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仮面を被った清純派(アイドル)

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仮面を被った清純派(アイドル)

10 - 観光撮影 ‐こんなにデートって楽しいんだ!‐

2024年02月27日

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時は5月28日金曜日。遂にあの新高さん主催の観光地撮影の日を迎えた。因みにその約1週間前には私達の新曲『恋愛シュミレーション』が無事に発売された。その発売前には売名をしないといけない為、色んな音楽番組に出演や収録したり、バラエティ番組でよく見る約3分間の告知欄に出演する等、様々な事を行った。そのお陰かデイリーセールは初の4位、ウィークリーセールはこれも初の5位を獲得した。

そういった流れがあって、チーム全体で1週間の特別休暇を過ごした後、本日仕事始まりってな訳。メンバーがそれぞれ仕事がある中、私は冒頭で話している通りの観光地撮影日となっている。しかも西君と。

しかもしかも?なんと今回の新曲を新高さんの娘さんが欲しがってDL版を購入して車内で聴いていたらしく、歌詞を知っていて、なんと100%歌詞通りとまではいかないけど、それに近い感じで行こうという、名付けて『新曲記念コラボ!Map Travel × rainbow 恋愛シュミレーション』という題で、なんとrainbow初のコラボが実現した。


「久しぶりですね。今回は宜しくお願い致します」

「おはよう、なんで敬語なの(笑)」

「いゃ、なんか久々過ぎて緊張して」

そして今は地元の潤城(ウルシロ)市にある大きな駅の潤城駅。教えたかどうか忘れたけど、私の自宅は仕事場がある古舞(フルマイ)市の1つ下に位置する場所で、その古舞市と潤城市の境の場所。1つ下といえど又、職場は市内の真ん中付近にあり、私が住む所から車で来ような物なら軽く1時間掛かる。それを電車で30分という時短で来ている。普通なら仕事場の近くが良いのだが、何故そうしたかは身バレをなるべく防ぐ為というのが一番の理由。後は地元が落ち着くし、なるべく仕事と私用を分けたいという理由とか、そう言った理由で地元に住んでいて、セキュリティ&警備員付き&管理員さん付きという、女性でも安心なマンションで1人暮らしを謳歌している。

んでその駅に来た電車に乗ると、約3カ月ぶりの西君が席に座っていた。因みに西君は私と一緒の潤城市であるが、住まいより4つ南に降りた所。この光景は初めて会ったその日の帰り、偶然ではあったけど一緒に帰った以来だ。今回の席は窓に沿って横に伸びている椅子ではなく、新幹線みたいな2人席のパターンだ。因みに事前に連絡して場所の把握をしていた。

「隣、来ますか?」

「そのつもりだし」

西君の問い掛けに当然の様に答えると、西君は隣にバッグが置いてあったのを足元に置き、空いた席に私は座った。

「髪型変えたね」

「う、うん。そうなんだよね。春仕様っていうか、何しろ咲良さんとは久々逢うから、ちょっと張り切っちゃって」

話しながら西君から緊張が伝わる。その中でも身嗜みをして、少しでも格好良く見せようとして来てるんだと感じる。まぁ実際に格好いいんだけどね。だけどその西君がなんだかぎこちない。でもこの姿までなんだか可愛いって思ってしまう所、なんだか懐かしい。

「ありがとう、嬉しい、格好いいよ」

「あ、ありがとう、キュンです」

「ブハァ!なにそれ~(笑)」

緊張している感じからいきなりボケて来たもんだから、思わず拭いてしまった。

「だって本当にキュンとしたんで」

「いゃ急にボケるとかずるいよー」

「ボケてないボケてない、本当にキュンとした素直な気持ちなのに」

「そうだったんだ、だけどあの会話からのキュンはツボだわ(笑)」

久々なのに直ぐに打ち解けて、気付いたら西君も敬語じゃなくて普通にため口になっていた。そして5秒程の沈黙が続くと西君が話し出す。

「直接会うって良いね」

「どうしたの改まって?」

「いゃなんかさ、今までってSNSでのやり取りだけだったじゃん?充分それでも良かったんだけど、こうやって逢うとやっぱりいいなぁって。周りがデートするのわかる気がする。こうやって面と面が合って言葉交わして触れ合って。好きを分かち合うって大事なんだなってふと思った」

西君の言う通り。会うと安心感もするし、改めて好きなんだなと感じていた。

「確かにそうだね。顔見ると落ち着くし」

「うん」

そう言うと茶水駅に着くまで他愛のない会話をしながら、阿吽の呼吸なのか、お互いに何も聞く事もなく手を繋いでいおり、その風景を写真に収めた。


−茶水駅−

9時52分着の仕事場の最寄り駅に付いた。言い忘れてたけど、身バレをしたくない私は、縁無し眼鏡とマスクをし、普段用の髪を結んでいる。到着するとさっきまで繋いでいた手を解き、駅近くで待機している新高さんの車まで向かう。

「おはようございます、宜しくお願いします」

「2人共おはようございます、宜しくお願いします」

そう言って車内に入り、直ぐに出発して目的地に向かう。

「一緒に来たの?」

出発して間もなく、新高さんがそう聞いた。それに対して西君が答える。

「そうですね。待ち合わせというか、乗る時間帯を合わせてって感じで」

「おぉー良いねー、既にデートが始まってるじゃないですかー」

私は言われるまで気付かなかった。今日は仕事というつもりで来てたけど、そもそも撮影とはいえ、新高さんは撮影兼デートって言っていた。確かに電車での出来事はデートと言えばデートになる。

「「そう言えばそうですね」」

西君も気付いてなかったのか、言葉が私とハモる。

「あ、2人共今日は仕事気分で来てますね?確かに撮影という仕事は入りますが、デートがメインですから」

何故か新高さんが張り切っているのは別にしてそう言う。

「でも良いんですか?楽しんじゃって」

「良いんですよ。今回のテーマはデートスポットプランなので」

その言葉に私達はお礼を言って目的地に向かった。


−蕾山神社商店街−

目的地に付いた。ここは誰もが知る観光スポット。勿論、観光スポットという事で人が沢山集まっている。地元人はあまり来ない事から、恐らく殆どが観光客だろう。

因みに蕾山神社というくらいなので、商店街の奥には蕾山という神様が住んでいるという言い伝えがある小さな山があり、神社が建っている。そこに向けて気持ち坂道に続いており、山の入り口には鳥居が立っている。坂道になっているので鳥居がはっきりと見える。そこに行くまで約200mの道のりに商店街がづらりと連なっている。

「ここの入り口からがスタートになります。先ずは何の店があるかの下見の為に、一度商店街を歩きましょうか」

そう提案する新高さん。私達は指示に従う感じで二つ返事で返し、商店街を歩きだした。とはいえ、人がごった返しているので中々店を回れないが新高さん曰く、今日は比較的に空いている様子。『マジかよ』と思いながらも突き進むと、惹かれる店を発見した。

「どらやき」

「え?」

私は思わず『どらやき」と言ってしまった。何を隠そう私はこう見えて甘党である。どら焼きという和菓子は勿論、洋菓子も好きだ。

「欲しいの?」

笑いながら西君は尋ねる

「欲しい‥けど今はダメ。候補としてこの後の撮影の為に取っとかないと」

「一口サイズだし、まだ先には惹かれるものがあるかも知れないから、味見として買っとけば?」

「うぅ‥誘惑の天才か君は」

私は西君の上手な誘惑に『確かに』と思いつつ、その店を少し通り過ぎた所で後ろ髪惹かれる様に立ち止まっていると、”ちょっと待ってて”とその店の方へ駆け出して行った。


え‥ひょっとして…


そして2分後。その期待に応える様に西君は戻ってくると

「はいこれ。セット売りしかなかったから5個入りを買ってきたよ。歩きながらどうぞ」

「え、本当に?ありがとう」

マジで神様はここに居ます的な感じで私の思いにすっとフォローする様に答えてくれる。格好良過ぎかよ。

「いいえ。良かったら新高さんも」

しかも新高さんのも忘れないという紳士さを忘れずに。

「えぇ私にも!?ありがとう、優しいね。でも私はあくまでも写真家でメインはあなた達2人のデートでもあるから、今度から私の事は気にしないでいいよ。でもありがとう」

「わかりました、次回からそうします」

新高さんの言葉にそう返事を西君はした。その後適当に周り、一通り商店街を探索し、候補を新高さんに出す。勿論全てに行きたい所だが、食べれる量と頁数の兼ね合いで、持って10店舗との事。これを2人で話し合ってとの事

「うーん難しい」

「一先ず照らし合わせて見よ」

そう言って照らし合わせるとなんという事でしょう。二人合わせて被っているのを消せば、丁度10店舗になった。

「お、丁度やん(笑)」

西君が先にそう言った。

「ここまでしっかり揃うの初めて見ましたよ」

新高さんが驚きを隠せない様子。

「え!初めてなんですか?」

私は新高さんに聞く。

「初めてですよ。10年近くこの仕事をしているけど、基本的に多くなってどうしようかって悩むんだから」

「へぇー、何処まで俺達って意気投合しちゃってるんだろうね」

「本当そうね。相性的な感じで抜群なのかもね、いぇーい」

そう言って西君に向かってピースをする。

「もう可愛い」

それに対してニヤニヤする西君。

「はいはい」

そして私達のやり取りに軽くあしらう新高さん。私たちは短期間で結構仲良くなってしまった様だ。閑話休題し、私たちが選んだ計10店舗を最初から見るべく、再び歩き出してスタート位置に移動する。

「じゃーここからが本番です。ずっと言ってますが、撮影と言いながらデートがメインなので、私の事はあまり気にしないでね」

「「わかりました」」

私達はそう言うとスタートのコールが掛かり、私達は歩き出した。

「今日は宜しくね、なんならこのまま神社に行こう。それでも良いですか?」

「メインの所が終われば全然いいですよ」

西君はさり気なく私に挨拶した後、気になっていた神社への許可を取っていた。

「ありがとうございます」

許可が下りた事にお礼を言い、改めてスタートした。


「先ずはここの綿飴屋さんか」

最初は私の候補の1つ『木村の綿飴』という所だ。文字通り綿飴なのだが、普通の綿飴ではなく、『虹色飴』というその名の通り7色の綿飴だ。ただの色付きではなくしっかりと味は付いていて、苺の赤、蜜柑のオレンジ、レモンの黄色、メロンの緑、青りんごの青、ハワイアンブルーの水色、グレープの紫となっている。何を隠そう私達はrainbowというグループ。惹かれるし、無視す訳にはいかない。

「こんにちはー」「こんにちは」

西君が率先して店に挨拶に遅れる事1秒。被せる様に遅れて私も挨拶をする。

「こんにちは。あら美男美女」

「あは、ありがとうございます。この虹色綿飴を2つ下さい」

基本的な挨拶を交わした後に注文をする。それを待っている間、店員さんの1人が私を見て思い出したかのように

「あ、間違っていたら申し訳ないですが、お隣の方はrainbowの咲ちゃんですか?」

まさかの一発目から気づかれてしまい、全くの予想外の展開である。

「あ、そうですわかりました?」

まさか初回から来るとは思ってもおらず、少し反応に遅れる。

「やっぱり!娘がrainbowファンなんです。今日は何か撮影ですか?」

すると西君が

「そうなんですよ。実はここの観光地の紹介として雑誌の撮影をですね、テーマがデートなので、カメラマンは少し離れて撮影しています」

と、そう言った。実は西君からは事前に”もし、身バレしそうだったら撮影って言うけど、今回はrainbowの上原咲楽でなく、俺の彼女として振舞うから”と言われていた。格好良くてキュンです。

「そうですそうです。それでここの綿飴のおすすめがこの『虹色綿飴』だったので、私達にも関連している虹色だから、これは行かないとなって思って」

私も信ぴょう性を増させる為、上乗せでそれっぽい事を言う。

「そうなんですね。これはこれはありがとうございます。いつ初発売予定なんですか?」

「それがまちまちなので、はっきりとはわかってないんですよね。あれならシリーズになってるらしいですから、Map Travelで検索すればわかると思いますよ」

西君がそう言ってお礼を言われている間、2つの綿飴が出来て、私はサインを求められた為、店と娘さんがファンという店員さんの2枚記入してその場を去った。

「早速バレてしまいましたね」

ちょっと歩くと西君がそう言った。

「そうですね、なんかすみません」

「何で謝る?それほど有名になって来ているって事じゃん?」

「そう言って頂けると嬉しい」

そう言いながら各場所を周りに、食べては個人的に記念にとお互い写真撮ったり、勿論しっかりと仕事用の写真撮ったり感想をそれぞれで新高さんに伝えたりした。

私の中では友達やそれこそ仕事仲間っで遊んだりして勿論それも楽しかった。だけど今日はまた違う楽しさというか、デートと言うのが初めてという事もあり、更には好きな人という形だからか、正直友達以上に楽しいという感情でもある。


これがデートっていうやつか…。幸せ過ぎるし楽し過ぎる。こういうのが仕事だったら喜んで引き受けるよマジで。


そう思いながら最後の店舗に訪れていた。最後の店舗は私が選んでいたご当地アイス屋だ。ここはお茶が有名な為、お茶を使った『茶葉ソフト』がお勧めらしい。私はこういった『限定』に弱いので直ぐに目についた。すると新高さんが近付いて来て

「最後だし食べ比べすればどうです?カップルらしく。丁度味が2つある訳だし」

そう。一言で茶葉アイスと言っても2つの味があり、1つがノーマルな茶葉ソフトで、もう1つが茶葉×バニラソフトが半々な茶葉バニラソフトがある。

「あれ?君ってもしかして、この前自慢げに見せていた式の写真の人‥という事は今回の撮影ってこの人?」

「そうだよー。式の撮影の担当していた方が直々に声掛けて下さってね‥っていうかアイスありがとう」

「ん?あーどういたしまして」

そうお礼を言いながら彼女等の話を聞く。

「いいなぁ、本当の彼氏みたいで。西さんでしたっけ?写真で見るよりめっちゃイケメンですね」

玖瑠実がそう言う。

「いえいえありがとうございます」

そう言いながら頭を掻く西君。


何へらへらしてんのよ…


私は嫉妬からか鼻を伸ばしている西君に少しイラっとしてしまう。

「ねぇ気になってたんですけど、君って前に一回、初めて握手会来た人ですよね?しかも咲ちゃん推しの?」

玖瑠実がふとそう言った。西君の存在は式の記念撮影の件で、相手役がそういう人って言うのをふわっとメンバーのみんなには伝えていたが、実はその人が握手会の時の人とは伝えていない。写真で気付けば言おうと思ったんだけど、幸い気づいてないのか覚えてないのか、特にそんな様子もなかったので敢えて話していない。ていうか、何せ西君は私推しなのだから、変に伝えて疑われるのも大変だから、言わない方が吉だと思っていた。

私は溶けるとまずいアイスを舐めながらドキッとなってしまった。

「え?あ、はい、そうですけど…?」

勿論、西君にそう言った理由で話してないなんて伝えてない為、普通に答える。私は内心ドキドキしていた。

「やっぱりだよね?式の写真を見た時にな~んか見た事あるなって思ってたんだよねー」

「え?何何?もしかして推しと仕事?凄い羨ましいんですけど~」

玖瑠実の言葉に反応する様に友人等がグイグイ来る。

「え?あーそうですね、仕事様々っすねー」

「彼女はいるんですか?」

「え?」


え?…


西君の声と同時に私の心の声がそう言った。

「えっと…居ないわけではないんですが…」

そう言った。まさか居るなんて言うとは思わず、私は驚きながら西君を見た。

「えー!彼女さん居るのにこの仕事引き受けて大丈夫だったんですか?」

友人等が反応する。

「ま、まぁ仕事ですから、その…彼女も俺が咲良さんのファンというのは知っていて理解があるので大丈夫です。”折角の推しとの仕事だから行ってきな”って」

思った以上にスラスラと言葉が出てくる西君。丸で想定していたかの様な言い方だった。

「へぇ~凄いお優しい彼女さんなんですね。失礼な事を聞いてすみません」

「いえいえ…」

タジタジになりながらもなんとか乗り切った西君。だがこれ以上いると色々と聞かされたらヤバイ感じがして来たので、私は西君の袖を引っ張りながら

「じ、じゃー仕事の途中だからそろそろ行くね。クルミンもごめんね、休みを楽しんで」

「そうですね。止めちゃって申し訳なかったです」

「いえいえ」

そう言って玖瑠実達と別れた。


すると直ぐに新高さんが来て

「大丈夫だった?ごめんね出る幕見失って」

「もうちょっとで怪しまれる所でしたよー」

「ごめんなさいね。でも今のってクルミンだよね?他の子たちは見たことなかったけど…」

私は先程の事を新高さんに話した。

「なるほどですね、取り敢えず怪しまれなかったなら大丈夫ですかね」

「多分‥大丈夫かと…」

私が不安そうに言うと

「どうした?」

西君が気付いて聞いてくれた。

「あ、その‥相手が玖瑠美だった事がちょっと気掛かりで…」

私がそう言うと、新高さんがしっかり話した方が良いと気を効かせ、近くの休憩所で座って話す事にした。

「その、どうしてクルミンさんが気掛かりなの?」

西君は話の続きをと切り出した。

「単純にリーダーって事もあるんだけど、それのせぃか責任感やメンバーのちょっとした事に対して気付いたり。ファンの顔とか覚えるの得意なんだよね」

「あ、それってさっき俺の事を覚えてたのも?」

「うん。西君の場合は特に印象深かったからってのもあるけど、流石に半年くらい経ってるから覚えてないだろうって思ってたんだけど油断してた」

「結婚式の写真は見せてないの?」

「見せたよ?だけどみんな気付いてなさそうだったし、そこで敢えて言って拗らせるよりかは言う必要性がないかなって思って」

そう言うと、西君は”なるほど”と言いながら私は話を続ける。

「他に、個人的な相談とかにも乗ってもらってたり、正直メンバーの中で一番仲が良いって言うか、お互いに信頼しててね。私自身普通にしてたつもりだけど、心の中では申し訳なさがあったから、それが伝わってなければ良いんだけど‥」

新高さんが”まさかここでメンバーに合うとは”と頭を抱える。この話の冒頭付近(129頁)で話したけど、蕾山神社商店街は誰もが知っている観光スポット。地元民より観光者が多い。メンバーは私と玖瑠美以外はこの周辺の住まい。つまり、地元の人は来る率は少ないとみて、敢えてここを選んだらしいのだが、それが仇となった。すると色々考えていた様子の西君が

「うーん、まぁ付き合っている事は間違いないけど、仕事で来ているのも間違いないし、取り敢えずここは今まで通り撮影に取り組みましょう。クルミンさん達はここで遊ぶんですよね」

私は頷くと”だったら尚更普通に過ごしましょう”となり、そのまま撮影を続行した。西君はどうかは知らないが、私は何処かで玖瑠美が見ているのではないか。他にもメンバーや関係者がいるのではないかとハラハラしながら過ごしていて、あまりデートを楽しめなかった。なんか芸能人の恋愛事情ってこんな感じなのかなってつくづく思ってしまった。

そんなこんなで撮影は終わった。撮影後の神社まで行き、お祈りと『占い箱』というおみくじを引いた。




ここの神社、恋みくじが良く当たるってテレビや雑誌で言ってるもんな…


本来ならワクワクして引く所だが、事が事だった為、私達は恐る恐る恋みくじに手を入れて占った。私の場合『半吉』というのが出た。恋みくじ自体初めてなのでこれが良いのか悪いのかわからないが、文字だけで見るとどちらかというと悪い様にも見える。内容は色々あったが、一番目にしたのが神様からの一言のこれ。

『楽しむ程度なら吉』

要約すると、『現状の恋愛は吉。しかし、今は充実して楽しいと思うが現を抜かさず、現状はそのままにしておいた方が吉』という事だ。ざっくり言うと現状維持的なことだと思う。うーん。何とも言い難いくじ引きだった。

一方で西君はというと同じく半吉というもの。しかし、神様のお告げは以外にもマイナスな言葉で

『茨の道です』

であった。要約すると『現状の恋愛は吉。しかし、相手が厄介な事になり得る可能性があり、乗り越える壁が大きい』との事。ここでいう相手、つまり私の身に何かが起きるって事だ。

「「‥‥」」

なんだかこの先を悟っている様な内容に、実は半信半疑だった私は、流石に怖くなった。恐らく西君も同じことを思っているだろう。

「まぁあれだな…中々なんだね」

流石の西君も語彙力を無くす。

「取り敢えず現状維持‥です‥ね」

結果を見に来た新高さんがそう言った。ご覧の通り、新高さんも何も言えない状態であった。

「これって結んだ方が良いんですかね?」

「うーん、神様とのご縁を結ぶとか、気の生命力で願いを叶えるって言う意味合いがあるらしいけど、神様からの伝言として常に手元に置いて自分を振り返るっていう意味で持って帰る人も居るから、どっちでもいいみたいですよ?今回に関しては持ってた方がワンチャン良いかも知れませんね」

と、私の言葉に新高さんがそう言った。

「じゃ‥持っとく?」

「うん、そうしよっか」

私達はそう話してバッグに閉まった。

「取り敢えず帰りましょうか?近くで昼食でも取りながら今日の部分を纏めましょう」

新高さんの言葉に私達は返事して商店街を後にした。


to be continued…

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