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公認ラヴァ〜それでも愛してる〜

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公認ラヴァ〜それでも愛してる〜

19 - 第19話賢也side<彼女から香る香水はまるで毒のようにオレに浸透していく>

♥

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2023年09月09日

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しつこいほど彼女から電話が来る。

有佳が出かけていて良かった、このままだといつまでも電話が掛ってくるだろう、やはりきちんと話すべきだ。


通話ボタンを押すとスマホから飛び出してくるんじゃないかと思うくらい勢いよく話し出した。

「賢也くん、どういうこと?昨日のこと嘘よね?」


「どうして?わたし何かした?」


「昨日も言ったけどお互いの場所に戻ろう、大森さんだって彼がいるんだろ、オレが言うのもおかしいけど大切にした方がいい」


「どうして、わたしは賢也くんを選ぶって言ってるの」


はぁ、話がうまくかみ合わない

「オレには家庭があるんだ、壊す気は元々ないし、妻を愛してる。大森さんだって最初から遊びだと言っていたろ?」


「私は最初から賢也くんのことは本気よ、賢也くんと結婚したいの。賢也くんだって本当は私がいいでしょ」


無性にイライラしてくる、これ以上話をしても意味が無いように感じた。

「何故あの日、本当は反対方面の電車に乗るべきだった大森さんが同じ方面の電車に乗ったんだ?最初からオレを嵌める気だったのか!もう、電話には出ないから」


通話を終了するとスマホをソファに投げつけた。


くそっ!

何なんだあの女、頭がおかしいだろ

最初からオレが既婚者だって知っていて誘ってきたくせに、なにが結婚したいだよ。


何なんだよ



オレは・・・・なんで・・・こんなことをしてしまったんだろう。




「有佳、今日も友達のところ?」


有佳は美しく微笑みながら「ええ行ってきます」と楽しそうに答える。

体調が悪いと言っていたけど、大丈夫なんだろうか?


「ところで体調はどう?」

楽しそうに見えたとしても、すこしやつれて見えるのは錯覚ではないだろう、その原因はきっとオレだ。

申し訳なさと愛おしさに肩を抱こうとしたらすり抜けられてしまった。


「明日、病院にいってくるから」


「そ・・・そうだね、体調が悪いなら今日はあまりおそくならないようにね」


もしかしたら男と会っているんじゃ無いかという気持ちからすこし意地悪な言い方になる。


今まで休日はいつも二人で過ごしていた、大切な時間だったのに

有佳に限って浮気なんかしないと思いながらも、自分にやましい気持ちがあるため疑ってしまう。







夕方帰宅した有佳の様子がなんとなくおかしかった。

ため息ばかりで、心ここにあらずで一体誰と会っていたんだろう。


不安と疑惑が湧き上がる



オレがしているようなことを有佳もしているんだろうか・・・

だから、夜に誘ってきたのか





月曜日の朝はいつも通りだったが夜になると体調が悪いと言って“また”書斎に籠もってしまった。

本当に体調が悪いのだろうか

一つ疑惑があるとすべてが疑わしくなる


そういえば書斎に入ることがなくなったかもしれない、特に有佳が書斎で寝るようになってからなんとなく入ってはいけないような気がしたから。


たしか、ソファベッドを購入したと言っていた。どんな感じのものか見ていない。

こっそりとドアノブに手を掛ける。

なんとなくドアノブに違和感はあったが、普段触らない所だからそう感じるんだろう


ゆっくりとドアを開けると本棚やパソコンデスクが置かれていて奥にソファベッドが置かれていた。


すっかり有佳の“部屋”になってる。

もう二度とあのベッドで寝る気が無いのかも知れない。

やっぱり、他に男がいるのかも


そんなのは嫌だ、有佳はオレのものだ。


有佳の髪を撫でる。

こんな風に触れたのはいつだったろう。


「うっ・・・」

有佳の顔がゆがむ


「本当に大丈夫?」

口元を押さえて目をきつく瞑る様子は本当に具合が悪そうだった。

「ごめんなさい、一人にして」


こんなに体調が悪そうなのにオレは何を考えていたんだ。

「そっか、ごめんな」


掛け布団をかけ直して部屋を出た。


有佳を疑うなんて馬鹿げている。




翌日も有佳は体調がわるく書斎で寝ていた。

気になるが、それ以上に大森さんからの電話が異常に多かった。

出るつもりはないから無視をし続けたが、どうしていままでもこんな風に無視をしなかったのか、別に会って話をする必要はなかった。


これで終わりにするといいながら


下心が無かったとは言い切れない


本当にバカだった。




独りぼっちでこの広いベッドに寝るはいつまで続くのか。


体調を崩して辛いのは有佳なのだから、そんなことを言ってはいけないと思いながらも、有佳の体温が恋しいと思ってしまう。




目が覚めてリビングへ向うと、味噌汁のいい香りがしてきた。


「おはよう、大丈夫?」


「うん、本当にごめんなさいもう大丈夫だから気にしないで」


たしかに、顔色も良さそうでほっとする。


焼き鮭とほうれん草のごま和えに冷や奴、そして具だくさんの味噌汁。

しっかりとダシのきいた味噌汁は一口飲むと心がゆったりとして安心する。

この先もずっとこの味噌汁を飲みたい。




ドリンクコーナーでコーヒーをドリップしていると田中がやってきた。

「そいうや、片桐の家って行ったこと無いよな、奥さんにも会ったことがないし」


「まぁそうかもな」


「今日の夜とか片桐の家に行ってもいいか?」


「なっ!なんで?」


「ほら、もうできてるぞ」というと、自動販売機から入れ立てのコーヒーを取り出し手渡される。

田中は自分もコインを入れてブラックのボタンを押した。


「だって、会ってみたいし、こういうのって勢いだろ?」


そこに斉藤もやってきて「もうできてるよ、オレも買うから早く取り出せ」というと田中はブラックコーヒーを取り出し一口飲む。

続いて斉藤はスマホを自販機にかざすとカフェオレのボタンを押した。

「なになに、何の話?」


「片桐の奥さんに会いたいって話し」


「まじ、オレも会ってみたい」


「いや・・・」

でも、最近なんとなく夜は気まずい事が多いし、二人に来てもらうのもいいかもしれない。


「有佳に聞いてみないと」


「「じゃあ、連絡しろよ」」

「「今」」


見事に二人の声はシンクロした。



「有佳が嫌だって言ったら無しだからな」


「「了解」」



何度目かのコールで有佳が電話にでた。



「有佳体調は?」


「大丈夫よ、どうしたの」


たしかに、声の感じはそれほど体調が悪いようには感じられない。

「実は同僚が今夜、家で飲みたいとかいいだして・・・嫌なら断るよ」


「平気だよ、何人来るの?」


「二人なんだけど、適当になにか買って帰るから」


「そんなことしたら、ダメ主婦確定になっちゃうでしょ、軽い食事とおつまみをつくっておくから大丈夫だよ」


かわいいな

「ありがとう有佳、大好きだよ」

と言って通話を切ったが田中と斉藤の前だったことを思い出した。


「あ~あ、オレも結婚したくなったかも」と斉藤が言うと

「そもそもお前は彼女がいないし、節操もないだろ!無理!」と田中が一刀両断した。


「でもなんで急に片桐の家に行くことになったんだ?」


田中がいきなりそんなことを言い出したことは確かに疑問だ

「確かに、なんでいきなり?」


「ていうか、片桐が奥さんを隠しすぎ」


「別にそんなこともないよ」



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