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こちらはnmmnです。
軍パロです。
※微血表現あり
ご本人様には全く関係ありません。
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shk side
俺は白尾国の戦闘員。
「さ、行きますか」
sm「おう」
すました顔で銃をいじる此奴も、白尾国の優秀な戦闘員だ。
「うげ…今日多い…」
外の様子を映したモニターを覗くと、見慣れた仲間が数え切れないほどの武装集団と戦っていた。
sm「早く加勢しないとな」
白尾国はいつも、いろいろな国から襲撃を受ける。
それは間違いなく王とその側近が、良くも悪くも煽り上手だからだ。
聞いた話だと、側近の一人はいつも大事な交渉に遅刻してくるらしい。
さらには何かとやらかす王様が、何故か相手の国を爆破して壊滅させたとか。
…どう考えても、故意的にやったとしか考えられないだろ。
まあ軍の総指揮官も直々に務めている王に、何か文句を言えるはずもないが。
sm「大丈夫か?」
「ん…ああごめん、考え事してた」
sm「あれ見ろ」
遠くの方から、無数の人間が走ってくる。
俺は腰元から短剣を取り出し、目にかかる前髪をかきあげた。
「…後ろ頼んだ」
sm「了解」
愚かにも突っ込んでくる敵国の兵士を、次々に殺していく。
「ふぅ…ッ」
こいつらはあまりにも弱い。
ただ厄介なのは、倒しても倒しても俺の前にのこのこと襲いかかってくること。
「うっざ…」
sm「頑張れー」
俺の小言を聞いたスマイルは、余裕そうにそんなことを言った。
「はいはい」
それに対する少しの苛立ちからか、俺は黙々と短剣を振り回す。
そして俺は、目の前にいた人間を一人残らず片付けた。
「はぁ…」
慣れているとはいえ、この数が相手となると話は違ってくる。
俺の体は既に疲労でいっぱいだ。
いつのまにか放り出されていたヘッドホンを手に取り、変に曲がったマイクを直す。
『!…~?…~~!!』
shk「…?」
血まみれのスピーカーから聞こえてくる、聞き慣れた王の声。
俺はそれを、恐る恐る耳元に近づけた。
Na『早く逃げろ!!相手に狙撃者が───』
その瞬間、俺の体に衝撃が走る。
でも、想像ほどの痛みはまるでなくて。
次に聞こえたのは、相棒の呻き声だった。
「スマイル…ッ」
さらには、先程よりも遥かに多数の兵士がこちらに向かってきている始末。
「くッ…そ…」
ぐったりと倒れ込むスマイルを、慎重に抱え上げる。
俺は隠れられる場所を探すために走った。
「おい、聞こえるか?」
Na『ああ、そっちの状況を教えろ』
「スマイルが撃たれた」
「早く来てくれ」
「頼む」
切れ切れにそう伝える。
幸いにも、王はすぐに状況を把握してくれたようだった。
Na『分かった』
Na『すぐに救護班を派遣する』
「ありがとう」
そしてようやく、森の中に古びた小屋を見つけた。
「ごめん…」
「俺が気づいてればこんなことには…」
sm「いいんだ」
sm「いつも助けられてるのは俺の方だから」
「今手当てするからッ…」
ガンケースから包帯を取り出し、スマイルの傷口を塞ごうとする。
しかしスマイルの弱々しい手が俺の腕を掴み、それを止めた。
sm「もういいよ、シャークん」
「は…?」
「何言ってんだよ…すぐ手当てしたらきっと助かるってッ…」
スマイルは困ったように笑い、首を横に振る。
sm「お前も見たろ、もうじき後ろから敵の援軍がやってくる」
「…」
sm「俺はどっちみち死ぬ運命だ」
sm「だから、お前だけでも逃げてくれ」
「嫌だよ…俺ッ…」
気づけば、俺の目から涙が溢れていた。
スマイルは震える手で、優しくそれを拭う。
sm「ごめんな」
「手…離してッ…早く…」
疲弊した俺の手は、手負いのスマイルの力にすら勝てないというのか。
sm「なあ…」
sm「最後に俺を…抱きしめてくれないか」
「…分かった」
出来るだけ傷が痛まないようにして、そっとスマイルを抱きしめる。
スマイルは俺の頭を撫で、そして呟いた。
sm「ありがとう」
sm「俺、幸せだった」
俺は声を押し殺し、掠れたスマイルの声に必死に耳を傾ける。
sm「俺は…ずっとそばに…いるから…」
sm「シャー…クん…」
sm「…愛して…る」
その言葉を最後に、声が途切れる。
「…スマイル」
突きつけられたその現実を受け入れられなくて、何度もその名前を呼んだ。
でも、返事は返ってこなかった。
俺の耳に入ってきたのは、だんだん近づいてくる人間の足音だけ。
「ッ…」
俺は咄嗟にスマイルが愛用していた銃を手に取り、外に出ることを決めた。
スマイルには、指一本も触らせない。
俺が、何としてでも守りきる。
いつからだろう
俺の意識が消えていたのは。
気づいたら俺の体は傷だらけで、
緑の芝が見えていたはずの地面は、既に息絶えた人間によって埋め尽くされていた。
「痛い」
徐々に正気が戻るとともに、信じられないほどの痛みが俺を襲う。
「…スマイル」
そうだ
早く行かないと
「スマイルのところに…」
開けっぱなしの扉を伝い、小屋の中に入る。
スマイルの前に屈むと、俺の体からボタボタと血が流れ落ちた。
もはや何処から流れているのかも分からないし、痛いとすらも感じない。
「スマイル」
生気を失ってもなお、こいつはこんなにも美しいのか。
「お前は相変わらず、整った顔してるよな」
俺がそう言うといつも、スマイルは恥ずかしそうに眉をひそめる。
その顔が容易に想像出来るほど、俺はそれがたまらなく好きだった。
「なあ…」
「なんで何も言ってくれないんだ…?」
閉じきったままの唇に、そっとキスをする。
そしたら何事もなかったかのように、起きてくれるかもしれないと思って。
眠れる森の美女みたいに、呪いが解けて俺と結ばれるんじゃないかって。
「スマイル…」
「俺も…愛してるよ…」
あいつが生きているうちに、言いたかった。
今頃俺を見守って、微笑んでくれているだろうか。
「…そういや、初めてお前に会ったのもここだったよな」
戦うことが嫌いで隠れていた小さな俺を、この場所から連れ出してくれたのはスマイルだった。
それからずっと、一緒に戦ってきた。
俺の隣は、こいつじゃないと意味がない。
「…ごめんなスマイル」
「俺はもう…生きられそうにない」
スマイルは、俺が助かることを望んでいた。
でもあれほど大勢の人間と戦ったせいで、俺の体はもう壊れかけている。
薄れていく意識の中、俺はスマイルの冷えきった手を握った。
「早く…会いたいな…」
数え切れないほどの人間を殺してきた俺たちは、きっと仲良く地獄行きだ。
けれど、
来世はきっとまた、君と二人で。
「ずっ…と…一緒…だ…」
いつまでも、君の隣で。
長かったですね…
ここまで見てくださってありがとうございました!