涼ちゃんの過去です。
俺はゲイだ。物心ついた頃から性の対象は男だった。
最初に気がついたのはいつだっただろう。中学2年の時に部活の仲の良かった男の先輩に好きだと告白されキスをされた。その時全く嫌悪感のない自分に気がついた。そしてその先輩と交際する事になり、そして自分がいわゆる下の方で快感を感じるのだと知った。
自分から公言した事はないのだかなぜか俺は相手に不自由する事なく、いつも勝手に向こうから寄ってくる感じだった。
ただ高校を卒業して長野から東京のタレントスクールに通うようになり、時間もお金もなくしばらく誰もいない状態が続いていた。
必死にお金を貯めてやっと東京に出て一人暮らしをし、さぁ音楽に打ち込むぞと思っていた矢先に1人の少年に声をかけられた。
高校生くらいだろうか。彼は突然話しかけてきた。
「すみません。あの、ピアノやられるんですか?」
それはタレントスクールの廊下だった。
誰だろう?ここの生徒かな?そう思いながらきちんと答える。
「えっ、専門はフルートだけどピアノももちろん弾けるよ」
「よかった。あの、俺今バンドやっててキーボードを担当してくれる人を探してるんです」
バンド…キーボードを探してる。わけがわからなくて不審そうな顔をしてしまう。
「俺のバンドにキーボードとして入ってくれませんか?俺、本気でバンド活動してるんです」
少年はまっすぐ俺の顔を見て言う。
「他のメンバーはもう決まっていて…お願いします!俺とバンド組んだら99%デビューできるから!普通なら見れない大きな景色を見せるって約束します」
99%デビューできるなんて、その自信はどこからくるんだ?
初めて会った少年をまじまじと見つめてしまう。
背は少し低めで痩せ型、といってもまだ成長期だろう。顔はかわいらしくその目はキラキラと輝いていた。
なんだろう、突然こんなところで初対面の名前も知らない男をバンドに誘う少年。はっきり言って変なヤツだ。
でも…。
「いいよ」
なぜか俺はそう答えていた。
タレントスクールに通うくらいだから確かにバンド活動には憧れているし幼少からピアノはやっていたがキーボードなど触った事もない。
この時何を考えてそう答えたのかはいまだに自分でも謎のままだ。ただ、その少年のキラキラ輝く瞳を見ているとなんだかワクワクする気持ちになったのを覚えている。
「ホント?よかった。俺、大森元貴っていうんだ。元貴って呼んでね。あなたはなんて名前?」
そう。俺たちはお互いに名乗ってすらいなかったのだ。なんだかおかしくなって笑ってしまう。
「俺の名前は藤澤涼架だよ」
「ふじさわりょうか…じゃあ涼ちゃんって読んでいい?」
「いいよ」
「やったー」
そう言って喜んでいる元貴にやっぱり笑いが込み上げてしまう。
やっぱり変なヤツ。
でも…彼についていけば何かおもしろい事が待っているような、そんな予感がした。
そうやって軽いノリで俺のミセスの活動はスタートした。
最初の涼ちゃんの過去はともかく、後半は定番の流れですね。
これは本当の事実らしいけど、こうやって書いていてもこんな誘い方をするもっくんも変なヤツだし、それにOKを出す涼ちゃんも変なヤツだよなぁ。
まぁ運命の出会いってこんなものなのかな?w
コメント
2件
回想スタイルですね✨ 始まったーって感じです⤴️