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#溺愛
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「なっ……!!」
窓ガラスの向こうで、フローラは勝利の「ドヤ顔」を完璧にキメた。アレクの額に青筋が走り、レオンは「本気でムカつく顔」をして窓を叩こうとした。
ドォォォォン!!
だが、窓が閉まった瞬間にフローラの魔法が発動した。窓一面に、デカデカと『入室禁止(※不審者お断り)』という魔法文字が、ピンク色の毒々しい蔓を用いて掲げられた。
***
「まったく……。怖かったわね、フローラ。まさかあの二人が、あんな変態だったなんて……」
私は、震えるフローラの肩を優しく抱き寄せ、その頭を撫でた。
「はいぃ……。ビビお姉さまが守ってくれなかったらと思うと、私、怖くて、怖くて……」
その肩口で、こっそりと「ニヤリ」と邪悪に笑うフローラの顔に、バイオレッタは最後まで気づかなかった。
***
魔法学院の廊下。 昨夜の「女子寮侵入未遂事件」から一夜明け、学院内はどこか落ち着かない空気に包まれていた。
理由は二つ。
一つは、昨夜の「不審者騒動」の噂が広まっていたこと。
そしてもう一つは……。
「お姉さま! 昨夜はよく眠れましたか? 私、お姉さまの寝息が心地よくて、とっても幸せでしたっ♡」
私の腕にキラキラオーラ全開のフローラが抱き着いてくる。
(……今、さらっと重いこと言ったような? でも私も朝から天使のように可愛いフローラを見れて最高に幸せよ!)
前方の角から「フローラ曰くのゴミども」が現れ、行く手を阻んだ。
「……待て、昨夜のことは誤解だ」
アレクの頬には昨夜の植物の蔦による生傷が頬に残ったままである。
「やあ……あはは。昨夜は少し、お互いに誤解があったみたいだね?」
レオンもまた鼻の頭が少し赤い。フローラの魔法植物に攻撃されたからだろうか。
ボロボロな姿からは立て直しているものの、纏う空気には隠しきれない「必死さ」と「惨めさ」が漂っていた。
「……おはようございます。何か御用かしら?フローラのための防犯ブザーなら、私もう持っていますわよ?」
私が冷たく言い放つと、アレクが顔を歪めた。
「……あれはお前の身を案じてのことで……」
「そうそう。あの特待生ちゃんが、君に何か良くないことをするんじゃないか、ちょっと心配になっただけじゃん――」
「――ピッ、ピィィィィィィッ!!」
鋭い高音が鳴り響き、私と二人の間に、植物の蔓によるシールドが張られた。フローラがお手製の「魔法植物ブザー」を鳴らし、シールドを張ったのだ。
「朝から堂々と待ち伏せするなんてっ!!」
フローラが私の前に立ちはだかり、男二人をゴミを見るような目で見上げた。
「……私、今確信しましたわ」
私は冷徹な目で二人を見据えた。
「朝から天使みたいにかわいいフローラを拝みたかったのは(推しとして)気持ちがわからないこともないけど、やり方ってものがあるでしょう」
私は大きなため息をついた。
「フローラ、さあ、一緒に授業に行きましょう?」
「はい、お姉さま♡」
私は二人を無視して、颯爽と歩き出した。
***
すれ違う瞬間。
フローラがアレクとレオンに向けて、口だけで声を出さずにこう言った。
(口の動き:『 ざ ・ ま ・ あ ・ み ・ ろ』)
アレクの拳が怒りで震え、レオンの完璧な王子様スマイルが崩壊した。
「……あの女……絶対に、許さん……っ!」
「あはは、面白いねえ。……本気で叩き潰したくなっちゃったよ……」
二人の男の背後からは噴火しそうなほどの漆黒と黄金のオーラが渦巻いていた。
***
お昼休み。学院の中庭には、フローラが魔法植物を編んで作った、まるでおとぎ話のような「特等席」が用意されていた。
「お姉さま、こちらへ。一番日当たりがいい場所を確保しておきましたっ」
「ありがとう、フローラ。とっても素敵ね」
芝生の上には、テーブルと2脚のチェア。私とフローラは向かい合って座った。
目の前には、私たちが交換したお互いの手作りお弁当。
私のお弁当は、前世の社畜時代の時短テクで作った――卵焼きとハンバーグが主役の、どこにでもある普通のお弁当。
対するフローラのは、虹色に光るレタスみたいな葉、クリスタルの花びら、銀色のエビみたいな実まで入った、 『宝石盛り合わせ』だ。
「……お姉様のお弁当、とってもかわいいですっ。この茶色い生き物は、お姉様の使い魔ですか?」
(使い魔!? 違うわよ。ただのハンバーグくっつけてチーズでデコったクマさんよ!)
「これ、全部食べられるのかしら?」
「もちろんです。私、お姉様の健康を想って、今朝精霊たちと一緒に森で摘んできましたっ♡」
(……精霊が収穫した食材? もはやお弁当の概念を超えてるわね!)
ゴゴゴゴゴ……!!
突如、背後から、大気を震わせるような重圧が押し寄せた。
(……なに、この圧──?)
ゆっくりと振り返る。そこに立っていたのは──