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まだ幼さの残った、私よりずっと小さな背。
りんごのように艶やかで華のある美しい顔。
風にあたってなびく、細く鮮やかな髪。
そんな貴方は私に林檎をひとつ渡してくれた。
そして、
そんな貴方に私は初めて”恋”というものをした。
「何ぼーっとしとるん?また新しいおもちゃのこと考えとるん?社長ってやっぱ大変なんやね。」
なんてぶつくさ言いながら木と木のトンネルをスキップしながら進む不破さん。
彼はこの街で一番繁盛しているお茶屋の次男坊である。
「隼人さん」
私の少し先で止まった彼はクルンと振り向き私の名前を読んだ。
「なぜこんな林檎畑にこんなに細くて荒々しい道があるのでしょうね」
だなんてウキウキで聞いてくる彼にこちらも口角を少し緩めてしまう。そんな事、答えはわかりきっているくせに。でも期待しているその顔が愛おしくて、守ろりたくなってしまう私は彼に近づき口ずけをする。呆気を取られてているのをよそに風に揺れる鮮やかな髪を耳にかける。
「きっと、恋をした若者が、毎日ここを通ったのですよ」