えーと、ドレスはめんどいからワンピースにしちゃお。
「黒で膝下のやつ…ポンチョで〜…あ、コレコレ」
無事に発見。
黒タイツと黒ブーツを履いて、耳にはロシアンハットを被る。
「よし、防寒対策バッチリ!」
外に出ると、雪が降り積もっていた。
ザク、ザク、と御者のいる所まで行くと御者は困った様子だった。
「どうしたの?」
「お、お嬢様!…そ、その、雪で道が凍ってしまっていて…。馬車を走らせるのはいかがなものかと…」
「え!?あー…そうね」
道路は雪で一面真っ白。そのせいか、馬車はおろか外を歩く人々の姿はほとんど見えない。
「あ〜、じゃあ馬貸して」
「えぇ!?いけません!もし噂にでもなったら…!ご主人様に怒られてしまいますよ!!」
令嬢が馬に乗って走るのがそんなにおかしい?
「大丈夫、大丈夫〜」
外には、私を見て噂する人なんて一人もいないし。
「じゃあね〜、寒い中おつかれ」
「は、はい…。そ、その!暗くなる前には帰ってきてくださいね!?」
「任せて〜」
孤児院にて。
「レイチェル様!?雪の中よくいらっしゃいました!」
院長のハドソンさんが少し慌てた様子で出迎えてくれた。
「突然ごめんね、子供たちはいる?」
「はい、談話室で暖をとっています」
「分かった、あと、これはチップ」
馬から荷を下ろすと、冬用の洋服と毛布、それから少量の金貨を渡した。
「いつも少なくてごめんね〜。大人になったら寄付できるくらいの男見つけて貢がせるからね」
「ふふ、そんな事しなくても十分嬉しいです。本当にありがとうございます」
「へへ、やっぱりここは居心地がいいね。家よりよっぽど良いよ」
「そう言ってもらえると幸いです。さ、外は寒いですから中はご案内しますよ」
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