この作品はいかがでしたか?
5,071
この作品はいかがでしたか?
5,071
私の中では、ずっと前から答えは決まっていた。でも、言葉にするのが怖かった。神風はいつも真っ直ぐで、しつこくて、何度も何度も私に声をかけてくる。その度に「うわっ」とか「やめてよ」って言い返してきたけど、正直、どこか心の奥でそれを楽しんでいた自分がいたのかもしれない。
でも、それを認めるのが怖かったんだ。神風は私のことを本気で好きでいてくれる。それが分かっていたからこそ、私も正直にならなければいけないと思った。答えを引き延ばすのは、もうやめよう。
今日は決めた。神風にちゃんと答えを伝えるんだ。
学校に向かう道すがら、いつもと変わらない日常が流れているのに、私の心臓は高鳴っていた。今日、神風に会ったら何を言おうか、どうやって伝えようか、ずっと頭の中でシミュレーションを繰り返していた。
教室に入ると、すぐに神風が駆け寄ってきた。「おい、月見ー!今日も元気か?」いつも通りの明るい声。それが、今日に限って少しだけ遠く感じる。私はふと神風の顔を見て、改めてあいつのことを思った。
「神風、ちょっと話があるんだけど」そう言うと、あいつはピタッと動きを止め、真剣な表情になった。
「え、ついに返事か?」
私は小さく頷くと、深呼吸して気持ちを落ち着けた。いつもは無邪気で賑やかな神風が、今はじっと私の目を見て待っている。その視線が少しだけ重くて、でも同時に温かく感じた。
「……私、神風のことが好き。だから、もちろん返事は……OKだよ。」
言い終わった瞬間、神風の目が一瞬大きく見開かれた。そして次の瞬間、あいつの顔がパッと笑顔に変わり、驚くほど大きな声で叫び出した。
「うおおおおお!やったぁぁぁあ!」
その勢いに、私も思わず笑ってしまった。あいつは私を勢いよく抱きしめ、ぐるぐると回り始めた。恥ずかしいし、こんなところで何やってんの?って感じだったけど、なんだか幸せで心が温かくなった。
「ありがとう、月見!俺、絶対にお前を幸せにするからな!」
私は照れくさくて顔を赤くしながら、彼の胸の中で小さく頷いた。そう、これからは二人で一緒に歩いていくんだ。これから待っている未来がどうなるかなんて分からない。でも、神風と一緒なら大丈夫だって、そう思えた。
教室の窓から差し込む秋の日差しが、二人を優しく包んでいた。新しい一歩を踏み出したこの瞬間、私たちはこれから先もずっと一緒にいるんだと確信した。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!