テラーノベル
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💛 side
💛「ん……」
カーテンから僅かに差し込む朝日で微睡んでいた意識が鮮明になってきた。
ベッドの上で伸びをすると、ほんの少しだけ身体にダルさと、明らかにそれを上回るスッキリとした心地良さを感じる。
💛(俺、昨日いつ寝たんだっけ…?)
ふと自分の身体を見ると、いつもの寝巻きにしっかり着替えていた。
いつ着替えた…?と不思議に思いながらリビングに行くと、綺麗に片付けられた食器の隣に空になったアルコールのボトルが置いてある。
💛(あーー…これ飲んでまた寝ちゃったんだ…)
何故か飲むと必ず寝てしまうアルコール。
大好きだからこそ呑みたい気持ちもあるが、必ず記憶を無くして寝てしまうため毅から基本呑むことを禁止されている。
💛(毅、母親みたいな面あるんだよな…)
クスリと笑いながらスマホを確認すると、メールの受信を知らせるマークがついている。
中を確認すると、毅からだった。
毅『昨日やっぱり寝落ちしちゃったから色々いじらせてもらったわ。体調大丈夫か?今日〇ステだよな? 朝くらいゆっくり休めよ。』
毅の優しさに心が温かくなる。
💛『今起きた。少しダルいけど、元気だよ。サンキュ』
毅に返事を送った後に、顔を洗おうと洗面所に向かう。
ふと鏡を見た時に、首にネックレスが着いたままであることに気付く。
💛「あー…着けたまま寝ちゃったのか…」
人差し指でチェーンを掬うと、シャラ、とネックレスが擦れる音が聞こえる。
💛「…?」
何故かは分からないが、何故かやけに耳に残る。
💛(なんか…この音……夜に聞いたような…)
思い出そうとするが、記憶に靄がかかっているようで思い出せない。
何故かは分からないが、胸がザワつく。
💛「気持ち悪…」
胸のザワつきが心地悪くて、不快感が言葉となってポツリと溢れ落ちる。
カチコチと、時計の音がやけに大きく聞こえた。
💛(…あ、もうこんな時間…早く支度しないと……)
急いで顔を洗い、歯を磨き、着替える。
ネックレスを外そうと手を掛けた時に、ふと、毅の言葉が蘇る。
「常に着けてても錆びることないからさ、なるべく着けててほしいなー」
💛「…そのままでいいか……」
ネックレスをそのまま身に着け、家を後にした。
💛「お疲れ様でーす…って、誰も居ないよな。」
いつもと同じ、かなり早めの時間入り。
今日は昼前に〇ステとイベントの打ち合わせ、午後はSNS用の動画撮影、夜に〇ステ本番と予定が多い。
椅子に座ってイヤホンを装着する。
今日は久々の音楽番組だから、ちゃんとイメージを浮かべておきたい。
drop時代に出演した歌番組は正直思い出したくない。
ダンスボーカルグループである筈なのに、最後はダンサー的な立ち位置で出ざるを得なかったのだから。
💛(今日はメンバーと肩を並べて出演できるんだ…ヘマできない。)
不安はある。けど、それ以上に楽しみで仕方ない。
KISSPLANのフォーメーションを脳内でシミュレーションするために、そっと目を閉じた。
❤️ side
❤️「おはようございまーす…」
何となく朝早く目覚めて、何となく気象予報士試験の勉強をして、けど捗らなくて…
ほんの少しだけ…仁ちゃん居るかなって思って。早めに家を出てみた。
案の定、彼は居た。
広い部屋にただ一人、静かに目を閉じている。
イヤホンを着けているのを見ると、音楽を聴いてリラックスしているのか…
いや…彼のことだから、きっと夜の番組に向けてイメージトレーニングをしているに違いない。
真面目―――
彼にはこの言葉がピッタリだと思う。
真面目が故に、きっと、過去に壁にぶつかったことなんて何度もあるだろう。
けど、仲違いをしてからはdropのメンバーには頼れず、この華奢な身体で、一人背負ってきたんじゃないのか…
ただの憶測だけど、きっと間違ってはいない。
胸がギュッと締め付けられる。
❤️「仁ちゃん…」
自分でも驚くほどの、甘さを含んだ声。
小さく発したつもりの言葉は、確かに仁ちゃんに届いたようで。
💛「…舜太。おはよ。」
ふわりとした、可愛い笑顔が返ってきた。
❤️「仁ちゃん…っ!おれ、好きなパン屋さんでたくさん朝ごはん買ってきてな!一緒に食べん?」
💛「え、いいの?嬉しい。食べたい!」
M!LKという居場所が、仁ちゃんが少しでも甘えられる場所になりますように―――
そう願いながら、仁ちゃんと並んで朝食を摂った。
💛 side
❤️「あれ?仁ちゃん、アクセサリー初めて見るやつや。似合っとるね!」
舜太オススメのパンを頬張っていると、舜太がネックレスについて触れてくる。
💛「ん?あぁ…昨日家に毅が飲みに来てさ…貰ったんだよ。チョーカーみたいで可愛いよね。」
❤️「へー、毅くんが!めっちゃかわええ。似合っとるよ!」
💛「…ありがと。」
ニコニコと話しかけてくれる舜太が可愛くて頭をポンポン撫でる。
大型犬みたいだな、なんて思いながらクスリと笑っていると、荒々しく扉が開かれた。
驚いて振り返ると、息を切らせた太智が立っていた。
💛「…どうしたの?」
💙「仁人。今日の〇ステ、急遽dropも出ることになったらしいで。」
❤️「…え?何で…」
💙「元々出演予定だったアーティストが体調不良で取り止めになって、そこに入ってきた形らしい…最近新曲出して先週も出とるみたいやから、気まずさもありながら事務所的には万々歳だったんやないの…」
信じられない…
一応前事務所には、退所する際に修斗と輝から邪険に扱われたことが原因だと伝えている。
俺らの関係性を知った上で2グループの同時出演を許容するのか。
💛「…脱退前後のグループを同じ回に当てがうかよフツー…」
❤️「仁ちゃん、大丈夫…?」
舜太が心配そうに顔を覗き込んでくる。
💛「ん。さすがに放送される場で何か変なことはしてこないだろ。それにさ…」
フッと笑って、舜太と太智を見る。
💛「皆が居てくれるし…ヘーキ。」
キョトンとしていた舜太と太智が、顔を見合せて笑う。
❤️「確かに!もし何かあっても撃退したるから仁ちゃんは心配せんでええからね!」
💙「そやな。仁人はなるべく俺らと離れんようにな。」
💛「…ん。ありがとう。」
和やかに話をしていると、部屋のドアが開いて勇斗と柔太朗が入ってきた。
🤍「おはよー。」
🩷「あー、仁ちゃん居るー!おは」💛「ストップ。近付かないで。」
走って駆け寄ろうとする勇斗を制して舜太の後ろに隠れる。
❤️「わっ!…仁ちゃんかわええーー」
💛「……舜太うっさい。」
ジロリと舜太を睨みつけるが、くすくす笑われる。
🩷「ゔ…まだ怒ってる…?MV撮影の時のこと…」
💛「当たり前だろ!」
MV撮影をしていた日。
激しいダンスを幾度となく繰り返していたが、順調に発作を起こさずにMV撮影ができていた。
このまま発作無く終われるかも…という淡い期待は、勇斗の手によって簡単に崩れ去ってしまった。
結局、スタッフには襲われそうになるわ、防音機能もないただの部屋で色々と耐えることになるわで散々だったのだ。
意識を飛ばした俺が目覚める頃には太智と柔太朗に説教されてしょぼくれた勇斗が出来あがっていた訳だが、反省してもらうために数日経った今も接近禁止令を強いている。
🩷「仁ちゃーん…反省してるからさぁ…もう許してよー…」
🤍「あれは勇ちゃんが100パー悪いからもう少し反省してなさい。」
勇斗と柔太朗のやり取りを笑いながら遠巻きに見ていると、項に痛みを感じる。
首に触れると、襟足の髪がネックレスに絡まってしまっているようだった。
💛「痛っ… 」
少し引っ張ってみるが、全く解ける気配はない。
❤️「仁ちゃんどうかしたん…?」
首をしきりに気にしている俺に気付いたのだろう。舜太が心配そうに覗き込んでくる。
💛「髪がネックレスに絡まったみたいで…」
❤️「大丈夫?俺、見てみよか?」
💛「大丈夫。とりあえず自分でやってみるわ。」
断りを入れて、部屋の奥にある三面鏡の前に座って横を向く。
💛(これ、どうやって引っかかってるんだろ…)
絡まっている部分をしっかり見ようと、首を倒して襟足の髪を上げてみる。
瞬間、自分の項にくっきり映える、真っ赤な鬱血痕が目に飛び込んできた。
💛「――――――え?」
咄嗟に項を手で抑え立ち上がる。
ガシャン!!!
椅子が派手な音を立てて倒れてしまったがそれどころじゃない。
メンバーが驚いて近寄ってきたが、応じる余裕はない。
最近発作は起きていない。
最後に自分を抱いたのは太智と柔太朗で、それも何日も前のはず。
ヒヤリと、冷たい汗が首を伝う。
💛(じゃあ…この痕はなに…?誰に付けられた…?)
覚えの無い出来事に身体が震える。
項に添えた手に力が入り、ネックレスが歪な形になる。
シャラ、とチェーンが擦れる音が、やけに大きく聞こえた気がした。
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コメント
8件

更新早くて好きです!

いい展開になってきましたね💕︎