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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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私が談話室の前まで来ると、ある男の子がひょこっと顔を出した。


「あ!レイチェル様だ!!」


さらに続いて、次々と子供たちはドアから出て来た。


「え?レイチェル様?どこどこ!?」


「いらっしゃい!レイチェル様!」


「ご本読んで〜!!」



「待って待って、ゆっくり話そ〜。私一人だから皆も一人ずつ話してくれると嬉しいな」


「「「分かった〜!!」」」


ここの子は皆優しくて賢い子が多い。


私の言った事にもちゃんと答えてくれるいい子ばかり。なのに親がクズなばかりに…。


そんなことを考えながら、皆でたくさんお話ししていると…ふと、一人の少年が隅で本を読んでいるのを見つけた。


私は気になってふらりと近寄ろうとしたら、少年はすぐさまこちらに気づき、睨むのだった。


でも私は慣れていたのでそのまま近づき、少年の隣に腰掛けた。


『ねぇ君ってさ、隣国から来たの?』


『!?』


私が急に別の言語で話すので驚いた…というわけではなさそうだった。


『何で出会って間もないお前がそんなこと知ってるんだ』


敵意剥き出しの猫の様な少年に、少しでも安心してもらいたくて私はこう言った。


『私の母も隣国出身でね。君と同じシルバーの髪の毛だったの。残念ながら私はブラウンだけど』


『あっそ』


あれ?ちょっとくらい興味持ってくれても良いのに。


『ねーねー、他の子とは遊ばないの?その本の方が面白い?』


孤児で本が読める子は正直かなり少ない。読めるのならば将来は官僚として働ける。


すると、少年は途端に黙ってしまった。そして…


『……いから』


『ん?』


少年は俯きながら、ボソボソと何かを呟く。


『この国の…、喋れ、から…』


『ん〜?』


ごめんね、私耳が遠くて。なんだって?


『この国の、言葉を喋れないんだ!!』


『っ、あはは』


『笑うな!』


『ごめんごめん(笑)』


怒ったように本を閉じた少年はどこかへ行こうとする。


『どこ行くの?』


『…院長の所だよ』


心底言いたくないと言った顔で、でも教えてくれる少年。


『ふーん、ね、今度この国の言語教えてあげるよ』


『!……俺に何させるつもりだ』


『何もさせないよ〜』


『…信じられない』


ずいぶん疑うじゃん。お金取ったりなんかしないのに。


『もちろん。でも代わりに君のことも教えてよね〜』


対価を要求すれば安心するのかしら。


『ふーん、…なら、良いよ』


あ、笑った?気のせいか。


少年は少し警戒を解いてくれた様だった。

レイチェルの怠惰な恋愛模様

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