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「ゔぅん……」
重い……重い何かがお腹の上に乗っている…
「ハァッ」
目を見開いて起き上がる。
腹の上に乗っていたのはこんのすけだった。だらしなく無防備に腹を出して寝ていたので仕返しとしてくすぐってやった
「主さまぁぁおやめくださいンフおやめ…ンフフフフグフ」
「参ったかーー!!」
くすぐって満足したので離してやったのだがやり過ぎたのかヒィヒィと言いながらぐったりしている。人の腹を寝床にするのが悪いのだ。
そんなこんのすけを置いて厨に向かう
燭台切が朝ご飯にと作ってくれたご飯を冷蔵庫から取り出しこんのすけを呼ぶ
「飯ですよこんのすけーー!!!」
あいにくこの厨にはレンジが無いので冷たいままだが美味いんだ。冷えてても美味い飯、というか冷えていても美味しく食べれるものを作ってくれたのだろう。どこまで気の利く男…いや刀なんだろうか。
朝ごはんもいただいて一日の活力を補充したらまた外に探索に行こうと玄関からこそこそと出ていく
今日はゲート方面ではなく反対の庭っぽい所
視線は感じないし大丈夫かと思っていたその時
…何かこちらに走ってきている。猫だろうか…白くて可愛い
そう思っていたらいつの間にかすぐ側まできていて思いっきり飛び付いてきた
「グエッ」
思わず変な声が出る。なんだか知っているこの感覚。昨日こんのすけが飛び込んで来た時の感覚と似ている。
でもこんのすけほど重くない。そして何よりもふもふ!!!
あまりにも可愛いので撫で回していると
「あ、あの!!虎くんに触らないで…」
虎とはこの子達のことだろうか
「あ、ごめんなさい…可愛くてつい」
目の前の子は子供だろうか、髪の毛が白くてクルクルしている。儚げショタ…ヴゥン
そんな事は吹っ飛ばしてよくよく彼と虎を見るとどちらも血の塊や血しぶきを被ったような後がありごくりと息を呑んだ
手入れしてあげたい。
「あ、あのその血…」
「ち、近づかないで…ください…」
そう言われると流石にmyハートにヒビが入りそうだ
凄く震え上がってて何もしてないのに物凄く申し訳ない。
そう思っている間に虎さんと一緒に儚げショタ君は母屋に逃げ帰ってしまった…
結局あの後歩き回るのも危険かもしれないと思い離れに帰った
その日の夜縁側でゆっくりとしていると外の方からガサガサと音が聞こえてきた。
何事かとこんのすけと構えていたけどそこに居たのは午前中にあった虎さんだった
相変わらず身体中に血が付いており痛々しい。拭くくらいは…良いだろうか…と手を差し伸べようとした時
「虎くん…!!!」
ガサガサと音を立てながら中に入ってきたのはあの儚げショタ君
「あ……」
「あー……」
バッチリ目が合って気まずい。
「す、すみません!!!」
涙目になりながら何度もペコペコと頭を下げる彼を見て流石に耐えきれず
「あの!!お、お茶でも飲んでいかない!?」
何を言ってるんだ私は
「へ…?」
ほれみろ困惑しまくってるじゃねーか
「あ、あはは……そこ座って待っててくれるかな…?」
「あ…は、はい…」
急ぎ足で茶をコップに注ぎ持っていく
「どうぞ、お口に合うかな?」
燭台切が選んでくれたので美味しくはあるはずなのだがどうだろうか
「お、美味しいです!」
やっだ天使ここに天使がいるわ皆その笑顔に100億満点だよ泣ける
「良かった」
「そうだ、午前の事ごめんね。貴方の虎さんを触ってしまって」
「い、いえ…気にしないで下さい」
「お詫びとしてこの飴受け取ってくれないかな」
「飴…ですか?」
そうまたまた登場べっこう飴さんである
少しでも警戒を解くため、お詫びとして差し出してみたのだが、
「……」
色んな角度からチラチラと見たり嗅いだり
「毒が心配なら私が先に食べて毒味しようか」
そう言ってもう1つ取り出して紙包みを取り口に入れてみせる
「美味しいよ」
大丈夫だと認識したのかゆっくり口に運んでいく。
パクッと口に入れた瞬間不安そうにしていた顔が驚くような表情に変わった
あのワンコ(みたいな)お兄さんと同じ反応してて可愛い
「甘くて美味しいです…!!」
気が抜けたのかへにゃっと笑う顔はあまりにも素晴らしくて心の中でヤ○チャのようになってしまった。尊い
「そうだ、貴方お名前は?」
「な、名前ですか?」
「そうそう」
「僕の名前は五虎退…です…」
「五虎退さん…よろしくね」
「は、はい。よろしくお願いします」
きゃわ…きゃわわぁ……
もう私の語彙力は壊滅状態である
「あ、忘れてた」
「?何でしょうか」
「あの…手入れとかって…しても良いかな」
拒否られたらどうしよう。この状態を見過ごすなんて私の良心がバッキバキになってしまう
「良いんですか…?」
「も、もちろん!!受けてくれるの?」
「は、はい」
よかったぁーーーーー!!!やったー!!!!!
心の中はお祭り状態である
「あ、あの手入れするのは良いんですが、母屋の方を使用するんですか?」
「いや、手入れ部屋ならここにあるんですよ」
「えっ」
そう、この離れには手入れ部屋を増築しているので母屋には行かなくていいのだ
「ささっおいで、綺麗にしちゃおう?」
ちょいちょいと手を動かすと大人しく部屋に来てくれた
こんのすけも静かに後ろを着いてきている
「そういや、直接手入れするのはこれが初めてかも」
1回目は気絶している間に式神さん達が燭台切を手入れしたので私は具体的には内容を知らない
「痛かったらごめんね」
そう言いながら打ち粉を使い優しくポンポンと手入れしていく。幸い怪我は少なく軽傷程度ですぐ手入れは終わった
「わ、わざわざお茶に手入れありがとうございました…!」
「いえいえ、気にしないで」
あまり長居しない方がいいのか手入れが終わったばかりなのに彼は「本当にありがとうございました」と言いながら母屋の方へと走っていった
私も疲れたし寝るか…といつも通り敷いて布団に潜る。なぜか今日もこんのすけが顔面に飛んできたので捕まえて抱き枕にしてやった
「五虎退。傷はどうしたんだ」
しまった。見つかってしまった。
「や、薬研兄さん…え…と…離れにいるあの人に…治してもらって…」
「へぇ?」
「か、勝手にごめんなさい…虎くんも怪我してたから」
「何もされなかったのか」
「う、うん…手入れとお茶を貰っただけだよ」
「……」
確実に怒っている
「……みるか」
「え…」
そう何か小さい声で呟いたあと薬研兄さんはスタスタと部屋に戻ってしまった
何事もなければいいけど…