ーガチャッ
ぼくがお風呂から上がり、リビングに行くと、先にお風呂から上がっていた涼ちゃんが髪の毛も乾かさず、ソファに寝転んでニコニコしながらスマホを見ていた。
雰囲気的に何かの動画を見ている感じだけど、家なのになぜかイヤホンを付けて見ている為、何を見ているかは分からない。
イヤホン付けてるのは、多分涼ちゃんの天然が出てるだけだと思うけど、スマホに集中していて、ぼくに気付かない事に少し嫌な気持ちになった。
ムッとしながら、一旦リビングから出て髪の毛を乾かしに行く。
スキンケアもして、歯も磨いて、ベッドに入る準備を万全にしてもう一度リビングに向かう。
リビングから出て15分以上は余裕で経っているはずなのに、なにも変わってない光景に苛立ちを覚える。
なんでぼくがこんなに怒っているかと言うと、今日は久しぶりに仕事が早く終わったから、涼ちゃんとイチャイチャ出来るかと思って、いつもより念入りに綺麗にしたし、色々と…その…準備もしたのに、涼ちゃんは違ったんだと言うのが寂しかったから。
自分勝手なのは分かってるけど、寂しいもんは寂しいし、ぼくから涼ちゃんを盗ったスマホの動画にも腹が立つ!
やっぱりリビングに入ってきたぼくに気付かない涼ちゃん。
ぼくは寝転がっている涼ちゃんの上に股がると、涼ちゃんの耳からイヤホンを引き抜いた。
「ねえ!何見てるの!」
無視しないで!と少し睨む。
「わあ!ビックリした~。」
驚いている涼ちゃんのスマホを取り上げる。
「ん?…ぼく達のMVじゃん。」
ぼくを差し置いて一体何を嬉しそうに見ているのかと思えば、ぼく達のMVだった。
「この元貴、すごいニコニコでメガネも似合っててめちゃくちゃ可愛いくて好きなんだよね~。」
だから何回も見ちゃった!と言ってヘラヘラ笑う涼ちゃん。
え、なに?ぼくはぼくに嫉妬してたって事?
行き場のない怒りにスマホを反対のソファーに投げると涼ちゃんの胸をポカポカと叩く。
「目の前に本物のぼくが居るのに!スマホなんか見ないで!」
めんどくさい事を言ってるのは重々承知だけど、ぼくを見てくれない涼ちゃんが悪いんだ!
「イタタタ。ごめんごめん~。お風呂上がりの元貴も可愛いね。」
「ううーズルい!!!」
涼ちゃんの笑顔に弱いぼくは、いつもこうやって絆される。
「ねえ、てか元貴…この体勢ちょっとマズいかも。」
「?」
「その、僕も男の子なので…。」
そう言って少し顔を赤くする涼ちゃん。
そう言えば、お尻に何か当たっている気も…
「ごめん…だって今日お仕事早く終わったし、久しぶりに、その…ちょっと期待しちゃってたから。」
涼ちゃんも同じ気持ちだった事に嬉しくなる。
さっきまで怒っていたのに、今はムラムラしちゃってるんだから、ほんと単純。
じゃあ、これからはイチャイチャタイムって事でいいんだよね?
ぼくを自分の上から下ろそうとする涼ちゃんを無視してそのまま抱き着き耳元で囁いた。
「…うしろ、準備してきたよ?」
「今すぐベッド行こ!!!」
「連れてって。」
「もちろんです!」
-fin-
コメント
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もうお話全部好きです…♡ ほのぼの系もえちちなやつも全部神すぎて…もう天才ですか!? まじ見習いたいです…✨️
天才かな?