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「おはよ〜、、、」
そんな声を発しながら私は家の階段を降りる。
「おはよう、フォア」
「おはよう、よく眠れた?」
「おはよ、フォアはお寝坊さんだなぁ、笑」
父と、母と、兄が、いつも通り迎えてくれる。
寝坊はいつも通りじゃないけど、、、
「それと、、、」
と、料理中だった母が手を止め、こちらを向いて近づいてくる。
「誕生日おめでとう、フォア」
そう言いながら、ポケットから出した丸い何かの包袋をとって私の口に入れた。
鼻に抜ける甘い香りが広がった。
「、、、!」
「なにこれ、、、!」
驚いている私を見て母は嬉しそうに言う。
「それはね、チョコレートって言うの」
「ちょこれ、えと?」
「甘いお菓子なんだけどね、少し高いから、、、今日は特別よ?」
「うん!」
私は味わって食べる。美味しい、、、。
「フォアだけずるい、、、」
兄のアフィが口を挟む。
「アフィはまだ誕生日じゃないでしょう」
「でも〜、、、」
「じゃあ、お兄ちゃんにはこれあげる!」
私は手に乗せた折り鶴を見せる。
「いつの間に、?すごい上手だな!」
「ちょこれえと、の紙で折ってみた」
アフィ兄は折り鶴を受け取ると鼻を近づける。
「本当だ、甘い匂いがする、!」
「流石にしないだろ、笑」
と言いながらも父も匂いを嗅ぐ。
「、、、」
「どう?」
私は聞いてみる。
「ダメだ、父さんには分からん、、、」
「本当にするってば、!」
アフィ兄はちょっとムキになって言う。
そこから笑いが起こる。
みんなに伝染する。
これが、私の日常!
だった筈だ、、、
「お母さん、お父さんは?」
出来立ての温かい夕食を食べながら私は聞く。
「それが、まだ帰ってこないのよ、、、今日はお昼から雨だし早く帰ってきてもいいのだけれど、、、」
「そっか、、、」
「まあ、すぐ帰ってくるだろ、」
落ち込んだ私を慰めようとしたのか、アフィ兄は声を大きくして言った。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
不安な感情のまま、今日が終わった。
それから2年が経った。
結局、父は帰ってこなかった。
私たちは大きく成長した。
、そのせいで母は朝から晩までずっと働いている。
「私も働きに行く!」
いつしか、そう言った日があった。
そしたら母は悲しそうな顔をして
「ごめんね、、、お母さんが頼りなくて、、、」
と泣いてしまった。
それ以来、私は何も言えなくなった。
ある日の夜、母が言った。
「ごめんね、」
「どうしたの、?」
「お母さんの所為なの、ごめんなさい」
そう言い、涙を溢しながら、薄い毛布で寝てしまった。
意味がわからない。
「お母さん、、、?」
「フォア、どうかしたのか?」
先に寝ていたアフィ兄が目を擦りながら聞いてきた。
「お兄ちゃん、お母さんが、泣いちゃった、、、」
「またか、、、」
アフィ兄は呆れたようにため息をつく。
「私、、、私のせい、?」
「悪い子だったかな、、、?」
「、!」
アフィ兄が私を撫でてくれる。
「違う、違うよ、フォアは悪い子じゃない、」
「でも、、、」
「お母さんはな、ちょっと疲れてるんだよ、明日、、、楽になるからさ、安心しろ、?」
撫でられながら私は少しの違和感を持つ。
でもその違和感の正体を考える前に、眠気が襲ってきた。
「ありがとうな、」
アフィ兄の優しい、けど寂しげな声で、私は眠りに落ちる。
続く
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