テラーノベル
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今回短めです。
🩷さん視点
「…なんで黙ってたの?」
「それは…」
仁人を傷つけたくなかったからだよ。
情報を完全に遮断するなんて出来るわけ無かったのに。
浅はかで単純な俺のやり方ではダメだったのだと気付いたのは部屋へ入ってすぐに投げかけられた言葉だった。
玄関の扉を開ければいつもなら「おかえり」と出迎えてくれるのに、今日に限ってリビングの隅の方で膝を抱えて泣いている仁人に声をかける。
「…じんと」
「ねぇ、俺っておかしいの?」
「世の中は多様性の時代とか言っといて、俺は…俺の恋愛対象が同性なのはいけないことなの?」
おかしくなんかない。
誰に迷惑をかけた?
芸能人でアイドルだから異性に興味を持たなきゃいけないなんて誰が決めたんだ?
言いたい事は山程あるのにそれを口にする事はできなかった。
「俺が××を殺したんだって…」
警察関係者だと自称する人物が漏らした情報だけを元に何も知らない奴が書いた裏取りも何もされていない憶測だけの記事。
一般人である恋人の××との関係を精算するつもりで仁人が無理心中を装い自身の飲み物には少しだけ毒物を入れ偽装したとなんとも陳腐な内容だと言いたくなるもので。
遺書も無く、事件現場となった仁人の部屋のダイニングテーブルに残されたシュガーポットの中身がごっそり毒物にすり替えられており自身で加減して入れなければ病院へ搬送されても助からなかっただろうとのこと。
更に、緊急ダイヤルに連絡してきたのが仁人だった事も疑わしい点だとか…。
実際のところ警察も俺もあの日なにがあったのかはわかっていない。
当然だったのか仁人が入院していた病室で受けた状況確認以降、事情聴取に呼ばれてすらいないというのに。
――ただ、仁人は巻き込まれただけ。
俺はそう思っている。
「俺は…なにもやってない…!!」
「本当なんだ、信じて?」
無罪を訴える姿は痛々しく、
「大丈夫、俺は仁人の味方だから」
泣きじゃくる仁人を抱きしめた。
数日前に届いていた遺書のような気持ちの悪い手紙の存在を仁人に伝えるか悩みながら。
次で終わる予定です。
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