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## 第44話:『新たなるコア』
メトロポリスの地下最深部。隔離シェルターの重厚な防壁が、ヴィヴァーチェのビーム・サイズの高熱によって焼き切られ、ゆっくりと内側へ崩れ落ちた。
サーチライトの白い光が差し込んだ空間は、かつて旧大戦時にエネルギー研究のハブとして機能していた極秘のコンデンサ室だった。部屋の中央には、幾重もの冷却パイプに囲まれた、巨大な球体状のユニットが鎮座している。それこそが、ガドルフの言っていた『超高密度マルチリンク・コンデンサ』――ウイングエックスがディバイダーへと生まれ変わるための、新たなる心臓部のコアパーツだった。
「……見つけた。あれね、ゼロ」
「あぁ、間違いねえ。あの焦げついた試作スラスターのエネルギーを完全に制御できるだけの、とんでもねえエネルギー密度を感じるぜ」
一人乗りの窮屈なコクピットの中で、ゼロとセレスは息を呑んだ。だが、二人が一歩足を踏み出したその瞬間、部屋の天井に並んだ防衛表示灯が一斉に不気味な赤色へと点灯した。
ヴィーーー、ヴィーーー、ヴィーーー。
『――警告。未登録の個体が最重要区画へ侵入。旧地球連邦軍防衛プロトコル・フェイズ4を起動。排除を開始します』
大戦時から数十年の時を経て、眠りについていた自動防衛システムが、侵入者を抹殺するために最悪の目覚めを果たした。
ガガガガガッ!と壁面が割れ、そこから現れたのは、天井のレールを滑走する無数の自動防衛レーザー砲台と、重装甲を施された旧連邦製の自律型防衛ドローンたちだった。
「チッ、やっぱりタダじゃ帰してくれねえか!」
「ゼロ、捕まってて! こんな狭い地下じゃ、ヴィヴァーチェの機動力が活かせない……でも、やるしかないわ!」
セレスが鋭くレバーを引くと同時に、天井から無数のレーザー光線が降り注いだ。
空間が狭く、回避スペースが極端に制限される中、セレスは神速のレバー捌きでレーザーの隙間を縫うように機体を躍らせる。しかし、容赦のない弾幕はヴィヴァーチェの脚部や肩の装甲をかすめ、火花を散らせていく。
「セレス、左斜め後ろからドローンが3機突っ込んでくる! ハサミ(ビーム・サイズ)を後ろへ一閃だ!」
「そこっ!!」
密着したゼロからの的確な状況予測を受け、セレスは後方を見ることなく腕部のアームを払った。マゼンタの光の刃が、迫り来るドローンを正確に一網打尽にし、狭い通路に爆炎が広がる。二人の完璧なシンクロは、この死線においても健在だった。
だが、防衛システムの物量はそれを遥かに凌駕していた。奥のハッチが開き、さらに大型の自律型重機動兵器が、ガトリング砲を乱射しながら進路を塞ぐように立ちはだかる。
「クソッ、きりがねえ! このままじゃコアを回収する前に、こっちのエネルギーが底を突くぞ!」
「……だったら、一撃でこじ開けるまでよ! ゼロ、エネルギーの全出力を前方に集束させて!」
「おう! 無茶しやがれ、付き合ってやるぜ!」
ゼロがコンソールのサブトリガーを限界まで押し込み、セレスがメインレバーを前方に叩きつける。
ヴィヴァーチェの両腕のビーム・サイズが、一本の巨大な光の槍へと融合した。最大出力を超えたマゼンタの光が、地下の暗闇を真っ白に染め上げる。
「行くわよぉぉぉぉッッーーー!!」
セレスの咆哮と共に放たれた一撃は、立ちふさがる重機動兵器を、その背後の防衛制御メインホストごと一瞬で蒸発させた。激しい爆発の連鎖が地下室を揺らし、すべての防衛レーザーが光を失って力なく垂れ下がる。
静寂が戻った部屋で、ゼロはすぐにハッチを開け、ワイヤーを手に走った。中央のユニットから、目当ての『超高密度マルチリンク・コンデンサ』を工具で素早く切り離す。ずっしりとした金属の重みが、ゼロの両腕に伝わった。
「手に入れたぜ、セレス! これが、俺たちの新しい翼のコアだ!」
「急いで、ゼロ! メインホストが壊れたせいで、このエリア自体が崩落し始めてるわ!」
ゼロがコンデンサを小脇に抱えてコクピットに滑り込むと同時に、天井から巨大なコンクリートの塊が崩れ落ちてきた。ヴィヴァーチェは間一髪でそれを回避し、激しい落盤を背に受けながら、全速力で地表への大穴へと駆け上がっていった。
メトロポリスの地上へと脱出したヴィヴァーチェを待っていたのは、大破したビルの影で静かに煙を上げるジュードのシャドウエッジだった。光学迷彩の回路が死に、左腕を損傷した痛々しい姿のまま、ジュードはハッチを開けて待っていた。
『おかえり、二人とも。……顔がずいぶん煤けてるが、お宝は手に入ったみたいだな?』
「ジュード! あぁ、バッチリだ。待たせたな、ボロボロにならせちまってすまねえ」
ゼロが通信席から声をかける。
『へっ、気にするなよ新入り。エース様と未来の主役を守るのが、俺たち脇役(プロ)の仕事だからな。……だが、俺の機体はもう歩くのがやっとだ。ここからの帰り道は、ちょっと肩を借りるぜ』
「ええ、任せて、ジュード。ゼストの待つ隠れ家まで、一緒に帰りましょう」
セレスはヴィヴァーチェの頑強なアームを伸ばし、満身創痍のシャドウエッジの体を支えるようにして、その肩を抱きかかえた。マゼンタの機体と、漆黒の傷ついた機体が、互いに寄り添うようにして、霧が再び立ち込め始めたメトロポリスの廃墟をゆっくりと歩き出す。
帰還の道中、通信回線には少しだけ安堵した空気が流れていた。
窮屈なコクピットの中で、ゼロは腕の中にある鈍く光るコンデンサを見つめていた。
「(ルカスの言う『世界調律計画』……すべてを焼き払うシステムなんて、俺たちが絶対に止めなきゃならねえ。カイルやジュード、セレスがこうして身体を張って守ってくれたこの絆を、あんな冷てえ奴らに壊させてたまるかよ)」
「ゼロ……前を見て。霧の向こうに、ゼストの誘導信号が見えてきたわ」
セレスの優しい声に、ゼロはハッと顔を上げた。
視界を覆う濃い霧の向こうから、ガドルフの工房の巨大なドックの光が、そして彼らの帰りを待つ陸上戦艦ゼストの雄大なシルエットが、温かく彼らを迎え入れるように浮かび上がってきた。
機体はボロボロで、全員が満身創痍。しかし、その手には確実に、未来を切り拓くための『新たなるコア』が握られていた。
**次回予告**
メトロポリスからの命がけの帰還。
ゼロが持ち帰ったコンデンサを前に、天才技術者ガドルフの目が怪しく光る!
「揃ったな、小僧。これより、呪われたガンダムの解体と、新たなる『ディバイダー』の組み立てを開始する!」
リンや整備班たち総出の、寝る間も惜しんだ大改修劇が幕を開ける。
一方、少しずつ心を開き始めたノアが、ミラにある『重大な決意』を告げる……?
次回、『新たなる翼、そして』
**「サテライトの光がなくても、俺の背中にはみんなの想いの翼がある!!」**
コメント
1件
第44話、読み終えたよ〜!!🔥🔥 地下最深部での戦闘、めっちゃ熱かった!!ヴィヴァーチェとゼロのシンクロが神がかってて、特にビームサイズ融合からの一撃は鳥肌ものだった😭💕 ジュードが満身創痍で待ってて「俺たち脇役(プロ)の仕事だからな」って台詞にグッときたよ…! みんなボロボロだけど、確かな絆と新たなコアを手にして帰還する感じ、エモすぎる。。次回のディバイダー組み立て、マジで楽しみにしてる!!✨
桜春遥朔🌸
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来華
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ポンデリング
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