テラーノベル
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瀬名 紫陽花
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☆第一話☆
「はっ!」
唐突に、彼は目を覚ます。
あたりは暗い。
自分が今置かれている状況を飲み込むのに時間がかかる。
あたりの寒さのおかげで冷静になり始めたときに一つの違和感に気づく。
身体がおかしい。
手が短くなっているような気がする。
とりあえず確かめようと思い、懐中電灯を探す。
固い手触りの筒のようなものが手に当たり、手に取ってみる。
ボタンを押すと、そこだけ夜の空間から切り取られたみたいに明るくて、白い光が放出される。
彼はその光を自分の手に向ける。
「…あ?」
そこにあったのは黒い毛で覆われた手だった。
というか、今声もおかしくなかったか。
彼は試しに何か話そうとする。
「こんにちは」と試しに言おうと思い、発語しようとする。
「アゥアウアァ」
そこに放たれたのは、低いうなり声だった。ゆっくり空気と同化してその声は消えていく。
嘘だ。
手が震える。
コトン、と手に持っていた懐中電灯が落ちて転がる。
気まぐれに転がった懐中電灯がライトアップしたのは、
「…!!!」
血を流して倒れている彼自身だった。
嘘だ。どういうことだ。なぜ自分がここにいる。じゃあ俺は誰なんだ。
俺は誰なんだと思いつつも、彼の中ではもう結論が固まっていた。
でも彼は認めなかった。認めたくなかった。
彼は、熊になっていた。
コメント
1件
うわ、これは衝撃的な展開……! 人間から熊への転生(?)冒頭の「手が短い」違和感から、自分の声が唸り声になってるパート、めっちゃ映像が浮かびました。そして最後の「血を流す自分」の発見で一気にホラー感が……。まだ2話目だし、これからどうなるのかめちゃくちゃ気になります! 設定の持っていき方が巧みで、一気に引き込まれました。