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21 ◇許しません
「許しません、絶対。ご自分たちで……大勢人の手はあるのですから
互いに協力しあえばいいのです。
どうして今更打ち捨てた私になど縋ろうとするのでしょうか。
私には家族など、手助けしてあげたいと思える家族など
誰ひとりとしておりません。
私はあの日、世界の中でたった1人にされたのですよ。
あの時の痛み苦しみがあなたには分からないのでしょうけど。
それと言う相手を間違えています、あの時も今も。
あの時、追い出すべき人間は凛子で、今の家事手伝いの件も凛子に
言うべき言葉ですよ。
何故あなた方は、何でもかんでも妹の言いなりになり
押し付ける事柄は私に……なのですか。
同じ娘なのに、どうしてこうも酷い差をつけることができるのか
本当に不思議でしようがないわ。
凛子が今も反抗しておそらく家の中のことをしないのでしょうけど、
それはお父さんやお母さんが甘やかし続けてきたことが原因では?」
「分かる、分かってる。私たちもそこは反省してるんだよ。
頼りの凛子がまったく使い物にならんのだよ。遊び歩いていてね」
「それはそちらのご事情ですから、私には関係ございません。
用事がなければ、なければ、私は職場に戻りますので」
「温子、母さんの身体が心配じゃないのかね」
「出て行けと冷たく言い放った母親のことなぞ、知りませんて。
じゃぁ」
「温子ぉ~、なんでそんなに冷たいんだ。それでも実の娘なのか~」
哀れな声を出して叫んでいる父親を背に、話を聞く場所をここにして
正解だったと温子は、自分を褒めてやりたかった。
「それなら聞きたい。私にした仕打ちは実の親がすることなのか」と。