テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
第21章
神なき世界の朝
第161話:奇跡のない朝
朝は、
何事もなかったように来た。
鐘は鳴らない。
光も降りない。
それでも――
人は、起きる。
パンを焼き、
水を汲み、
仕事へ向かう。
「……神様、
いなくなったんだよな」
誰かが呟き、
誰も答えなかった。
第162話:不便という現実
治癒院。
昨日なら助かった傷が、
今日は助からない。
医師が、
歯を噛みしめる。
「……奇跡が、
無い」
それは、
残酷だ。
だが同時に――
現実だった。
第163話:責任の行き先
管理局。
カシムは、
書類の山を見つめる。
「神の判断が、
無くなった分――」
側近が言う。
「我々が、
決めるしかありません」
カシムは、
深く息を吐いた。
「……逃げ場が、
無くなったな」
第164話:英雄にしないという決断
街角。
子どもが、
健を指差す。
「あの人、
神を倒したんでしょ?」
健は、
首を振る。
「倒してない」
「降ろしただけ」
「……?」
「難しいだろ?」
子どもは、
考え込んだ。
それでいい。
第165話:レオンの再出発
訓練場。
レオンは、
剣を振る。
「俺は、
壊す役でいい」
健が言う。
「それでも?」
「それでもだ」
剣が、
風を裂く。
「誰かが、
守るなら」
「誰かは、
汚れる」
それが、
彼の答えだった。
第166話:観測者の距離
エリナは、
遠くから街を見る。
「介入、
不要」
「だが――」
視線を落とす。
「観測は、
続く」
世界は、
まだ不安定だ。
だがそれは、
生きている証だった。
第167話:健の居場所
健は、
河川敷に座る。
懐かしい感覚。
肉まんは、
ない。
スマホも、
圏外。
それでも――
空は、同じだ。
「……普通って、
こんなだったな」
第168話:問いは終わらない
夜。
小さな集まり。
誰かが言う。
「正解は、
何だったんだ?」
健は、
答えない。
「分からない」
「だから――」
一人一人を見る。
「次は、
自分で決めろ」
第169話:監査官の記録
観測層。
ノクスが、
記録を閉じる。
《事象:
国家神機構停止》
《結果:
文明存続》
「……人間は、
非効率だ」
一拍。
「だが――
存外、しぶとい」
第170話:続いていく世界
翌朝。
街は、
少しだけ騒がしい。
意見が、
ぶつかる。
怒鳴り声。
笑い声。
健は、
その中を歩く。
英雄でも、
神でもない。
ただの人間として。
世界は――
続いていく。
第21章・了
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!