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あれ。もう夜かぁ。

はは…今日も死ねなかったなぁ…。

だめだ。なんでこんなに…私はほんとに…。

はぁ。


「死にたいよぉ…」


あ…これ、言っちゃいけない言葉なのに。



私は、中2の女子。自殺志望者の希月。

毎日、死にたいと思って、

死のうと思ってる。でも、私には彼氏がいる。

私の自殺を止めてくれる彼氏がいる。

そんな彼氏・美兎くんがいるのにも関わらず、私は家を出て走る。橋まで。

家の近くの橋から、私は飛び降りて死のうと考えてる。でも、なんでか死のうとすると美兎くんが来て、「まだ生きていて欲しいよ。」と言う。

今日もかな…?


「はぁ、はぁっ、はっ、はぁー…」

今日こそ死ぬんだ。

私が橋の上に立ったとたん、

「希月。」

「あ、また…!美兎くんっ!」


「やめてよ。希月。おれ、希月ともっと一緒にいたいって言ってるじゃん。今日、これ64回目だよっ…!!」


「だからなに。美兎くんには関係ないの。私は死にたい!美兎くんのせいじゃ無いよ?ただ、私が死にたいだけ。付き合った時からそうでしょ?知ってるくせに言わないでよ!」


あぁ。また。こんなこと…思ってないのに。









でも。心のどこかで、思ってるから言っちゃうのかな。そうだよね?全く思ってなかったら言わないよね。


「希月。ごめん。別れよ。」


「え?」


「おれ、希月のこと大好きだよ。でもさ、希月は死にたがりだ。おれは、死にたがりを支えれないよ。だから。今日は、それを言いに来た。ごめんね、希月。」


「美兎くん?なに…言ってんの?……私が、死にたがりって知ってるよね?なんで別れようなんて、美兎くんは私を支えてくれてる。だから、別れたく無いよ…。」


「じゃあ、もうこんな、死のうとしないでくれる?」


「うん。絶対。約束する。」


「わかった。約束ね。希月のこと信じるよ。」


「「じゃあね。また明日。」」



そう言って帰ったんだけど、どうやって帰ったのか、記憶には全くなかった。


夜になった。

私は泣いた。

自分の部屋で、

いっぱい泣いた。


窓から外をながめる。

明日は、楽になれるかな。

楽になる方法を見つけるために、もう、寝よ。


「ただ存在してるだけじゃ、楽しくないもん。」


私、美兎くんがいないと死んでたよ。


「俺は死にたがりを支えれない。だから、別れよう。」


私、美兎くんのために、明日からも生きるよ。


美兎くん以外の、生きる意味を探すから。



あれから1ヶ月がたった。

今日は、美兎くんの誕生日だ。

あの日から、一回も美兎くんと会っていない。

怒ってるのかな。LINEも返信どころか既読もつかないし。誕生日なのに。


もう、夕方だ。1ヶ月前まで、私が死のうとして橋まで走っていた時間だ。

美兎くんにLINEをすると、既読がついた。

そして、

[ごめんね、希月。おれ、ばいばい。]

と、意味不明な返信が来た。

私は、別れるって事だと理解したつもり。

私は、数秒その場に固まった。

私は、この1ヶ月の間に、美兎くん以外の生きる意味を見つけれなかった。

「もぅ…死んでも…いい、よね。」

私は、1ヶ月前までしていたように、家を出て、橋まで走った。

今日こそ死ぬんだ。


「はぁ、」

「はー…」


あ、れ?2人分の吐息が聞こえたような…?


私が顔を上げて、そこにいたのは、

「?!美兎くん?!」

「あれ、希月。」


「「私、(おれ、)死ぬ。」」


「「え?」」


「ふふ。じゃあ…一緒に逝こうか。美兎くん。」


「うん、希月。」


橋の上に立ったのは、2人だった。

私は、いつの間にか泣いていた。

彼も、いつの間にか泣いていた。

「もう、泣くなって…おれ、希月の涙どんだけ見たか…w」

「美兎くんだって泣いてるし!私だけじゃないし」


「あはは!」

「ふふっ!」

「おれ、鬱病だったんだ。」

「え?そうなの?知っての通り、私も鬱病。」


「よし…いこうか。」

「うん。やっと楽になれるね。」

「ああ。やっと楽になれる。」


「「せーのっ!」」


ヒュー…これは、現実かな。美兎くんと、一緒に落ちてる。


ヒュー……。


「美兎くん、月と星、綺麗だね!」

「そうだね!希月。」


「「じゃあね。」」


バシャンッ!!

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