アイ・トゥ・アイ
📡と🟦
CP要素無し
あくまで「と」なのでまだ何も始まらない
ヘリがコナダに変わる前、’24/11/22以前の時間軸。レダーが帰っていません。色々とうろ覚えな為矛盾や本家との齟齬が生じる可能性有り。それを加味してどうぞ。
バチ、
晴天。昨日の星空の通りに晴れ渡ったその日、
機械の羽根を自在に操るソイツと相対して。
生まれて初めて視線が絡む音を聞いたんだ。
ーーーーー
「客船ヘリ出しまーす。誰か乗る?」
「ぱちお乗りたいです!屋上降ろしてください!」
「おーけー。待ってる。」
段々と街も目を覚まし、喧騒と銃声が響き出した午前10時。聞きなれた犯罪通知と客船強盗の文字に俺は迷わずヘリを出した。
乗りなれたマーベリックの機体は傷だらけ。もうすぐ新しいヘリが入ってくるらしいと噂を聞いた。でも俺はコイツが1番好きなんだよなあ。私欲だけじゃ警察はやっていけない。どんなヘリでも慣らせば乗れるようになるだろう。
「お待たせしましたっ!行きましょう!」
「うーし、今日もがんばるぞー!」
「頑張りましょう!」
ぱちおを後ろに乗せてヘリは浮かぶ。機体のヘルスはMAX、燃料も8割、つまりコンディションは最高。
「らだお先輩今日機嫌いいですね。なんかありました?」
「んー?そう見える?」
「はい、なんか、オーラがフワフワ?してる感じするっす。」
「ええ?あー、じゃあれかも。」
白く細長い船が見えてくる。
「今日は飛べる気がする。」
船尾にボートがつけられていて、屋上には運良く人がいない。降ろすよ、の一言でぱちおは銃を握り直す。サーマルに映る熱源は5つ。桃色の服。868だ。
定石通り眼前にはピンクフロガーが旋回している。気づかれているだろうか。
「ぱちおゴメン1回アタック行くわ。」
「っはい。」
敵はまずサーマルを潰したがるだろう。俺ならそうする。だから、その鼻先を向ける一瞬を、旋回に時間を割くその数瞬を、打つ。
ガシャン!
惜しい。今の煙吹かないのか。
完全に警戒が向いてしまったので、一度引いてぱちおを降ろす事にした。
「降りていいよ。」
「行ってきますっ!」
助手席を船頭に向け屋上にビタ付け。ぱちおが飛び降りる。多少撃たれはしたがまだまだゲージは緑だ。いける。
【らだお先輩上!】
ぱちおの無線と同時に眼前に迫るピンク。ハンドルを目いっぱい手前に引けばギャギャギャ、と羽が擦れ合い火花が散る。危ない。絶対爆散狙われてた。
【おっけーぱちおありがとう。一旦そこに居てヘリ撃って?】
【了解ですっ。】
【まるん現着。船尾どうすか?】
【今見る。】
続々と応援が増えていく。今日出勤しているメンツなら中は無理なくいけそうだ。
【ボイラー1人いる……けど今!今いける!】
【上がります。………1人やりましたっ。】
ナイスだまるん。強いぞキノコ。
その後も船内へ乗り込んだドリーや乱歩によって少しずつ868は押されていく。
ピンクヘリは俺の後ろにピッタリと付き、なぞるように飛んでいる。とにかくサーマルを見させたくないのだろうが、旋回しながら見るくらいならギリ出来る。
客船は出来れば逃走まで持っていかせたくない。ヘリ逃げが基本だから長引きやすい。だからこそぱちおが屋上で耐えてくれれば、
【あと最強部屋だけだね。数かければいけると思う。】
【おっけー、じゃ俺の合図でみんなで行こう。】
ドリーがまとめ、ざっくりと作戦が決まる。最強部屋の熱源は銃を構えて動かない。シルエットを見る限り女性のようだが、最強部屋を任されるのだから相当のやり手だろう。
【いくよー、せーの!】
「がんばれっ…。」
予想通りの強さだ。束になった警察が次々になぎ倒されていく。10秒…20秒…30秒にも満たないその時間。それでも最後は決着が着く。連続していた銃声がピタリと止んで、熱源はダウンの姿勢をとった。
【…………やったやった、中終わりですかね。】
【ナイスー、後はヘリだけかな。護送しよう。】
最後にダウンをとったのは乱歩のようだ。きっと船内は大騒ぎだろう。あの場に居なくて良かった。
ギャング868の特色の1つとして、仲間を見捨てないところが挙げられる。このヘリも、然り。
【ボート使って砂浜行って?誰か動ける人砂浜パトカーつけて欲しい。ヘリ狙ってるわ。】
【了解ーえびす砂浜行きます。】
最強部屋のダウンから動きの変わったヘリは、今は高度を上げ客船を睨んでいる。護送のタイミングを伺っているのだろう。
【パトカー乗れました!本署向かいます!】
【おーけーナイス。そのまま行っていいよ。】
無事に砂浜に着いた乱歩。乗ってしまえばこっちのもんだ。ここから本書まではそう遠くない。
諦めずにパトカーを追うかと思われたピンクヘリは、ぐるりと方向を変え俺と向き合った。
【あー……俺ちょっとヘリと戦ってきます。死んだらそういう事です。】
【了解です。絶対勝ってください。】
【がんばるー。】
ああ。分かるよ。
俺もアンタとやり合いたい。
フロガー特有の丸い機体が、陽の光を受けて輝く。太陽はよりてっぺんに近づいた。
「よう。アンタ空の悪魔だろ?」
「だったら何ー?」
「いやあ、いっぺん戦いたいと思ってたんだよ。」
スーパーシャウトで投げかけられた声には挑発が滲んでいる。上等だ。
「いいぜ。戦ろう。」
仮面で隠されたその顔は、きっと仮面と同じように笑ってるんだろう。
ーーーーー
ピーピーピー、
《青井らだお ダウン》
「えっ、このダウン何?【らだおくんのダウン大丈夫?】」
「……1ピンっすね。事故?」
ドリー達の松葉杖も外れ、つかの間のチルの気配を漂わせていた本署に突如通知が入る。
「らだお先輩さっき客船のヘリと戦うって言ってましたよ。」
「ありゃ、負けちゃったのか。」
「相手のヘリ強そうでしたもん。ずっとらだお先輩のこと追いかけてた。」
ぱちおがホットドッグを齧りながら言う。屋上で見ていた彼は空を舞う2機のヘリが相当な手練であると考えていた。
話題が「青井らだおを負かすヘリ乗り」になったところで、再度らだおのダウンを知らせるピンが鳴る。それは間を置いて別の場所でまた鳴り、等間隔にマップを彩っていく。
「……これ誘拐だ。【らだおくんそのまま鳴らしてて。すぐ向かうから。】」
「え、誘拐?うわマジだなんかデジャブーw【なずぴヘリで追ってみるねー。】」
線状に並ぶピンを見て誘拐を悟ったドリー。それを発端になずぴ、ぱちおも動きだす。チルな雰囲気が霧散して途端に慌ただしくなった。
ピーピー
《パシフィック銀行強盗》
「はーなんて最悪なタイミング!?」
「ちょっと、我パシの対応いくわ。」
「らだお先輩の方どうします?」
「うーん……。」
どんなに事件が起きていても犯罪者はまってくれない。あまりにもタイミング悪くパシフィックが発生したことで、連続していたらだおのピンが止まる。それはつまり、
「ピン止まりましたね…。」
「…事件対応優先しろってことかな。」
ダウンを知らせるピンは警察だけでなく救急隊にも通知が行く。大型が起こっている以上、マップが見づらくなるのはいけないだろうという、らだおの気遣い。
「……っ【らだおくんごめん、パシ終わったら必ず行くから頑張って!】」
その意図を正しく読み取ったドリーは歯噛みしながらも、大人しくパシフィックへと向かった。
できるならさっさと対応を終わらせて、同期を救いに行きたい。先に向かった皇帝もまた、同じように考えているんだろう。
マップの赤い波紋が、段々薄く消えていくのが、悔しくてたまらなかった。
ーーーーー
「はい着いた。」
「………。」
場所は変わり、砂漠。3000番の薬拠点にとりあえず置いておく事にしたこの男の名は、青井らだお。
モルタル張りの何にもない地下に、俵担ぎにしていたのを雑に投げ捨てる。
記憶を失って逃げられても困るよなあ、ぐち逸呼ぶか…主治医辺りでも、理由を聞かずに直してくれそう。
「……ねえ、ほんとに帰してくれない?今忙しくなってんだけど。」
「いやいやいや、君負けたから、暫くは付き合ってもらわないと。」
「いつそんなルール決めたんだよ…。」
「今。ははは。」
「さいあく………。」
まあそう睨むなよ、悪いようにはしないさ。
「ヘリバトル、楽しかったね?」
「……っまあ、楽しい…たのしい…かった。」
煤けたヘルメットの下で、なんとも悔しそうに歪められる双眸。分かるよ。分かる。俺達みたいなもんは、楽しむだけじゃ満足出来ないもんな。
目線を合わすのにしゃがんでいたのを、体を伸ばすついでに立ち上がる。っと、個人医呼ばないとね。
「主治医さっきいたよな〜…。……あ、もしもし〜?」
「……………。」
ダウンのうえ手錠をかけられているのだから、抵抗する事は出来ない。それにしても大人しすぎる気もするが、これは本人の特性によるものだろう。
電話をかけ程なくして主治医が到着し、青井を見て一瞬驚く素振りを見せるが、優秀な彼女は黙って治療をした。
青井は主治医に助けを求めて声を出したが、俺も主治医も答えない。冷たい壁に響くだけになったそのSOSは随分寂しかった。
「……それじゃあ、請求は…、」
「ああ、俺でいいよ。それと、このことは内密にね。」
「……はい。では、私はこれで。」
「ありがとー。」
さてと。どうしようかな。
「ねえ青井サン。」
「なんすかぁ、もう帰してくださいよ。」
「この後どうしようね。」
「……は?」
正直言って何も考えてないんだよな。
誘拐の定番、身代金は経験上、成功率がすこぶる低い。というかお金は別に。
なら彼を勧誘する?好感度がマイナスにいってそうな今誘ったって警戒を煽るだけだ。
うーん、困ったな。
「……まさかなんの意図もなしに攫ったとか言わないよね?」
「そのまさかって言ったらどうする?」
「アンタのことよく知らないけど本気で嫌いになりそう。」
「わはは!そうだよねえ。」
ずも…と音が聞こえそうなくらい睨みを聞かせてくる。威嚇する野良猫にしか見えん。
動きにくそうだから手錠を前で付け直してあげた。さっきからずっと殺気が凄いな。
小さな機械音の後、音鳴から無線が入った。パレトしに行くけどお前も来るか?という旨の連絡に俺はYESと答え、消沈した様子の青井に向き直る。
「俺お仕事してくるからここに居てね。」
「はぁ?」
「まあ警察には見つからんだろ。ココはバレてないハズ。」
武器防具等を没収、ご飯は残しといてあげようね。…クマ?…も、残しとくか。
「ねーえー本当にヤダー…。」
「我慢我慢、男の子でしょー。」
「関係なぁい!」
「じゃ行ってくるねー。良い子で待ってるんだよー。」
階段を上がり扉を閉める寸前、チッ、と舌打ちが聞こえたのを俺は聞き逃さなかった。
優秀なヘリ乗り、警察の高戦力。削れば仕事も楽になる。
「どう遊んであげようか……。」
新しいオモチャにワクワクして、仮面と同じ、笑みを浮かべる。
砂埃を上げてピンクフロガーが飛び立った。
うわーこの後どうしよう。
A. お薬使って懐柔→ペット化
B. 解放条件は警察と大運動会!
C. ヤロヤ巻き込んで遊ぶ(意味深)
D. 🟦くん今助けるー!愛されルートGO
とかね…
こういう展開が見たいとか、この人と絡ませたいとか、ありましたら是非コメントでお願いします。
コメント
1件
4択の選択肢どれも良きですね...! 個人的にDが物語として綺麗な感じがしますが... 結論、どれも良いですね!