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『無駄に優しいのやめて』
tg視点
放課後。
「ちぐ、帰るで」
「……え、なんで一緒に帰るの」
「恋人やろ?」
「それもう免罪符じゃん」
「便利や言うたやろ」
ほんとにそう思ってる顔。
腹立つ。
でも。
「……じゃあ、ちょっと待って。片付けるから」
「ええで」
当たり前みたいに待つ。
その感じが、なんか。
ちょっとだけ、引っかかる。
「おまたせ」
「ん」
並んで歩く。
自然に。
気づいたら、また距離近い。
「……近いって」
「慣れろや」
「慣れない」
「そのうち慣れる」
軽く言われる。
その“そのうち”が、
なんか妙にリアルで。
「……1ヶ月だけなのに」
ぽつって出た。
自分でもびっくりするくらい、小さい声。
「……せやな」
珍しく、すぐ返してこない。
少しだけ間があって。
それが、変に気になる。
途中。
「……ちょっとコンビニ寄っていい?」
「ええで」
店内。
「ちぐ、これ好きやろ」
「え?」
差し出されたの、俺がよく買うやつ。
「なんで知ってんの」
「前、見たことある」
「……覚えてたの?」
「そらな」
当たり前みたいに言う。
そのトーンが、余計に。
「……はい、これ」
気づいたら、カゴに入れられてた。
「え、いいよ自分で買う」
「ええって」
「いやいや」
「彼氏やで?」
「それ関係ある?」
「ある」
またそれ。
でも今回は——
ちょっとだけ、違う。
「……じゃあ、今度俺が奢るから」
「楽しみにしとくわ」
にやって笑う。
なんでそんな普通にやりとりしてんの。
これ、“演技”でしょ?
外出た瞬間。
「ほら」
「なに」
ぱし。
頭に何か乗せられる。
「……え?」
「フード、かぶっとき」
「なんで」
「寒いやろ」
気づかなかった。
ちょっと風強くなってたの。
「……別に平気」
「強がんな」
ぐい、って。
フード、ちゃんとかぶせ直される。
その手つき、やけに優しくて。
「……っ」
なんで。
なんでそんな普通にやるの。
「顔、冷たなってるやん」
手、頬に当てられる。
「ちょ、ぷりちゃん!?」
「ほんまや、冷たい」
「離して!!」
心臓やばい。
距離、近すぎる。
「……無駄に優しいのやめて」
思わず、出た。
「なんでや」
「……演技でしょ、これ」
言いながら、
ちょっとだけ苦しくなる。
「そこまでしなくていいじゃん」
こんなの、
勘違いする。
「……」
一瞬、黙るぷりちゃん。
珍しい。
「……別に」
ぽつ、って。
「無駄やと思ってへんけど」
「……え」
「恋人やったら普通やろ」
またその言葉。
でも。
さっきまでと、なんか違う。
「……そっか」
それ以上、聞けなかった。
聞いたら、
何か変わりそうで。
前より、距離近い。
でも、さっきみたいに騒がない。
ただ、並んで歩く。
それだけなのに。
「……ねえ」
「ん?」
「ほんとに、演技?」
聞いちゃった。
無意識に。
「……」
少しだけ、間。
「……せやで」
いつもの声。
いつもの調子。
なのに。
「……そっか」
なんか、ちょっとだけ。
安心して、
ちょっとだけ。
残念だった。
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コメント
4件
見るの遅れた〜😢 やっぱ可愛いなぁこの2人 今回も最高すぎ‼️
え、KAWAII