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どうも、嵐です。
書いたので見てください!!!!!!!!!!!!!
「……え?」
駅の改札を抜けた瞬間、声がして、足が止まった。
その声が、空気の中で、五年前と同じ響きをしていたから。
「やっぱり、そうだよな。…佐倉だ。」
私はゆっくりと顔を上げた。
そこには、傘を肩に引っかけたまま、少し照れくさそうに笑っている人がいた。
「…西嶋くん。」
「久しぶり。」
「…うん。久しぶり。」
言葉が喉の奥でつかえる。話したいことは山ほどあるのに、うまく形になってくれない。
私は視線を落としたまま、ぎゅっとトートバッグの持ち手を握った。
「東京、戻ってきてたんだ?」
「一週間前に。」
「そっか。変わってないね、佐倉。」
「……そうかな。」
「うん、そう思った。立ち止まるとき、まだ左足から止まるとことか。」
私の癖なんて、そんなの覚えてるの、やめてほしい。
でも、胸の奥で何かがふわっと緩んで、懐かしい痛みと一緒に浮かんできた。
「西嶋くんは、変わった?」
「どうだろう。髪切ったくらいかな。」
「そうだね……ちょっと大人っぽくなったかも。」
「うわ、それちょっと嬉しいかも。」
彼は笑った。前よりも、少し低くて落ち着いた声で。
私の心臓が、久しぶりに“恋”を思い出したみたいに、ひとつ跳ねた。
「ねえ、時間ある?…少しだけ、話さない?」
その言葉は、優しかった。
そして私は、たぶんずっと、こういう日を待っていたのかもしれない。
「……うん。」