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てっかまき
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#莉犬くん
みく
27
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ジャスティンは窓枠にもたれて同じベッドで隣に眠っている竜馬を見つめていた・・・
部屋は心地よく静まり返り・・・部屋の中で聞こえるものと言えば ・・・ラジオから流れてくるラブソングと・・・隣で寝ている竜馬の呼吸の心安らぐ音だけ・・・・
青白い月明かりに照らされて・・・眠っている竜馬は微動だにせず・・・・
ジャスティンは月の女神がまるで自分にご褒美でもくれたかのように、ただ・・・息を凝らし、でも目だけは遠慮無く、隅から隅までじっと自分の隣で横たわる、この麗人を・・・目だけで愛でていた
とても贅沢な時間だ・・・月明かりは無情にも竜馬の美しく彫り込まれた身体や・・・東洋人特有の シミ一つない白い肌を輝かせている
ラジオからは映画「ロミオ+ジュリエット」のサントラミュージックで一躍人気になった 「Kissing you」が流れて来た
きっと自分は一人きりになった時に・・・このひと時を宝物のように何度も思い返すだろう
自分の横に安心しきって・・・無防備に横たわっている野生の黒豹のような少年を・・・
ジャスティンは息を潜めて気配を消し・・・隣で眠っている竜馬をまるで脳に焼き付けるように・・・パーツ一つ一つを見つめた
彼を遠慮なく観察できるのは彼が眠っている時だけだった、とても幸せな気持ちだった・・・切なく流れてくるミュージックに・・・ 歌詞に耳を傾ける
―千の試練を受けても強い人は決して倒れない、でもあなた無しでは星を見る事さえもできない♪ ―
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竜馬の髪は真っ白のシーツに無造作に広がり・・・その艶やかな黒髪が月明かりに波を打って。黒いサテンのリボンのようだ・・・散髪に連れて行かないと・・・でも今のままでもいいな・・・そうジャスティンは思った
ふさふさの黒い髪の割には 腕も・・・足も・・・ この男は体毛はほとんどない・・・本当に不思議だ、ジャスティンはそんな竜馬をとても美しいとひそかに思っていた、そして東洋人の男はみんなこんな感じなのだろうかと・・・そうずっと思っていた
―私はあなたにキスをする・・・なぜなら私の魂は泣いているから♪―
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スッキリと尖った竜馬の鼻は、童顔のわりには存在を主張するように高く・・・顎もすっきりと尖っていた、眉毛は一本調子でジャスティンのように、細く弓状には整えられていない・・・閉じたまつ毛は男とは思えぬほど長く・・・今は扇状に広がっていた
―私はあなたにキスをする なぜなら私の魂は泣いているから♪―
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歌の歌詞が切なく胸にささる・・・初めて竜馬を見た時は女かと思った・・・しかしすぐにこの東洋人の少年の中にある、傷ついて・・孤独でいながらも、男としての気骨さに気がついて魅了された
なぜか竜馬は人に好かれた・・・それは本人が醸し出している善良性が人の警戒心を解き、コイツは自分に害を及ぼさないと瞬時で感じるからだ、アメリカでは珍しい人種だ、実際カジノでは他の従業員にとても可愛がられていた
タトゥー彫師のロック・ハウンドも、竜馬がお気に入りだった、人懐つこく、笑顔で話しかけられたら、誰でも仲良くしたいと思う・・・・竜馬を一言で表せと言われたら「善」だ
ジャスティンは自分の肩肘張った態度が、時に人々を遠ざける原因になっていることを竜馬を通じて学んでいた、竜馬にはジャスティンがどうしてもマネ 出来ないモノを持っている
―私はあなたにキスをする・・・だって私の心は泣いているから―
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ジャスティンは深く息を吸いこんで目を凝らした・・・自分がコイツに感じている気持ちはもう隠しきれない・・・・
でもこの関係を壊したくなかった・・・もし壊れた時はと妙に怖気づいている自分にも気づいていた・・・それと裏腹に、竜馬といると、たとえ地獄が行く手を阻むとも、この想いを成就したい欲情が燃え上がる
シーツが擦れる音・・・すぐ傍で竜馬の呼吸が聞こえる・・・・そっとむき出しになったタンクトップから突き出ている竜馬の肩を触った・・・とても温かい・・・・そして肌は信じられない・・・陶器のように滑らかだ、いつまでも触っていられるだろう
ジャスティンは目を閉じて首を小さく振った、でも、もし竜馬にこの想いを受け入れてくれる縁が少しでもあったら・・・自分は絶対急がない・・・ いくらでも待てる・・・でも今は・・・・良い友達でいたい
ミリーと竜馬が別れたのはよかった、しかし男殺しの「メアリー・アン」が 今朝、竜馬にモーションをかけたけど、あっさり 袖にされたと言っていたのを思い出した
フリーになった竜馬の周りは、本人が知らないだけで女どもがこぞって狙っている、しかし、これからは自分が竜馬と女が仲良くなる橋渡しはもうすることはなくなるだろう・・・男は以ての外だ・・・とジャスティンは思っていた、そうだ、そうだ、もう竜馬と誰かを仲良くさせることはしない
「・・・・ま・・・竜馬・・・ 起きろよ! 」
肩を少し乱暴に揺すった
「・・・う~ん・・・・」
「ほら!もう12時だぞ! お前メシ食ってからずっと寝てるぞ! 明日から試験なんだろ? カルロスの家に帰れ!」
「う~・・・ん 今夜はここで・・・寝ていく・・・」
「駄目だ!カルロスがホームファミリー協会にお前に都合の悪い事、ある事ない事、言うぞ! 外泊は絶対ダメだ! 」
竜馬はゴロンと寝返った
「ホームファミリー協会なんて、僕がカルロスの家に来てから一度だって様子を見に来たことないよ・・・単位は取れてるし、ちゃんと卒業はできるもん」
「それでも起きて帰れよ!」
ジャスティンがすかさず言い返す、竜馬は腹立だし気に大きくため息をついた
「わかったよ!」
ぴょんっと竜馬がベッドから飛び起きて、ベンチに掛けてあるトレーナーをボスッと頭から 被る
「おい!それ俺のじゃねぇーか!明日着ていこうと思って洗濯したんだぞ! 」
いーっだ! 「ジャスティンのケチッッ!!」
竜馬が憎たらしく口を一文字に広げてバタンッとドアを閉めて出て行った、トレーナーは着て行かれてしまった
「ったく・・・しょーがねぇーな・・・」
ベッドの上で肩肘をつき、大きくため息をついた、その時もう一度ドアがガチャンッと開いた、ドアの隙間から竜馬が目だけフクロウのように、まん丸くかまぼこの様な目を、こちらに向けて覗いている
「な・・・なんだよ・・・・」
しばらく黙っている竜馬をじっと見てジャスティンが言った
「・・・怒った?・・・ 」
真っ黒なそのかまぼこ型の竜馬の目が、心配そうにこちらを伺っている、ジャスティンは思わず、その愛くるしさに胸が締め付けられた
プッ・・・ 「怒ってねぇよ! 」
「へへへ・・・また明日ね!」
ドアが再び閉まり、竜馬が足取り軽く鉄骨の階段を降りて行く音が部屋に響いた、ハーレーのエンジン音があたりに響く、窓辺にいるジャスティンに手を振り、竜馬は帰って行った・・・
「・・・あれがジュリエットってタマかよ・・・」
ジャスティンは窓際に肘をついて、竜馬のハーレーのブレーキランプが小さくなるまで・・・切ない気持ちで見送った
コメント
1件
わあ、この第155話、本当に美しい回でしたね。ジャスティンが眠る竜馬を見つめる視線の一つ一つが愛おしくて、月明かりとラジオから流れる「Kissing you」の歌詞が重なる演出が胸に刺さりました。あの「宝物のように何度も思い返すだろう」というジャスティンの独白、切なくてずるいです。最後の「あれがジュリエットってタマかよ」の苦笑いも、彼の少年っぽい照れと深い想いが混ざってて、もう…好きです。