テラーノベル
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#隠し子
数日後。夜叉門の脅威が去り、再び静けさを取り戻した西幽の街道。またしても、突然の激しい泥雨が地面を叩きつけ始めていた。街道沿いの小さな茶屋の軒下。極不壊が雨宿りのために駆け込むと、そこにはすでに、銀髪をなびかせ、白い装束をまとった男が蓮華座のように座っていた。「ちっ……また貴様か、白霧幻」極不壊が露骨に嫌そうな顔をする。「おや、奇遇だねぇ、極不壊。これもまた江湖(こうこ)の妙、一期一会の縁というものさ。雨が上がるまで、隣を借りるよ」白霧幻はすべてを見透かしたような薄気味悪い微笑を浮かべ、紫煙をゆったりとくゆらせる。「フン、次に俺を小細工に巻き込んだら、その時は貴様ごと叩き潰すからな」極不壊は大剣『万鈞』を背負い直しながら、不器用にフンと鼻を鳴らした。「それは恐ろしい。だが、君のような実直な男が、次にどんな悪党をその剛刃で破天するのか……私はそれを特等席で見るのが、今から楽しみで仕方がないのだよ」白霧幻の風流で、しかし底冷えするような笑い声が、雨の音の中に溶けていく。西幽を揺るがした激動の旅は終わり、しかし二人の奇妙な因縁の旅路は、この雨上がりの空の向こうへと、どこまでも続いていくのであった。
コメント
1件
ああ、この2人の絶妙な距離感、たまらないですね。極不壊の「ちっ…また貴様か」の一言に、もうすでに何度も会ってるんだなって滲んでるのがいいなと。白霧幻の「一期一会の縁」なんて言い方も、飄々としてるくせに実はずっと彼の行く末を見てる感じがして。泥雨の描写も含めて、ひとつの章の終わりと、これから始まる長い旅路を予感させる、じんわり沁みるエピソードでした🌿