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私が談話室の前まで来ると、ある男の子がひょこっと顔を出した。
「あ!レイチェル様だ!!」
さらに続いて、次々と子供たちはドアから出て来た。
「え?レイチェル様?どこどこ!?」
「いらっしゃい!レイチェル様!」
「ご本読んで〜!!」
「待って待って、ゆっくり話そ〜。私一人だから皆も一人ずつ話してくれると嬉しいな」
「「「分かった〜!!」」」
ここの子は皆優しくて賢い子が多い。
私の言った事にもちゃんと答えてくれるいい子ばかり。なのに親がクズなばかりに…。
そんなことを考えながら、皆でたくさんお話ししていると…ふと、一人の少年が隅で本を読んでいるのを見つけた。
私は気になってふらりと近寄ろうとしたら、少年はすぐさまこちらに気づき、睨むのだった。
でも私は慣れていたのでそのまま近づき、少年の隣に腰掛けた。
『ねぇ君ってさ、隣国から来たの?』
『!?』
私が急に別の言語で話すので驚いた…というわけではなさそうだった。
『何で出会って間もないお前がそんなこと知ってるんだ』
敵意剥き出しの猫の様な少年に、少しでも安心してもらいたくて私はこう言った。
『私の母も隣国出身でね。君と同じシルバーの髪の毛だったの。残念ながら私はブラウンだけど』
『あっそ』
あれ?ちょっとくらい興味持ってくれても良いのに。
『ねーねー、他の子とは遊ばないの?その本の方が面白い?』
孤児で本が読める子は正直かなり少ない。読めるのならば将来は官僚として働ける。
すると、少年は途端に黙ってしまった。そして…
『……いから』
『ん?』
少年は俯きながら、ボソボソと何かを呟く。
『この国の…、喋れ、から…』
『ん〜?』
ごめんね、私耳が遠くて。なんだって?
『この国の、言葉を喋れないんだ!!』
『っ、あはは』
『笑うな!』
『ごめんごめん(笑)』
怒ったように本を閉じた少年はどこかへ行こうとする。
『どこ行くの?』
『…院長の所だよ』
心底言いたくないと言った顔で、でも教えてくれる少年。
『ふーん、ね、今度この国の言語教えてあげるよ』
『!……俺に何させるつもりだ』
『何もさせないよ〜』
『…信じられない』
ずいぶん疑うじゃん。お金取ったりなんかしないのに。
『もちろん。でも代わりに君のことも教えてよね〜』
対価を要求すれば安心するのかしら。
『ふーん、…なら、良いよ』
あ、笑った?気のせいか。
少年は少し警戒を解いてくれた様だった。