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桃李「何隠してんだよ」
ないこ「別に、何も隠してなんかないよ」
言う必要が無いだけだから。桃李が気にする様な事じゃないから。
桃李「言うつもりは無い…か。」
肩を落としている所申し訳ないが、そうなる。
となると、次は探りを入れられる番だろう。さあ、何を聞かれる?
桃李「お前は、俺のなんだ?」
拍子抜け。
身構える必要はなかったのか、素直に答えてもなんら影響無さそうだ。
しかも、何を今さらこんな事…
ないこ「恩人だよ。」
迷わずにそう答えた。そしたら、桃李の眉間のシワが不機嫌そうに深くなった。
何度か口をはくはくと開けては閉じてを繰り返し、意を決した様子で桃李は言った。
桃李「俺の弟は…嫌か、?」
ないこ「ぇ…」
桃李にしては珍しい、弱々しい声だった。
そんな訳ないだろう。
とても光栄な事だと思ってる。それこそ、俺なんかには勿体ないくらいの。
ないこ「なんでそうなるのさ笑、らしくないよ?桃李。」
桃李「じゃあなんで…!!、、」
酷く苦しそうだ。俺のせいだ。どうしよう、どうしてだろう。
ないこ「桃李…?ごめんね…俺なんか気に障る様な事言っちゃったかな、?」
桃李「なんで頼ってくれねぇんだ…」
ないこ「たよる…??」
何を言っている??頼る?俺が?桃李を?
何も困ってなんか居ないのに。既に頼り切りなのに。
三食飯付き住居付き、給料は出るし雨風も凌げる、おまけに暖かい。
恩人に報う為に、他に何が必要なんだ。
桃李「…わかった、わかったよ。」
ないこ「?」
桃李「俺が悪かった。」
!!
許せなかった。
俺が大好きで大切にしてる人が自分をそんな風に言うのが、許せなかった。
ないこ「桃李が悪い所なんて、一つも無い!!!」
思えばこの日、初めて本気で桃李に反抗したのかもしれない。
桃李が笑わないのは嫌だ。笑えないなら俺が悪いんだ。俺が困らせたから、選択肢を間違えたから、絶対そうだ。桃李が悪い事なんてあっちゃいけないんだ。
本気でそう思ってた。
ないこ「俺に生きる希望をくれたし、桃李が困るのは全部俺が我が儘なせいで…!!もっと俺が上手くやって、もっともっと桃李に楽させてあげれば、!」
俺が、もっと俺が、
パチン…ッ
不意に、右頬にピリッとした痛みが走った。
ないこ「は、ぇ、」
ただ、
桃李「お前、一旦黙れ。」
ないこ「とぉり…?」
それよりも、心が傷んだ。
桃李「お前、俺の事なんもわかってないんだな。」
さっきまで話していた人とは思えない、驚く程温度の無い瞳。
それに真っ直ぐ睨まれて、頭が真っ白になって、泣きたい気持ちになる。
なによりその眼、視線は、俺の良く知る物そっくりで。
「あの子、常に笑っていて気味が悪いね。」
「俺の女もアイツに取られたんだ。」
「愛してるって、言ってくれたじゃない!!!」
やっぱりアイツ/あの子/彼、
『感情が無いんだわ。』
ないこ「ちが、ごめ、とおり…」
慣れてた筈なのに、稀有な物を見る眼も、嫉妬も、愛憎も、嫌悪も、
それが向けられるのが桃李になるだけで、こんなにも、
桃李「ーーー~、、」
こんなにも苦しい!!
桃李が何か言っている。何だろう。罵倒かな。俺の事嫌いになっちゃったかな。しょうがないよね。面倒臭いもん。
でも、
でもなぁ…!!
ないこ「ぁ、ぅ、ぐすっ、ごえ、らさぃ…きらわなぃで…とぉりぃ。」
悲しみが溢れて止まらない。
嫌なのに、桃李にみっともないと思われたくないのに。
捨てられたくないのに。
ーーーーー
パチン…ッ
桃李「お前、一旦黙れ。…ッ、!」
やってしまった。
つい衝動に任せてしまった。
こんな筈じゃなかったのに、こんな眼を向けたかった訳じゃないのに。
傷付けられた当の本人は俯いて喋らない。電池の切れた人形みたいだ。
桃李「ないこ、ないこごめんな、??こんな事したかった訳じゃ…」
ないこ「や、ぅ、…ぁ、、」
…?震え、、?
ないこ「ひっ、ぅ、…ごめんな、さぃ、、やだ…きらぃにならないで…」
しゃがみこんで視線を合わせるも、明らかに様子がおかしい。
大粒の涙をポロポロと流して苦しそうに泣いている。
ないこ「かひゅっ、…っぃ、とぅりぃ、、ッヒュッ、」
桃李「…ないこ、?、ッないこっ!!!」
ッバカッ!!コイツ過呼吸起こして…っ!!
桃李「悠佑!!!悠佑来いッッッ!!!」
医療に詳しい悠佑を呼ぶ。この時間は寝ていただろう。申し訳ないと思うが今はなりふり構ってられない。
ドタドタ…
バンッッッ!!!
悠佑「どうした桃李!?お前がそんな怒鳴るなんて…っ」
状況を一瞬で理解したらしい、流石はプロフェッショナルだ。
桃李「ないこ、ないこ落ち着け、だいじょぶだ。兄様ここに居るぞ、ごめん、ごめんなぁ、、」
ひゅーひゅーと荒い呼吸音を繰り出すないこを強く抱き締める。
桃李「ごめん、ごめん…っ!」
コイツにだって色々あるだろうに、手を出して、あんな目で見つめて、なにが「居場所になる」だ。なにより俺は、アイツにとってあの目が、トラウマって事、わかってたのに…!!
嫌われても、しょうがねぇよなぁ…
ないこ「ぁ、ッ、ぅ、とおりぃ…ッ゛ひっぐ、」
お願いだから嫌いにならないでッ…
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