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あの日から、俺はお外に出ることが怖くなって、床を見るのも怖くなって、誰かと一緒に居ないと何も出来なくなった。正確に言うと、自分の足で歩こうとすると地面があの日のような惨状になって、血塗れに見えて、床に散らばってる血が、俺に巻き着いてきて、飲み込まれる感覚に陥って怖かったから。そして、誰かと一緒に居ないと、過呼吸を起こして死にかけてしまう。
「ら、らだ、に、、置いて、、い、いか、ないで、、」
らっだぁ「うーん?大丈夫だよぉ俺はここに居るからねぇ」
そう言ってらだにぃはずっと俺のそばに居てくれる。俺が不安を感じる度に、らだにぃは俺の頭を優しい手つきで撫でてくれる。今だって、俺は朝起きてからずっとらだにぃのお膝に座ってる。らだにぃは資料?お仕事をしてるらしい。難しい言葉沢山、わかんない、
クロノア「ソルく〜んご飯持ってきたよ〜」
「!、、ノアにぃ!」
クロノア「今日はねぇ俺が作ってきたんだよ」
「、、ノアにぃが?」
クロノア「卵焼きの見栄えは悪くなっちゃったけど、、」
「美味しそぉ」
クロノア「ほんと?良かったぁ」
ホッとしたように、にこにこしながらノアにぃは俺にご飯を食べさせてくれた。自分でフォークとかを持とうとするとあの日の事が頭の中を回って怖くて手が震えて落としちゃうから、ノアにぃが毎食食べさせてくれるの。おれ、ほんとにひとりじゃなにも出来ないの、、、ぐぅ無能なの、、、
クロノア「よ〜しよしよし、いい子だね。ちゃんと全部食べれて偉いなぁ!ソルくんは」
「んん、、美味しかった」
クロノア「おっ、嬉しいねぇ。じゃあ仕事の合間に会いに来るからねぇ。」
「!いいの?、、えへへ、、やったぁ」
クロノア「わぁ〜可愛い〜」
らっだぁ「ちょっとぉ?俺もいるんですけどぉ?」
クロノア「はいはい。すいませーん」
らっだぁ「まったく、、、」
「ねぇ、らだにぃ」
らっだぁ「なぁに?ソル」
「みんなはいつも、何処でお仕事してるの?」
らっだぁ「うーん、、自室かなぁ、」
「そうなの?、、じゃあ、あれは、何してるの?」
そう言って俺は窓の外を指さした。その方向にはみんなが楽しそうに遊んでいる姿があり、今はゾムにぃとシャケにぃが遊んでるみたいだった。
らっだぁ「あ〜、、あれはねぇ、模擬戦って言って、1種の戦闘訓練だよ。」
「せんとう、くんれ、ん?」
らっだぁ「そう。悪い人達が来た時に、その人達を直ぐに倒せる為の訓練だよ。」
暗殺とは違うのかな、、?戦う?殺すじゃない、、戦う、、戦う、、、遊ぶとは違うのかなぁ?難しいなぁ、、訓練、くんれん?う〜〜ん、、、、
「へぇ〜、、、」
らっだぁ「見に行ってみる?」
「、、、、、うー、、ん、、でも、お外は、、」
らっだぁ「場内なら大丈夫だよ。俺達が守ってあげられるから。」
「、、、じゃあ、、いって、、みる、、」
らっだぁ「じゃあ歩いて行ってみようか。」
「、、、え、、?」
そう言ってらだにぃは俺を床に降ろした。その瞬間、血が、俺の全身を包んだ感覚に陥って、すごく、すごく怖かった。心身共に震え、涙は不快感によってさらに溢れ、頬を伝っても伝っても目のぼやけは消えなかった。顔は青ざめ、手足は力を失い思うように動かせなかった。駄目だ、、これは、、ダメだ。らだにぃの足の間に挟まる形でいるにも関わらず、この不快感と恐怖は消えなかった。俺はらだにぃの太ももあたりの布を両手で力の限り精一杯握りしめ、らだにぃを見上げながら嗚咽混じりで助けを求めた。
「やっ、、ら、、らだ、、にっ、、、やっ、やだぁっ、、、たすっ、たすけっ、、、ら、らだにぃっ、、、」
らっだぁ「、、、、あはぁ、、、かんわいいんだからぁ、うちの子はぁ、、」
「らだにっ、、、らだにぃ、、、助けて、、たすけて、たすけっ、、」
らっだぁ「あ〜、、ごめんねぇ、、ソル、ごめんごめん。大丈夫だよ〜俺が居るからねぇ〜」
そう言ってらだにぃは俺を抱え上げ、再び膝に乗せた。そして、俺の頭を優しく撫でながら小さな声でこう言った。
らっだぁ「、、、、バッチリじゃん。」
でも俺は脳内が“恐怖”で侵食されていて、その時は何も聞こえていなかった。
「らっ、らだっ、、らだにっ、、やだ、、やだぁ、、怖い、こわい、こわい、、ぃ、、ひっく、、、ひっ、、ひく、ぐすっ、、、、、らだにぃ、、らだに、、、、」
らっだぁ「あ〜、、大丈夫だよぉ、ソルぅ、、俺はここにいるよぉ。ちゃんといるからねぇ」
「、、、ぐすっ、ぐすっ、、、ん、、ぅ、。」
らっだぁ「じゃあ俺が抱っこして行こうねぇ〜」
「、、、んぅ、、、」
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1時間後
らっだぁ「〜♪〜〜♪〜♪」
ら民「え、らっだぁどした?ご機嫌じゃん。きも」
らっだぁ「ゑ?ひどぉい!!なぁんでよ!!」
ら民「いやお前が、、、ソルくんじゃん」
ら民「ほんとだ!ソルくんだ!可愛い〜」
ら民「寝てるのかなぁ?可愛いなぁ」
ら民「お顔見せてくれないかなぁ」
ら民「背中でもわかる可愛さ」
らっだぁ「そうだよぉ〜うちの子かんわいいでしょぉ?」
ら民「可愛いけどさ、お前が言うと半減するよ。」
ら民「そうだそうだー」
らっだぁ「なんで!?」
「ん〜、、?なん、、?」
らっだぁ「あ〜ソルくん起きたぁ?」
ら民「あーあ、らっだぁが大声出すから起きちゃったじゃん」
ら民「ソルくんが起きた!可愛い!」
らっだぁ「俺が悪いの!?」
「らだに、、?ど、、した、の?」
らっだぁ「あ、ソルぅ、、ら民が酷いんだよぉ?」
「、、、、ら民しゃん、、?」
ら民「やだぁ可愛い!!!」
ら民「寝起きまじで天使!!」
ら民「やだぁ!!俺もこんな可愛い弟欲しかった!!!」
「ら民しゃんだぁ〜、、お、はよぉ?」
ら民「俺今日が命日かもしれない。」
ら民「俺は今日が命日」
ら民「ありがとう。俺は天命を全うした。」
ら民「死ぬなぁー!!!!!」
「、、?、?、?」
らっだぁ「はぁいこいつらは気にしないで良いからねぇ」
「、、ん、、またね、ら民さん、、」
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コンタミ「あ、らっだぁじゃん、来たんだ」
らっだぁ「ソルが気になるって言うからさぁ」
コンタミ「あ〜、これ?」
らっだぁ「そうそう。」
「コンタにぃ、お、おは、よ!」
コンタミ「はぁい、おはようソルくん」
シャークん「、、、、、ん、、あ!ソル!」
ゾム「、、、、ソル?」
シャークん「あっち」
ゾム「、、あ、ほんまや。外来るなんてな」
シャークん「らっだぁ兄さんが連れてきたのか、また抱っこしやがって、、」
ゾム「まぁ、年功序列の世界やからしゃーないで」
シャークん「それはそうなんだけどさぁ、、うやらましいじゃん」
ゾム「模擬戦中やけど挨拶行くか」
シャークん「はーい。」
ゾム「はよ。ソル、らっだぁ」
「!ゾムにぃ、おはよ!」
らっだぁ「おはよ〜ゾムぅ」
シャークん「ソル!おはよう!」
らっだぁ「シャークん俺は?」
シャークん「ん?」
らっだぁ「ゑ?」
シャークん「あぁ、居たんすか、はざーす。、、今日も安定で可愛いなぁ〜ソル」
「かわ、くないし、おれぇ、」
らっだぁ「ゑ???????????」
ゾム「、、、ソル、目のとこちょっと赤いで。泣いたんか?」
「あ、、えと、、あぅ、、」
らっだぁ「いや〜俺が“間違えて”膝から降ろしちゃってさぁ〜」
ゾム「、、、あぁ、そういう事か。ならしゃあないな。」
らっだぁ「ほら、ソルくん地面歩いてみる?」
「、、ぇ、、や、やだっ、、ぉ、置いて、行かないで、、、」
置いていかれたら、、俺は、俺は、俺、、嫌だ、考えたくない。
恐怖が脳内を侵食し、思うように思考が回らない。それほど俺はあの日に怯え、恐れてしまっていた。もう昔のように暗殺依頼は受けられない。もう昔のように1人で行動することも出来ない。兄弟の中で、俺が誰よりも無能になってしまった。どうして、どうしてこんな事に、、、。
らっだぁ「、、、ふふっ、、そうだねぇ、怖いよねぇ。大丈夫大丈夫。置いてなんか行かないよ。俺達がそばに居るからねぇ」
ゾム「、、、あぁ、そう言えばこの前、、」
きんとき「ゾム兄さん何言おうとしたのかな」
nakamu「さぁ、、?」
きりやん「そう言えばこの前、、で終わったよな。」
ロボロ「あれ、“この前少しの間ソルを床に降ろして置いていったからな、、”とかな気がするで。」
nakamu「あ〜、、なるほど、、有り得そうですね。」
金豚きょー「見ろよあのらっだぁのわっるい顔」
Broooock「すっごい笑ってる、、怖いよぉ〜」
コンタミ「心底光悦な顔してるよねぇ」
「ら、らだ、らだにぃ、嫌だ、やだ、、お、置いてかないで、ごめんなさい、いい子にするから、ごめんなさい、ひ、1人に、しない、で、」
らっだぁ「大丈夫だよソルぅ、お外へ行こうとしなかったらずっと一緒に居てあげるからねぇ。大丈夫、大丈夫だよ〜俺達が守ってあげるからねぇ。」
「ごめっ、なさっ、、ひっく、ぐすっ、らだにぃ、、」
らっだぁ「やだぁ〜うちの子、ちょ〜可愛いんですけどぉ〜」
ゾム「まぁソルやしな。」
シャークん「あんなんでこんなに弱るんだったら最初からそうしとけば良かったのに。」
クロノア「まぁまぁ、ソルくんだってたまには自由が要るでしょ?」
シャークん「それもそうなんだけどさぁ。ていうかそもそもとして暗殺なんてやらせなければ、、」
ゾム「シャークん。そこまでにしとけや?」
シャークん「、、分かったよ、、」
ゾム「よしよし。いい子やな。」
シャークん「、、止めてよ、ソルじゃあるまいし。」
ゾム「、、、ははっwすまんすまん。」
「、、、四翼、兄さんは、なんで俺の事、閉じ込めて置こうと、するの?」
四翼「!!」
らっだぁ「、、、それ聞いちゃうんだ。」
一瞬だけ、あの日のように凄く冷たくて鋭い声色になった。俺は反射で体が震え、怯えた。
「!、ごっ、ごめんなさ、、で、でも、、なんで、なのかなって、、お、思っちゃって、、、」
クロノア「んー、俺は別に話してもいいと思うけどなぁ。この際ハッキリさせておいた方が良いだろうし。」
シャークん「でもそれでソルの逃げ道が出来たら困るよ。」
ゾム「ソルに仲間が出来てしまえば殺さざるを得なくなるだろ。国問題になるのは正直言って面倒臭いぞ。」
「、、?」
らっだぁ「ん〜、じゃあ、地面に降りるなら話してあげる。どう?」
「ぇ、、、あ、ぅ、、、」
そんな選択肢なんて狡い。俺が怖いのを知ってて言ってる。酷い。俺が何を選ぶかなんてそんなの決まってるじゃないか。、、、俺は当然、聞かないを選ぶだろう。だって怖いものは怖い。トラウマは乗り越えるものだって?誰が決めたんだ?そんな嘘しかない言葉なんて。無理に決まってるだろ。トラウマは一生消えない心の傷なんだ。消えたらトラウマだなんて言わない。一時の苦しい記憶だ。
らっだぁ「どうするの?そる」
「、、、、き、、聞か、ない、、」
らっだぁ「んふふ〜そうだよねぇ。ソルは降りたく無いもんねぇ」
にこにことしながら俺を見てくるらっだぁ兄さんが、これほど憎いと思ったことは無い。でも、間違ってもそんな事は言えなかった。降ろされるのが怖かったから。
「、、、、、、」
クロノア「ソルくんおいで〜俺が抱っこしてあげる。」
「ノア、に?、、んぅ、。」
クロノア「、、あ〜、、可愛い、、」
らっだぁ「、、クロノアさん取るなよぉ」
クロノア「はいはーいすみませーん。」
クロノア「らっだぁさんは怖いねぇ。ソルくん可哀想だなぁ、よしよし、怖かったねぇ〜。」
ソル「、、、ん、、」
クロノア「らっだぁが教えないなら、俺が教えてあげようか。」
らっだぁ「ちょっ、クロノアさん!!」
ゾム「、、クロノア兄さん」
シャークん「、、おれは、別に教えてもいいと思うけどな。」
クロノア「シャークんは賛成してるし、3対2だよ。」
らっだぁ「、、、、うぅ〜、、でもさぁ、、、」
ゾム「教えたところで、迷惑被るのは俺達だ。ソルの逃げ道を作るのはいやだ。」
クロノア「そもそもとしてソルくんは床に足さえ付けられないのに、逃げるどうこうじゃなくない?」
ゾム「、、、そうだけど、、それでも、可能性は、、、」
クロノア「ねぇゾム。ソルくんはね、1人でご飯も食べられない、1人で歩く事も出来ない、寝かせるのだって俺達がずっとそばに居てあげないと過呼吸を起こして泣き喚く。俺たちが居ないと死んじゃいそう、、いや、死んじゃう子なんだよ?それなのに、逃げるだなんて、そんなこと出来るかなぁ、、」
ゾム「、、、わかったよ、、」
クロノア「ふふっ、いい子だね。ゾムは。」
ゾム「、、、止めろよ、ソルでも無いんやから。恥ずかしい」
クロノア「はいはい」
ソル「ノアに、、、」
クロノア「なぁに?」
ソル「、、、危ない」
クロノア「え?」
そう言うと彼は使い物にならなかったはずの翼を羽ばたかせ、一瞬消えたかと思うとどこからともなく半殺し状態の暗殺者?を片手に現れた。いつもキラキラと輝く水色の瞳はドス黒い色に染まり、光は無かった。また、いつも不安げに兄達を見つめていた表情も無く、無感情だった。
ソル「、、、ころす?」
少し片言で話す彼は幼さがあったが、いつものような子供らしさ満載の彼の姿は無かった。まるで別の子供になってしまったかのように。
らっだぁ「、、、、殺しちゃ駄目だよ。情報を吐いてもらわないといけないから。さ、そんな汚いもの早く離して?ソルのお手手が汚れちゃうでしょ。」
ソル「、、ん。」
ゾム「ソル、こっちおいで。」
ソル「、、、、?、、ん。」
ゾム「、、なんでこれ使えたん。治ってたの黙ってたんか。」
ソル「、、、、、、、、、、んぇ、、?なん、、?」
瞳に生気が無かった彼は、次の瞬間先程の記憶が消えたかのような反応を示した。瞳の生気を取り戻し、それに応じて彼の翼はいつもの様に閉じ、幼さが滲み出たいつもの彼へと姿を変えた。
ゾム「、、、、ソル。」
ソル「っ、、なん、、ど、した、の、、?ゾムにぃ、、お、おれ、なん、なんか、した、、?」
怖い、なんでゾム兄さんは怒ってるんだろう、、?俺、なにかしちゃったのかな、、、でも、何をしたんだろう、、?分からない、、最近は、らだ兄さんのお膝にしか居なかったから、何をしたのか全く分からない。
ゾム「、、、はぁ、、、とぼけるな。」
ソル「っ、、なん、、なんでっ、、おれ、なにっ、?わか、、」
シャークん「ゾム兄さん、流石に圧をかけすぎだ。ソルが怖がってるだろ」
ゾム「、、、、だが、こうでもしないと吐かないやろ。」
シャークん「でも、それはやり過ぎだよ。ソルが怖がってまともに喋れなくなってるだろ?」
ゾム「、、、まぁ、一理あるな。」
ゾム「ソル、なんでさっき羽使えたんや?怪我しとったんちゃうんか?」
ソル「羽、、?そんなの、動かないけど、、?ゾムにぃ達が折ったんじゃん、、」
ゾム「、、だから、治ったんかって。」
ソル「治るわけないよ、折られた翼が再生されることはないもん、、翼を持つ兄さん達なら皆知ってるでしょ、?」
ゾム「、、、、せやな。」
ゾム「、、、じゃあさっきのは、、、、、いや。すまんかったなソル。圧を掛けて」
ソル「ううん。」