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続きって出さないんですかー!!!??
一年前から続きを待ってるけどこの投稿主はテラーやめたんかな?
うわー!めっちゃいい作品!見れてよかった! 続き待ってます!!
キーンコーンカーンコーン ……
「 帰ろ 橘 ~ 」
「 悪い 、俺 今日 バイト だわ 」
「 あの 三年の イケメン 先輩、まさか の 彼女持ちらしいよ! 」
「 え 、まじ ?狙ってたのに ~ 」
____放課後。
今日の授業が全て終わり、皆ウキウキしながら家に帰る準備をしていた。勿論俺も例外ではないが、今日だけウキウキしているのは帰ることに対してじゃないのだ。
しにーを体育館裏に呼び出しているから、早く行かんと……
急いで参考書や教科書を鞄に入れ込む。いつもは鞄を持つときに重いと感じているのに、今日は何故か軽い。ウキウキしとるからなのかも。
鞄を持ち、自身の教室から出る。走ったら行けないので早歩きだ。
…これだからヘタレと呼ばれるのか?…いや、ちゃうな。俺はルールを守っとるだけやからヘタレとは言わへんやろ。
と、早歩きで階段を下りていると、肩をポンッと叩かれた感触がした。振り向いてみると、某ゲームののパーカーを来た男が立っていた。
…あ。
「 ロボロ !! なんで 置いてくねん !!
今日 一緒に 帰る 約束 しとったやん !! 」
「 ぞ、ゾムぅ … 。すっかり 忘れとったわ 」
____こいつはゾム。俺の親戚に当たる友達。というか幼馴染に近い。まぁ、親戚兼幼馴染ってところやな。
今日は久しぶりに一緒に帰ろうぜ!と約束をしていた日だった。かという俺はしにーの事でウキウキしすぎて忘れていたのだ。…食害されそうな予感しかせぇへん。
いつもだったら『忘れとったわ、んじゃあ帰ろ!』となる筈だが、今日は絶対無理だ。無理。
俺は苦笑いをしながら、自分より大幅に身長が高いゾムから遠ざかる。
「 ご 、ごめんなぁ ~ ??
今日 は 大事 な 予定 が あってん ……
明日 とか どどどどうや !! 」
「 いや 、お前 明日 は 部活 あるやろ 」
「 …… スーッ 」
やばいやばいやばいやばい。
もうそれ言われたら何も言えへんやないか…。
もう体育館裏に着かないと行けない時間の筈なのに、これじゃあ行くことさえできない。
明日は確かに柔道部の部活。なんでゾムが知ってるかは後日聞くとして、今は早く行くのが最優先や。
俺はゾムからなんとしてでも逃げようと、手すりのある階段から猛ダッシュでゾムから逃げる。
「 またな ゾム !! 明後日 は 絶対 帰ろな !! 」
「 あっ 、ちょ 、ロボロ お前 !!!!! 」
待てや~~っ、と叫ぶゾムの声はフル無視しながら、俺は鞄を持ち外へとなるべく早歩きで急いだ。
「 っは 、っは … はぁっ 」
肩で息をする。
…あれから数分後、やっと体育館裏前に着いた。
俺は元々体力がないので猛ダッシュで走ったとしてもゾムとの時が一番体力消費が激しかった為、もう現在ではへろへろの状態だ。
ある程度整えた後、体育館裏に足を踏み入れる。
入ってみると、すぐにしにーの紫髪が見えた。
…よく見てみると、アホ毛がぴょこんっと立っているように見える。かわええ……。
「 … ! ロボロ さん 、遅いですよ ~? 」
「 あ … っ 、ご 、ごめん …… 」
「 ? なあに 緊張 してるんですか ? 」
こてん、と首をかしげて言うしにー。ショートカットの女の子みたいな髪の毛が、彼の鎖骨へかかる。
…ちょっと待って、このままやったら俺しにーをドキドキされられへんやん……
自分が思うよりもずっとしにーに惚れているなんて思ってもみなかった。その仕草だけで少し顔が熱くなるのを覚える。
「 あ、んな …… 」
「 ? はい 」
としにーを壁へ優しく押し、壁に自身の手を付けた。…これ、壁ドンって言えるんやろか。壁ドンをすると、しにーの顔を見るのが恥ずかしくなり、顔を見ないようにしにーの耳元へ顔を近づけた。
「 へっ … ? ちょ 、ぁ … ロボロ さ 」
「 … 俺 、ほんま に LOVE として しにー の 事 好きやねん 、好かれてる 自覚 持ってや 」
「 わかった … わかったから 耳元 で 喋るの やめて … っ 」
スッ、と優しく肩を押される。思わずしにーの顔を見ると、顔を隠していたが耳まで真っ赤になっていた。
「 … 耳まで 真っ赤 に なっとるで ?
んじゃあ 、しにー また 明日 な ! 」
自分までまた恥ずかしくなり、そそくさとそこにしにーを残して体育館裏から出ていく。
…多分、自分の顔も耳もしにーより真っ赤だろう。
この一年間で一番手応えを感じた反応に、俺はとても舞い上がりたい気持ちになる。
「 今日は オムライス 作ったろ 」
スキップしながら校門を出ると、俺は、しにーの顔をずぅっと思い出しながら近所のスーパーへと向かった。
____ なんでや 。
もう誰も居ない体育館裏に、よく透き通る声が聞こえる。声の主は、自身の爪を噛みながら木に登っていた。
「 ロボロ は ……… 俺のなのに 」
チッ、と舌打ちの音が鳴る。
しにがみとロボロのさっきの表情が忘れられないのか、木に爪を刺して引っ掻き始める。
「 … しにがみ 、あの男 … 絶対 許さへん 」
男はそう呟くと、夜の暗闇へと姿を消した。