テラーノベル
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「ここから先は通さない。」
戦闘科の生徒が、得点プレートを背にして立っていた。
天城は思わず息を呑む。
(強い……。)
さっきまで戦っていた相手とは明らかに違う。
立っているだけなのに、近づきにくい。
黒崎が前へ出る。
「俺が相手をする。」
「無理するなよ。」
「お前こそな。」
黒崎が《剛腕》を発動。
地面を踏み砕く勢いで突っ込む。
「はあっ!」
拳が振り抜かれる。
しかし――
「遅い。」
戦闘科の生徒がかわす。
「なっ……!」
黒崎が吹き飛ばされる。
「黒崎!」
「来るな!」
すぐに立ち上がる。
「まだだ。」
再び突っ込む。
だが、今度も防がれる。
「くっ……!」
天城は拳を握る。
(正面からじゃ勝てない。)
玲奈が小声で言う。
「どうする?」
「……考える。」
「珍しいじゃん。」
「うるさい!」
天城は周囲を見る。
壁。
木箱。
得点プレート。
雪。
そして、戦闘科の生徒。
(あの人は強い。)
(だったら、強さを使わせなければいい。)
「御影!」
「分かってる。」
御影が影へ消える。
「《影移動》。」
背後へ回る。
しかし。
「そこだ。」
戦闘科の生徒が振り返る。
「読まれてる!?」
御影が攻撃を避ける。
「……こいつ、強い。」
玲奈が重力をかける。
「《重圧》!」
相手の身体が沈む。
「今!」
天城が走る。
しかし、相手は地面を蹴って玲奈の重力から抜け出した。
「嘘でしょ!?」
白峰が雪を広げる。
「……止まって。」
足元が凍る。
だが、相手は無理やり踏み抜いた。
「こいつ……!」
C組全員が押されていた。
残り時間――二分。
モニターを見る。
C組は現在二位。
一位との差は大きい。
「このままだと負ける。」
天城は焦る。
(どうすれば……。)
その時、黒崎が言った。
「天城。」
「?」
「お前が考えろ。」
「俺たちが時間を稼ぐ。」
黒崎、御影、玲奈、白峰が前へ出る。
「でも……!」
「勝ちたいんだろ。」
天城は歯を食いしばった。
「……うん。」
もう一度、フィールドを見る。
相手は強い。
だからこそ。
「強い人ほど……。」
天城が呟く。
「一つのことに集中する。」
戦闘科の生徒は、目の前のC組を倒すことに集中している。
なら――。
「玲奈!」
「なに?」
「一瞬だけ、あの人の重力を軽くできる?」
「……できるけど。」
「やって!」
「分かった!」
玲奈が能力を使う。
相手の身体が一瞬だけ軽くなる。
「何を――」
その瞬間。
白峰が足元を凍らせた。
「……今。」
ツルッ。
「なっ!?」
身体が大きく傾く。
そこへ黒崎が突っ込む。
「悪いな!」
《剛腕》。
ドンッ!
相手は倒れない。
だが、一歩下がった。
その一歩。
天城が待っていた。
「そこだ!」
《電光石火》。
20%。
脚へ電気を流す。
一気に横を抜ける。
「しまった!」
天城は得点プレートへ手を伸ばす。
――届かない。
あと数センチ。
「くっ!」
背後から相手が迫る。
(間に合わない!)
その瞬間。
御影が影から現れる。
「天城。」
「!」
御影が天城の背中を押した。
「行け。」
天城が前へ飛ぶ。
指先がプレートに触れる。
「取った!」
『残り10秒!』
「まだだ!」
天城は走る。
得点プレートを持ったままゴールへ向かう。
後ろから戦闘科が追ってくる。
速い。
どんどん距離が縮まる。
(20%……。)
(使う!)
《電光石火》。
身体に電気が流れる。
だが脚が痛む。
「っ……!」
それでも走る。
「負けるな!」
黒崎の声。
「行け!」
玲奈の声。
「……あと少し。」
白峰の声。
「走れ!」
御影の声。
残り三秒。
二秒。
一秒。
天城がゴールラインへ飛び込む。
『終了――!!』
天城はその場に倒れ込んだ。
「はぁ……はぁ……。」
大型モニターに結果が表示される。
一位――C組。
二位――戦闘科。
わずかな差だった。
「……勝った?」
誰も答えない。
もう一度、結果が表示される。
C組――優勝。
「……勝った。」
天城の顔に、ゆっくり笑顔が浮かぶ。
「僕たち……勝ったんだ。」
黒崎が手を差し出す。
「そうだ。」
天城はその手を掴んで立ち上がる。
身体はボロボロ。
20%の反動も残っている。
それでも。
今までとは違った。
「強い相手にも……勝てた。」
天城は自分の拳を見る。
まだ20%。
まだ限界は低い。
それでも――
「今の自分でも、勝てる。」
その感覚だけは、確かに残った。
それは天城にとって、これまでにない大きな自信になった。
コメント
1件
熱い展開でしたね…! 個人的な戦いからチーム全体で挑む連携戦に変わって、読んでいてすごく引き込まれました。特に黒崎くんが「お前が考えろ」と天城くんを信じて時間を稼ぐシーン、そして御影くんが影から現れて背中を押す場面にグッときました。一人ひとりの能力を活かした連携の積み重ねが、最後のギリギリの勝利につながったんですね。天城くんが「今の自分でも勝てる」と確信するラスト、とても素敵でした✨
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