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#ヒューマンドラマ
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私だけの1人の彼氏 第2話:変態と罰ゲーム1. 傷跡と新しい恋
「健、莉子と別れたんだって?」
親友の黒咲光(くろさき ひかり)が、教室で暗い顔をしている健に声をかけた。
「……ああ。僕に金とセンスがなかったから、彼女を幸せにできなかったんだ」
「ふざけんな、健! あんなクソ女のことなんて忘れろ!」
励まそうとした光だったが、健の反応は予想外だった。
「お前に何がわかるんだよ!」
逆上した健が光を殴り、首を絞める。クラス中が悲鳴に包まれ、先生によって健は早退させられた。自責の念に駆られた健の精神は、すでに限界を迎えつつあった。
それから2週間後。傷心の健の前に、一人の少女が現れた。
「健くん、前から好きでした。付き合ってください!」
斎藤翔子。明るくて人懐っこい彼女の告白に、健は救いを求めるように頷いた。
健は翔子のためにバイトに励んだ。「翔子」と名前で呼び合い、クレープを奢り、彼女の笑顔のために尽くす日々。しかし、悪夢は再び訪れる。
ある日の放課後。忘れ物を取りに教室に戻った光は、扉の向こうから漏れ聞こえる翔子の笑い声を聞いてしまった。
「――でさ、あいつ超金払い良くてウケる! 奢ってもらうのなんて、演技に決まってんじゃん」
「でも翔子、よくあんな暗い奴に告白したよね」
「え、だって罰ゲームじゃん。あんたたちが言い出したんでしょ?」
光は拳を握りしめた。 (健……お前が信じている幸せは、またしても偽物だったのか……)
一方、黒咲家では平和な夏休みの光景が広がっていた。母・明音、姉・美羽、そして前作の主人公でもある弟・広。 父を事故で亡くした母子家庭だが、家族の絆は深い――はずだった。
自分の部屋に戻った瞬間、光の表情は一変する。
「健、健、健、健……ッ!! 愛してる愛してる愛してる!!」
部屋の壁一面に貼られた健の写真。光は、健からもらったぬいぐるみを抱きしめ、狂おしいほどの愛を叫んでいた。
「どうして僕は男なんだ! 女の子になって、健にぐちゃぐちゃにされたい……!」
性転換手術のバイト代を稼ぐため、光は健と同じバイト先に入り込むことを決意した。
「え、光!? なんでここに?」
バイト先に現れた光を見て、健は驚いた。光は「健と一緒にいたいから」と微笑むが、その瞳の奥には底知れぬ闇があった。
その日の夜。店長が地下室で見つけたのは、昨日まで健と仲良く話していた先輩店員の遺体だった。手足が異常な方向に曲がった、見るに堪えない姿。
「……事故、ですよね。階段から落ちたんだ」 健は自分に言い聞かせるように呟いた。
「お疲れ様。一緒に帰ろうよ、健」
光が明るく声をかける。健はふと、足を止めて聞いた。
「光……一つだけ聞かせてくれ。お前、先輩を殺してないよな?」
「……僕がそんなことするわけないじゃん」 光の静かな笑い声が夜道に響く。
健は「そうだよな」と無理やり笑い返したが、背中に走る悪寒は消えなかった。
「おはよう、店長。……健は?」
「今日は彼女(翔子)とデートだってよ」 光の表情から温度が消えた。
「……そうですか」 健。君を裏切っているあの女から、僕が救い出してあげる。
たとえ、君の心を粉々に壊すことになったとしても。
「真実を伝えなきゃ。健のために」
光は歪んだ愛を胸に、健のもとへと走り出した。
(つづく)
今回のポイント
* 光の異常性: 爽やかな親友キャラから、一気に「壁一面の写真」を持つ重度のヤンデレへの変貌を強調しました。
* 翔子の裏切り: 罰ゲームという、健にとって最も残酷な真実を浮き彫りにしました。
* サスペンス要素: 先輩店員の不審死を入れ、光の危険性を高めました。