
その声があまりに素直で、僕の理性が一瞬ぐらついた。 けれど僕は、そっと不破さんの手を包み込んで、首を横に振った。
「……だめじゃないけど、今日は……やめとこ」
「……なんで?」
不破さんの瞳が揺れる。 ちょっとだけ、唇が噛みしめられて、戸惑ってる顔をしてる。意地悪なことを言っちゃったけど、いつもの大人な雰囲気な彼との違いを感じて、とてもいじらしい。
「不破さん、今週ずっと忙しかったでしょ? たぶん、身体も限界きてるよ。……だから、今日は、僕が抱きしめるだけでいい」
「晴……」
「それに──」
僕は、喉まで上がってきた言葉を少しだけ飲み込んでから、静かに言った。
「僕が我慢してるって知ってたら、不破さん、もっと無理するでしょ」
不破さんは黙って、僕の胸に顔をうずめてきた。 その背中を優しく撫でる。服を着ているとあまり分からないが男らしい筋肉はついていて、着痩せするタイプなのかな、とか考える。
「ずるいよ、晴……そんなふうに言われたら、寂しいの我慢するしかねぇじゃん」
「…ごめんね。でも好きだから、ちゃんと不破さんが回復するの待ちたい」
「……俺から誘ってんのに」
「それでも……不破さんを大事にしたいんだよ」
抱き寄せた身体はあたたかくて、でもどこか切なく震えていた。
触れられない夜ほど、触れたい気持ちは増えていく。 けれどその想いを無理に重ねることだけが愛じゃないと、僕は知っていた。
その夜、僕たちは身体を重ねなかった。 ただベッドでぴったりくっついて眠った。 それでも不破さんは、ずっと僕の指を握っていた。
不安にすがるように、小さな子どもみたいに。
翌朝 目が覚めると、不破さんは僕の隣ですこしだけ潤んだ目をしていた。珍しく先に起きたのか、と寝ぼけたまま頭を撫でてやる。
「晴……まだ我慢する?」
彼の物欲しそうな声を聞き、じっと見つめ返す。昨晩から変わらない熱を持った目があまりにも真剣で、その本気度に 少し笑って彼の頬に手を添えた。
「我慢、できなくなってきたかも」
そのまま、ゆっくりと唇を重ねた。
やがて、ふたりの身体は自然に重なっていく。 けれどそれは、欲望の発露じゃない。 “我慢した夜”があったからこそ得られた、深い結びつきだった。
不破さんの声も、表情も、指の絡め方も、昨日よりずっと愛しくて。 僕は彼のすべてを、一つずつ確かめるように愛した。
不破さんが、自分から求めてきた気持ち。 僕が大切にしたいと願った想い。 その全部が、静かに深く交わっていく。
──「好き」は、触れなくても伝わる。
けれど触れられたときの「好き」は、もっと優しくて、甘くて、ほどけてしまいそうだった。
「……ねえ、晴」
「なに?」
「やっぱ俺……お前に、どんどん甘くされて、ダメになってく気がする」
「それ、僕がいちばん望んでることだよ」
笑い合ってキスをした。
もう、何度でも。
コメント
7件
グハッ_:( _* ́ཫ`):_
最高すぎる😭最高すぎて語彙力なくなった…最高‼️神作‼️好き‼️しか出てこないw やっぱやんさんってすごいんだよな~🥰
好きは触れなくても伝わる...いい言葉すぎる😭😭今回も神作ありがとうございます😭本当に大好きです💕誘う不破さん可愛い😇語彙力皆無になってるんですけど、とりあえず最高です💕応援してます❤️