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🩷 side
🩷「仁人…?」
椅子が派手に倒れる音が部屋に響く。
音の根源を辿ると、三面鏡を覗いていたはずの仁人が立ち尽くしていた。
そんな仁人を不思議に思い声を掛けるが反応がない。
顔を覗き込むと、目を見開いてカタカタと震えていた。
🩷「仁人…!……仁人!!」
何度呼びかけても、その目に光が灯ることはない。
🩷「目を覚ませ、仁人。」
無理やり顔を上げさせ、荒々しく唇を奪う。
💛「んッ!!?ぁ、ふっ」
仁人の色めいた吐息が漏れる。
流石に驚いたようで、仁人が俺の肩を突き飛ばしてきた。
距離を保って仁人を見ると、顔を真っ赤にして口を両手で覆っている。
💛「…ッごめ、勇斗」
🩷「戻った?よかった…」
強引なやり方ではあったけど、何とか仁人を正気に戻せたようだ。
❤️「仁ちゃん…!なんか怖いことあったん…!?大丈夫…??」
舜太が心配そうに声をかけると、眉が下がった仁人が何かを言いたげに舜太を見上げる。
❤️「…仁ちゃん……?」
舜太が促すが、仁人は何も話さない。
グ、と唇を噛んだ後、ネックレスのバーを引き抜き強引に外しにかかる。
絡まった髪が痛むのか、仁人の顔が歪む。
🤍「ちょ…!?よっしー大丈夫!?」
💛「…ッ、大丈夫。」
今まで仁人の首を飾っていたネックレスが、仁人の手中に収まり鈍く光っている。
💙「……ネックレス、どうかしたん…?」
💛「…ううん。何でもないよ。」
三面鏡の前にネックレスを置き去りにし、仁人が輪の中に帰ってくる。
🩷「仁人、ネックレス着けなくていいのか?」
💛「…いい。あとでポーチにしまうからそのままにしておいて。」
🩷「…」
コンコンコン
仁人の様子が気になって更に声をかけようか迷っていると、マネージャーが部屋に入ってきた。
マネージャー「おはようございます。皆さんお揃いですね。打ち合わせ始められますか?」
💙「あ…はい、大丈夫です。」
各々打ち合わせの準備を進める中、なかなか動かない仁人を横目で見ると、視線に気付いたのか仁人が見返してくる。
💛「…今日の歌番組、急遽dropが出ることになったらしい。」
🩷「え、マジ…?」
💛「俺もさっき太智から聞いたばっかりだよ。ネックレスのことはびっくりさせて申し訳ないんだけど、今は歌番組の方に集中したい。」
複雑な思いを抱えているだろうに、仁人は真っ直ぐ俺を捕らえる。
💛「アイツらに、M!LKの一員として最高のパフォーマンスを見せつけたいんだよ。」
🩷「……アイツら怖くない?無理してないか?」
💛「さっき舜太達にも言われたけど…全然。だって、皆が居てくれるじゃん。」
仁人が、安心しきったような柔らかな笑みを浮かべた。
仁人はズルい。
ダンスや歌のスキルだけじゃない、内面でも俺の心を掴んで離さない。
🩷「ははッ、…その通りだわ。」
仁人の肩を小突く。
🩷「アイツらの相手は任せろ。仁人はパフォーマンスに集中しろよ。」
💛「ありがとう。頼りにしてる。」
💛 side
イベントや歌番組などの打ち合わせを終えて、テレビ局に移動した。
楽屋でメンバーそれぞれがメイクや着替えを進める中、俺はソファに座りスマホと睨めっこしている。
正直、修斗と輝に会うのが全く怖くない訳じゃない。
けど、正面から2人と向き合うチャンスかもしれない、とも思えてきた。
過去の辛い記憶が呼び起こされそうで、観てこなかった2人の活動の姿。
今なら観ることができる気がして、SNSで彼らの姿を探す。
出てきたのは、自分が脱退後に出された新曲の音源。
イヤホンを付けて、そっと目を閉じ歌に聴き入る。
修斗の力強い歌声と輝の柔らかで優しい歌声が響く。
きっと生で見ると、この歌声に修斗のキレのあるダンスと輝の繊細なダンスがプラスされることだろう。
💛(……なんだよ。めっちゃいい曲じゃん。)
イヤホンを外し、そっと一人控え室を出る。
向かう先は、今夜放送される歌番組の司会者の楽屋。
コンコンコン
「はい。」
扉をノックすると、中から声が聞こえる。
💛「M!LKに新加入しました吉田と申します。事前の連絡もなく申し訳ございません。少しお時間よろしいでしょうか。」
「どうぞ。」
返事を待ち、一人入室する。
💛「急に申し訳ございません。どうしてもお伝えしたいことがありまして…少しだけお時間をください。」
「…そうだったんだ。情報ありがとう。本番で振らせてもらうね。」
💛「ありがとうございます。ご迷惑をお掛けしますが、よろしくお願いいたします。」
一礼をして楽屋を後にする。
修斗と輝がどんな反応をするかは分からない。
けど、どうせなら歪な関係を断ち切って、各々の道を前を向いて進みたい。
不安と希望が入り交じったような、不思議な気持ちを抱えて皆の元へ戻る。
💙「あ!戻ってきた!仁人どこ行っとったん!?心配したやんか!!」
楽屋に入ると直ぐに太智の説教をくらう。
💛「え、……あ、ごめん。」
❤️「連絡取ろうとしてもスマホここに置き去りにしとるし!ほんっとに勘弁して!」
💛「本当にごめんなさい…」
しょぼくれていると、柔太朗が近付いてきて頭を撫でる。
🤍「今日はdropの2人も同じテレビ局に居るんだし…気をつけてよ。」
💛「分かってる。心配してくれてありがとう。」
🩷「……で?」
💛「?」
🩷「仁ちゃんは、一体どこで、何をしてきたの?」
勇斗の強い目線が、嘘偽りなく真実を話せと訴えかけてくる。
💛「別にやましい事をしてきた訳じゃないよ。俺と修斗達が、お互い前を向いて歩けるように下準備をしてきただけ。」
💙「仁人。今まで散々あいつらから酷い仕打ちを受けてきたんやろ…?2人に配慮する必要なんてあんの?」
太智の言うことは正しい。
アイツらが自分にしてきた仕打ちは、決して許すことはできない。
けど…願わくば。
💛「……さっきさ。今日ならアイツらと向き合える気がして新曲聞いてみたんだよ。そしたら純粋にめっちゃいい曲で。アイツらの歌声聴いたら、仲良かった頃の自分達を思い出したんだ。」
お互いが、しっかり前を向けるように。
ファンの皆を、これ以上心配させないように。
💛「最後にちゃんと、修斗達と向き合いたい。」
💙「仁人…」
自分の覚悟が伝わったのだろう。
誰一人として反対する者は居なかった。
🤍「よっしーの気持ちは分かった。ただし、一人で行くのはダメだよ。必ず俺らも連れてって。」
💛「分かった。ありがとう。」
💙「…さ。仁人そろそろ支度せな!着替え終わってないの仁人だけやぞー。あんま時間無いし、急いで着替えれる?」
しんみりとした雰囲気をかき消すような、太智のハリのある声が響く。
歌番組本番に向けて、一気に気持ちを切替えることができた。
💛「太智ありがとう。すまん急ぐわ。」
💙「衣装はパーテーションの向こうに置いてあるから、行ってき。」
💛「ん。」
場所を移動して衣装に着替え始めると、舜太が声を掛けてくる。
❤️「仁ちゃん、何か手伝うことあるー?」
💛「あ!ちょ、覗くなよ!」
丁度ズボンを履こうと片脚を上げている何とも言い難いポーズを舜太に覗かれる。
❤️「……仁ちゃん…………、それ……」
💛「それ…?……どれ?」
❤️「……ッいや、何でもない!仁ちゃん、急いでや!!」
舜太のことだから情けない格好を笑うだろうと思っていたが、想定外の反応が返ってくる。
目を見開いて、何かを凝視している。
訳が分からず聞き返すと、我に返った舜太が慌てて出ていく。
💛「何だったんだ……?ま、いいか…。」
太智に急かされまいと、急いで準備を進めていった。
❤️ side
仁ちゃんの太腿内側に着いた鬱血の痕を見付けた瞬間、血の気が引いた。
あれは間違いなく、キスマークだ。
仁ちゃんは最近発作を起こしていないし、近々でメンバーに抱かれたこともない。
けど、あの痕は明らかに最近つけられたであろう色味だった。
❤️(嘘やろ……一体誰に抱かれたん…!?)
心が騒めく。怒りがじわじわ湧き上がる。
そんな予想外の感情を自覚し、笑みが零れた。
❤️(結局、俺も仁ちゃんに堕ちてるやん…)
🤍「舜太、どうかした?大丈夫…?」
俺の様子がおかしかったのか、柔太朗が声を掛けてくる。
❤️「……大丈夫だよ。」
とりあえず、今は自分だけが知っていればいい。
今、皆に余計な感情は要らない。
💛「お待たせ。着替え終わったよ。…舜太、どうかした?」
仁ちゃんを見つめ、ニコリと笑顔を作る。
❤️「……なんでもない。行こか!」
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