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フォロー失礼します!
ちょこれーと味のキッスとか最高ですね(♥ω♥*)
桃 『はあ…あっつ…』
こんな暑い日に学校なんて来させんなよ…
頭おかしいんじゃねえの…
桃 『赤〜』
赤 『なに〜?』
幼なじみの赤とは同じクラス。
同じだと知った時は、そんな偶然あるんだな、と二人で笑った。
桃 『今日ちょっと遅くなるわ〜』
赤 『なんで〜?』
桃 『スマホバレて呼び出しくらった』
赤 『バカなの?』
桃 『あんなんバレると思わんやん』
赤 『知らないよ』
桃 『とりあえずそういうことだから』
赤 『じゃあ一緒に帰れないの〜?』
桃 『先帰ってて』
赤 『え〜…』
寂しそうにそう呟く赤。
俺以外の友達はおらんのか。
桃 『…ほら』
赤 『え…?』
桃 『こんな暑いんだからこれでアイスでも買えよ』
赤 『いや、自分で買うよ』
桃 『いいから、はい』
ぎゅっと握っている赤の手を無理やり開き、金をねじ込む。
赤 『あ、ありがとう…』
桃 『まあ俺の分も買ってくれて良いけど』
赤 『お前自分で買うのめんどいだけだろ』
桃 『バレた?笑』
赤 『バレるもなにもお前と何年いると思ってんだ!』
桃 『ふはっw』
桃 『じゃ、頼んだぜ〜』
赤 『おい!』
桃 『ちょっくら行ってきますわ〜』
赤 『少しは反省しろ』
桃 『へいへ〜い』
「聞いてんのか!」などと叫ぶ赤を無視し、俺は職員室へと向かった。
赤 『はあ…』
なんだよ、あいつ。
せっかく二人で帰ろうと思ったのに。
てかスマホバレんの何回目だよ。
赤 『帰るかあ…』
そんな独り言を呟きながら重いリュックを持ち、俺は教室を出た。
赤 『あっつ…』
ジリジリと焼けるような暑さに翻弄されながら家路に着く。
コンビニは帰る途中にあるので、そこで一度涼もう、などと一人計画を立てつつふらふらと歩いていると、「赤く〜ん」とどこからか俺を呼ぶ声が聞こえた。
赤 『…?』
青 『こっちこっち!』
赤 『青ちゃん!』
青 『あれ?今日は彼氏いないんだ』
赤 『だから彼氏じゃないって』
高校からの友達の青ちゃん。
一年生の時に同じクラスになって、今も仲良くしてるんだけど、ずっと俺と桃くんの関係をカップルだっていじってくる。
だいぶしつこい。
青 『彼氏じゃないのか〜…』
残念そうに呟く青ちゃんは放っておいて、「どうしてここにいるの?」と話題を変える。
青 『帰り道がこっちだから』
赤 『ああ、そうなんだ』
青 『興味なさそうにするな』
青 『あと一緒に帰ったことあるだろ』
赤 『あったっけ』
青 『ふざけんな』
普段は桃くんにいじられることが多いけど、青ちゃんといるといじる側になれて少し嬉しい。
青 『てかもうこんなとこまで来ちゃったんだ…』
赤 『なんかあった?』
青 『僕はあそこからバスに乗るの』
赤 『結構家遠いんだね』
青 『うん…あ、時間やべ!』
青 『行くわ!またね!』
赤 『ああ、またね!』
元気いっぱいに手を振りながら走っていく青ちゃんを見送る。
赤 『あっちぃな〜』
汗ばむ額をハンカチで押さえ、俺はまた歩き出した。
桃 『ああ…疲れた…』
意外と早く終わったな…
待っててもらえば良かったかな…
桃 『ま、いいや』
とりあえず涼しい家に帰りたいので、俺は足早に学校を出た。
赤 『ようやくコンビニだ…』
暑い中20分もかけてここまで歩いてきたからか、思わずそんな言葉が漏れる。
自動で開閉するドアに吸い込まれるように俺は店の中に入った。
赤 『涼し…』
全身が冷房の風で冷やされていく感覚に爽快感を覚える。
あまり長くここにいても不審者に見えそうなので、急いでアイスコーナーに向かおうとすると、誰かに肩を掴まれた。
赤 『ひっ…、!』
桃 『おまたせ』
赤 『なんだぁ…桃くんか…』
赤 『…って、なんでいるの!?』
桃 『声がでけえよw』
赤 『だ、だって…』
桃 『意外と早かった』
赤 『いや、だとしても』
桃 『お前が歩くの遅いんだよw』
赤 『はあ!?』
桃 『ふはっw』
桃 『家帰ろうと思ったらお前がコンビニに吸い込まれていくのを見たからさ』
桃 『来ちゃった』
赤 『来ちゃった、じゃねえよ』
赤 『急に肩叩かれたらびっくりするだろが!』
桃 『ひどいよ!「ひっ…、!」とか言って』
赤 『お前のせいだろ!』
桃 『まあそう怒んなってw』
桃 『アイス買おうぜ〜』
赤 『はあ…』
猫のように自由な彼を見てため息が出る。
嫌いじゃないけど。
桃 『どれ買う?』
赤 『ん〜…これかな…』
赤が選んだのはチョコレートアイス。
一応それを指差してはいるが、まだその指の動きからは迷いが感じられる。
桃 『本当にそれでいいの?笑』
赤 『今これでいいって決めたのに〜…!』
桃 『ふはっw』
赤 『ん〜…』
ショーケースを睨む赤を見て、可愛いだなんて思う自分はおかしいのだろうか。
桃 『…好きなの二つ選んでいいよ』
赤 『でも俺食べきれないよ…?』
桃 『食べたい分だけ食べればいいじゃん』
桃 『あとは俺が食べるから』
赤 『え〜…それは申し訳ないよ』
桃 『俺がいいって言ってんだから良いの』
赤 『でも…』
桃 『でもじゃない』
桃 『どれがいいの?』
赤 『ん〜…これと、これ…』
桃 『了解』
赤が選んだ二つのアイスを手に持ち、足早にレジへと並ぶ。
赤 『俺が払うよ…』
桃 『いやいいよ』
赤 『さっきのお金…』
桃 『さっきの金?…ああ、あれか』
桃 『別にあげるよ』
桃 『今度アイス買う時に使いな?笑』
実際、持っている金は少ないのだが、なぜか赤の前では格好つけたくなってしまう。
赤 『そんなことできないよ…』
桃 『いいから』
赤 『…じゃあ今度なんか奢るね』
桃 『今度なんて来るかなあ…?笑』
赤 『絶対機会を作ってやるからな!』
桃 『わかったわかったw』
そんな言い合いをしながら支払いを済ませ、地獄のように暑い外へと出た。
桃 『暑すぎだろ…』
赤 『溶ける〜…』
桃 『アイスだけに?w』
赤 『は?w』
桃 『ほら、アイス溶けるぞ』
赤 『切り替えはや』
桃 『どっちから食う?』
赤 『ん〜…チョコ』
桃 『ん、はい』
赤 『ありがと!』
たかがチョコレートアイスで目を輝かせる赤。
そんな君は、俺らを照らす太陽よりも、アイスを見つめる目よりも輝いて見えるのは、なぜなのだろうか。
桃 『んじゃ、先こっちも〜らいっ』
赤 『ど〜ぞ』
桃 『…うまっ』
赤 『やっぱバニラだよねぇ』
桃 『バニラやなぁ…』
赤 『早く食べないと溶ける…!』
桃 『わかってるよ笑』
桃 『はい、交換』
赤 『ありがと…//』
ずっと、ずっと考えてた。
俺は、君のことが好きなんじゃないかって。
青ちゃんに茶化されても、悪い気がしていなかったのはそのせいなんじゃないかって。
だけど、あくまで俺たちは幼なじみ。
向こうは俺のことなど好きになるはずがない。
でも…また、気づいてしまった。
やっぱり、好きなんだって。
桃 『うん!チョコも美味いね!』
赤 『そうでしょ…?//』
こんな他愛のない会話でさえ、本当は照れていた。
ずっと、気づかないふりをしていただけ。
気づいてしまったら、苦しくなるとわかっていたから。
桃 『赤』
赤 『ん…?』
桃 『…チュッ』
赤 『…!?//』
その瞬間、俺の全てを、君に奪われた。
ああ。わかってしまった。
なぜ可愛いと思うのか。
なぜ格好つけたくなるのか。
なぜ、君が一番輝いて見えるのか。
全て、わかってしまった。
俺は。
桃 『赤』
赤 『ん…?』
桃 『…チュッ』
赤 『…!?//』
君が好きなんだ。
好きで好きで、仕方なくて。
俺の全部を、君にあげたいくらい。
桃 『…ごめんっ』
謝ってももう遅いかもしれない。
考えなしに動いたことを、俺は後悔した。
赤 『…大丈夫//』
桃 『え…?』
赤 『…嬉しかった//』
さっきまでの後悔を消すように、君の言葉が俺の心を覆う。
桃 『嬉しい…?』
赤 『…うん//』
赤 『…こんなこと言ったら嫌われるかもしれないけど』
赤 『俺…桃くんのこと…』
桃 『俺!赤のこと好き!です…』
赤 『えっ…//』
ああ、やってしまった。
困惑する赤を見て、そう思った。
桃 『…ごめん』
桃 『今のは忘れて…』
赤 『俺も!俺も…桃くんのこと好き…//』
桃 『え…?』
赤 『俺も…ずっと好きでした…//』
桃 『じゃ、じゃあ…』
赤 『コク…//』
赤 『両想い…//』
桃 『…!』
両…想い…。
まさかの答えにこちらが困惑する。
でも、今しかない。
君に想いを伝えるのは。
桃 『…あの』
桃 『俺と、付き合ってください』
赤 『…もちろん//』
桃 『…!』
桃 『ありがとう…!』
桃 『もう…嫌われたかと思ってっ…』
赤 『嫌いになるわけないじゃん…//』
桃 『ありがとう…チュッ』
そっと触れた唇は、ほんのりチョコレートの香りがした。