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数日後、二人の記事は諸事情により掲載を中止することにしたと、事務所を通して正式に連絡があった。 具体的な理由は明かされなかったが、最後に突きつけたあの「決定打」が、犬飼の喉元を深く抉ったのだろう。
「俺、もう駄目かもって思っちゃったよ。いっそ記事が出る前に公表した方がいいんじゃないかって、色々考えてさ……」
ようやく謹慎が解け、蓮は数日ぶりに自宅へとナギを招き入れた。 ソファに座るナギの隣に腰掛け、蓮はその細い肩を引き寄せて顔を覗き込む。
「それは駄目だって言っただろう? 悪手でしかないよ。僕はナギを好奇の目に晒すのは嫌だ」
「お兄さん……」
「沢山不安にさせてしまったけど、もう大丈夫だから。……ただ、やっぱり前みたいにはいかないのが、少し寂しいけどね」
ナギの旋毛(つむじ)に軽く口付け、蓮は甘えるように自分の体重を預けた。
「それはもう、仕方ないよ。俺たちみたいな職業は、大勢の人に夢を見せてあげなきゃいけない。プライベートは隠しておかないとダメなんだなって、今回のことで身に染みて感じたよ。……でも、その分、二人っきりの時は思う存分甘やかしてくれるんでしょ?」
ナギが蓮の手を取り、その掌に唇を落としながら上目遣いで微笑む。その蠱惑(こわく)的な仕草に眩暈を覚えると同時に、猛烈な愛おしさが込み上げてきた。
「当然だろう」
ナギをぎゅっと抱き締め頬を撫でると、彼は猫のように気持ちよさそうに目を細めて手にすり寄ってくる。
「あ……明日から撮影再開だって言ってたから、ほどほどにしてよ?」
チュ、チュと降るような口付けを落としながら、蓮がゆっくりとナギをソファに押し倒すと、彼は少し焦ったように声を上げた。
「うーん、それはちょっと約束できないかなぁ」
「え!?」
「冗談だよ。流石にセーブするって」
「……お兄さんが言うと、イマイチ信用できないんだよなぁ」
困ったように笑いながらも、ナギの腕が蓮の背中に回り、二人の距離は一気にゼロになる。
「酷くない? それ」
「だって、お兄さんは人一倍、その……欲が強いし」
「それは否定できないけど。……ナギが可愛いのが悪いんだよ」
「お兄さんのスイッチが入るポイントがよくわからな……っ」
唇を尖らせて抗議するナギを、深いキスで黙らせる。たった数日離れていただけなのに、この感触が狂おしいほど懐かしい。
「ん、ン……」
ゆっくりと口内へ侵入し、舌を絡め取る。お互いの存在を確かめ合うように隅々まで貪り、隙間なく唇を合わせた。 唇を離すと、二人の間を繋いでいた銀色の糸がプツリと切れる。蓮はそれを名残惜しく思いながら、ナギの白い首筋に顔を埋めた。
「お兄さん、くすぐったい……」
「ふふ、ごめんね。でも、嫌じゃないだろう?」
耳元で囁きながら指先で首筋を辿ると、ナギが身を震わせる。そのまま部屋着の隙間から手を差し入れ、滑らかな肌の感触を楽しみながら焦らすように指を動かせば、ナギの身体はびくんびくんと跳ねた。
「ふ……ん、耳もとで喋るの……禁止」
「なんで?」
「なんでって……っ」
蓮が顔を覗き込むと、ナギは真っ赤になって顔を逸らした。言葉を探して口をモゴモゴさせる姿が愛らしくて、蓮の加虐心が頭をもたげる。 「ねぇ、なんで?」 耳たぶを食み、息を吹き込むように囁くと、ナギは耐えるように唇を噛んだ。
「ッ……だから、そこで喋らないでってば」
「どうして?」
「ン……ッ、変な声出ちゃうから……」
「もう何回も聞いてるだろ」
「それでも恥ずかしいものは恥ずかしいんだよ!」
逃げようとする身体をソファに押し付け、覆い被さる。焦らされたせいか涙目になりながらも必死に耐えようとする姿は、蓮の欲情を煽るばかりだ。
「可愛い……」
「男に可愛いって言われても、嬉しくないし」
「そう? でも、僕はいつも本気でそう思ってるよ」
「っ……あッ」
掌を臍(へそ)から脇腹へと滑らせ、内側の敏感な部分を掠める。ナギの口から色っぽい吐息が漏れ、身体をくねらせる姿にさらに興奮が加速した。
「も……意地悪しないでよ……っ」
耳朶を執拗に嬲(なぶ)りながら、首筋から鎖骨の窪みへと唇を這わせる。そして、心臓の鼓動がダイレクトに伝わる胸の中心を口に含んだ。
「ひ、ぁン……っ」
じわじわと広がる快楽に、ナギの身体が弓なりに悶える。小さな果実をねっとりと舐め上げ、時折吸い上げるたびに、ナギは頭を左右に振って翻弄された。 既に快感を知り尽くしたその身体は、僅かな刺激も敏感に拾い上げ、熱を求めて内腿をすり合わせる。
「お、にいさ……もぅ……いい、から……」
「ん……?」
「ッ、そういうんじゃなくて……あっ、もっと、ちゃんと……触って欲し……」
潤んだ瞳で縋り付いてくるナギ。ねだるように揺れる腰を感じ、蓮は満足げに目を細めた。
「はは、エッチだね。欲しくて堪らないって顔、ゾクゾクするよ」
胸を弄っていた手が下腹部へ下り、服の上から熱を帯びた一点に触れる。
「凄いね。ここ……触ってないのに、もうこんなに湿ってる」
「ぁ、ン……だって、お兄さんが……っ」
「それで、こんな風になっちゃったんだ? ナギは本当、いやらしいな」
「ひっ、や……っ、そんな強く……っ」
耳元で意地悪く囁きながら、ズボンの中に直接手を滑り込ませる。逃げ場のない窮屈な布地の中で、蓮の掌に完全に包み込まれたナギは、快楽を逃がす術を奪われたまま、ただ淫靡な嬌声を上げ続けるしかなかった。