テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ロワンはこっそりとピーマンだけを皿の端へ寄せ、何事もなかったかのように食事を続ける。
執事はその様子を見て、口元を緩めた。
「坊っちゃま。」
「……なに。」
「おやおや。ピーマンだけ見事に避難させていらっしゃいますね。」
「避難じゃない。」
「失礼いたしました。敵逃亡でございましたか。」
「違う!」
執事は皿を覗き込み、声色を変えた。
『ロワンさまぁ~ぼくを食べてくださ~い! 食べないと悲しくなっちゃいますよぉ~!』
「やめろぉ!」
「ほら、ピーマンも泣いております。」
「泣いてない!」
『ロワンさまに嫌われちゃったぁ……』
「だからしゃべらないって!」
執事は肩を震わせながら笑う。
「坊っちゃまは、ピーマンより私の物まねのほうがお嫌いでございますか?」
「どっちも嫌だ!」
「それは困りましたねぇ。」
執事はフォークでピーマンをつまみ、ロワンの皿へそっと戻した。
「では、仲直りの一口を。」
「仲直りなんかしてない!」
「ですが、ピーマンは坊っちゃまと仲良くしたがっておりますよ。」
「だから野菜に気持ちはないーっ!」
コメント
1件
あかなすびさん、第5話楽しく拝見しました〜!ピーマンをこっそり避難させるロワンに、それを「敵逃亡」と表現する執事の絶妙な距離感、めちゃくちゃツボです😂 執事のピーマン声真似(『ロワンさまぁ〜』)がおかしすぎて、思わず声出して笑いました。野菜に感情があるかのようなロールプレイと、ロワンの「野菜に気持ちはないーっ!」の真剣なツッコミの往復がもう最高。次回も楽しみにしてます🌿